2016年1月7日

『「後継者」という生き方』牟田太陽・著 vol.4188

【後継社長のための心構え】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833421178

30代の頃は、「自分の力を試したい」「仮説を検証してみたい」が経営のモチベーションでしたが、40代になってからは、それが「お客様のため、社員のため」に変わってきました。

ちょっと早いですが、自分に万一のことがあったら、自分亡き後、というのを真剣に考えるようになってきたのです。

となると問題になるのは、自分がいなくても回る組織作りと、後継者育成。

そこで、さっそく後継者育成について書かれた書籍を読んでみることにしました。

読んだのは、日本経営合理化協会・牟田學理事長の後継者で、現在、同社専務理事の牟田太陽氏の著書。

『「後継者」という生き方』とタイトルにあるように、組織の後継者がどう生きるべきか、どう振る舞うべきか、その原理原則と心構えが書かれています。

<「花」のある経営者を志す>に始まり、<部下に決して不安なところを見せてはいけない><先代の否定は絶対にやってはいけない>など、後継社長への箴言がたくさん書かれています。

紙数の関係で大枠しか書かれていませんが、事業発展計画書の作り方や片腕の選び方など、後継社長が行うべき実務面のポイントも軽く押さえられています。

一般のビジネスパーソンにとっては、「指名される人」の条件、経営人材となるための必須教養と言えるでしょう。

さっそく、いくつかポイントを見てみることにします。

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会社は「上場するか・売るか・長く続けるか」、この三択しかない

これは、アメリカで無一文から「紅花」という鉄板焼きチェーンを創業した故・ロッキー青木氏の言葉だが、「本当に重要なのは、ノウハウではなくノウフーだ」

世のなかを変えるのは、交通網と情報網である。それにともなって、新しく生まれる市場もあるし、消えていく市場もある。その混沌のなかにビジネスチャンスは存在するのだ

先代の否定は絶対にやってはいけない

「息子が二人いたら会社を二つつくりなさい。息子が三人いたら会社を三つつくりなさい」(日本経営合理化協会 理事長 牟田學)

幹部にすべき人は、会社への忠誠心で決める

自分の片腕候補が見えてくるあたりから、自分が社長に就いたときの中心社員も育てていかなければならない。理事長はよく講演のなかで「自分の片腕、プラス三人」と言っている。三人とは、「つくる(製造部門)・売る(営業部門)・分配する(総務部門)」の三人だ。これが最小単位の組織となる

会社のブランドイメージや方向性に直結する、デザイン、価格帯などは社員だけに決定を任せてはいけない

後藤先生が会社を継いだとき、滋賀ダイハツ販売は六億円の欠損を抱えていた。当時、滋賀県内に立っている自社の看板は他者と比べて錆だらけになっており、店舗は古臭くて暗かったそうで、先生は「これではお客様に良い印象を持たれない」と思ったそうだ。そこで銀行から追加融資をしてもらい、すべて新しくしようと決断した。(中略)先代社長の時代に、銀行に提出していた決算書には粉飾もあったそうだが、後藤先生はそれを全部正しい数字に直して改めて提出したそうだ。驚いたことに銀行の支店長は、「御社が粉飾していたのは知っていました。本当はこの状態では貸せないのですが、新社長のあなたは信用できる。あなたに貸しましょう」と言ってくれたのだ

「強く必要とされる存在」であれば、無機質な物質でも生きて輝いてくる(中略)人間でも、会社でも、商品でも、サービスでも同じことだ。誰かに強く必要とされていれば、生きて輝いてくる。ときには、命すらも長らえることができるのだ

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まさにこれから後継者となる方の心情がよく伝わる内容で、任せる側としては、良い勉強になりました。

著者が実際に後継者になった後、書かれたものもぜひ読んでみたいと思います。

後継者を育てたい経営者、後継者、将来経営人材を狙う方に、ぜひチェックしていただきたい一冊です。

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『「後継者」という生き方』 牟田太陽・著 プレジデント社

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833421178

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◆目次◆

第1章 「花」のある経営者を志す
第2章 事業承継のための心構え
第3章 苦労が後継者の心を強くする
第4章 後継者が知るべき経営者の手腕
第5章 社長になったらまずやるべきこと
第6章 いつまでも強く必要とされる存在であれ

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