2016年3月18日

『ザ・ゴール2 コミック版』エリヤフ・ゴールドラット・原作 岸良裕司・監修 青木健生・脚色 蒼田山・漫画 vol.4259

【『ザ・ゴール』コミック版第2弾!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478068747

ビジネス書のコミック化もすっかり定着した感がありますが、ここまで盛り上がった理由は、コミックが持つ具体性にあると思います。

従来型のビジネス書は、知恵(原理原則やノウハウ)+事例・エピソードで成り立っていますが、事例・エピソードを詳細に紹介するには、相当の文字数と読み手の根気が必要です。それがコミックなら、ストーリーを楽しみながら、一発で図示することもできる。

おまけに絵には登場人物の表情が伴うから、感情的にも文脈を理解しやすいんです。

もちろん、漫画に落とし込むまでには相当の努力を必要としますが、良い作品に仕上がれば、これほどビジネスパーソンに貢献できる学習ツールもないと思います。

そういう意味でいま注目なのが、第一弾が既にベストセラーとなっている、『ザ・ゴール コミック版』の第2弾。

『ザ・ゴール2 コミック版』は、「あらゆる問題解決に使える最強の『思考プロセス』」がテーマで、複雑な思考ツールの使い方を、登場人物と一緒に学ぶことができます。

対立構造を見える化して解決策を導き出す「クラウド」の描き方、「UDE」(Undesirable Effects)をリストアップして因果関係を図にした「現状ツリー」(Current Reality Tree)の使い方、UDEを逆手に取って「望ましい現象」(DE:Desirable Effects)を考え、DEをつなげて図式化する「未来現実ツリー」など、さまざまな思考ツールを、これ一冊で理解することができます。

売却が決定した3社を何としてでも守りたい多角事業部本部長の主人公・吾郎が、どうやって困難に立ち向かうのか、ストーリーにも注目したいところです。

さっそく、学びにつながる部分だけ、ピックアップしてみましょう。

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解決策を見つけ出すためには……「クラウド(雲)」を描けばいいんだよ 雲のようなもやもやをスッキリさせるために対立構造をわかりやすく図にしてみればいい

「思考プロセス」では……「問題」とは……それぞれに独立しているのではなく……「原因」が「結果」を生むという「因果関係」で結びついている ただ、「問題」だと考えられるもののほとんどは「現象」に過ぎない TOCでは、それらを「好ましくない現象」……「UDE」(Undesirable Effects)と呼んでいる

UDEをリストアップしてその因果関係を図にしたのが……「現状ツリー」(Current Reality Tree)なのだ この現状ツリーを構築できれば……すべてのUDEの原因がわずかひとつか、ふたつの「根本」となる問題にあると明らかになる

一般には、需要と供給で価格が決まると考えられていますが 技術開発競争があり、新製品が数か月おきに市場に投入されて競争が激化している時は……需要が供給を上回っている時でさえ価格が下がってしまうことがあるんです

マージンの少ない製品を切り捨てるとその製品で稼いでいた収入が失われます 失った収入が、切り捨てによる節約分を上回ってしまうと……会社は自分で自分の首を絞めることになるのです

現状ツリーを作る時に挙げたUDEを逆手にとり……「望ましい現象」略してDE(Desirable Effects)を考える そのDEをつなげて図式化し 明るい未来をどう創造するか……「何に変えるか」を考えるために使うのが「未来現実ツリー」なんだ!

現在、支払い待ちの売掛金が約116日分の57億900万円ですが……新しい解決策にすると出荷してから販売されるまでが平均45日まで減らせますッ つまり! 売掛金が45日分まで減って販売高が変わらないと……逆に34億9400万円もキャッシュが浮くんです!

設備やスペアパーツではなく「高圧蒸気」そのものを売るわけか! そのかわり固定料金とエネルギー使用量に応じた金額を毎月顧客に請求するんですッ!

企業の目標は……「現在」から「未来」にわたって「お金を儲けること」です 儲けることで投資してくれた株主にも還元することができます しかし従業員の利益を守ることも不可欠です 「現在」から「未来」にわたって「従業員に安心で満足できる環境を与える」……それが企業の掲げるべきふたつ目の目標です そして3つ目の目標が……「現在」から「未来」にわたって「市場を満足させること」市場を創り出す顧客に見放されては儲けることも……従業員を雇い続けることもできません この3つの目標を対立させずに実現できれば 企業は繁栄し続けて……明るい「未来」を持てるようになります!

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「解説」では、ゴールドラット・コンサルティング・ジャパンCEOの岸良裕司氏が、故・ゴールドラット博士が考えた「人が明晰に考えることを阻む4つの障害」を紹介しており、こちらも注目です。

◆人が明晰に考えることを阻む4つの障害(ゴールドラット博士)
・ものごとを複雑だと考える
・人のせいにする
・対立は仕方がないことと考える
・わかっていると言う

ぜひ読んでみてください。

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『ザ・ゴール2 コミック版』エリヤフ・ゴールドラット・原作 岸良裕司・監修 青木健生・脚色 蒼田山・漫画 ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478068747

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◆目次◆

プロローグ 緊急動議──傘下の3社を売却せよ!
第1章 思考プロセス──対立する雲を消せ
第2章 一筋の光明──Win-Winの解決策を探れ
第3章 犠牲(いけにえ)の3社──私の心は数字でしか動かない
第4章 根本(コア)の問題──「小さな変化」で明るい未来をつかめ
第5章 現在から未来へ──ネガティブ・ブランチを断ち切れ
第6章 最後の解決策──競合他社が真似できないことは何か
エピローグ 3つの目標──企業が繁栄し続けるために
解説 岸良裕司

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