2015年11月5日

『非情のススメ 超訳 韓非子』永井義男・編訳 vol.4125

【リーダー必読の古典】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/477781470X

かつて徳川家康は、「いさめてくれる部下は、一番槍をする勇士より値打ちがある」と説いたようですが、戒めを受け入れるというのは、思いの外、難しいものです。

『君主論』や『韓非子』など、古今東西、君主の戒めを説いた本は数多くありますが、 そのほとんどが受け入れられず、国は滅び、やがて他の君主がそれを読み継いで今に至る、というケースがほとんどです。

せっかく先人が残してくれた教訓を読まない手はない、ということで、本日ご紹介するのは、『非情のススメ 超訳 韓非子』です。

東京外国語大学を卒業し、『算学奇人伝』で第六回開高健賞を受賞した作家の永井義男さんが原文を超訳し、解説を加えています。

各ページの左端に原文も付されているので、安心して読むことができるでしょう。

『韓非子』が興味深いのは、いわゆる「政治」の原理が内容に織り込まれており、一読しただけでは、その深い意味がわからないこと。

しかしながら、組織を率いる人には、重要な教訓であり、下手をするとマキャヴェリの『君主論』以上に、人心掌握、社内政治の参考になります。

「人を信じると足元をすくわれる」
「好き嫌いを人に見せるな」
「仲間ぼめや足の引っ張り合いを許すな」
「役職を兼務させるな」
「沈黙していた者にも責任をとらせる」
「やさしくするとつけあがる者には、強硬手段も必要」
「清廉潔白な人は使い物にならない」
「利と名が人を呼ぶ」

ある程度長く生きて、失敗を重ねた人なら、きっと共感できる内容だと思います。

さっそく、中身をチェックして行きましょう。

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信用したのが悪いわけではない。任せきりにして、チェックをしなかったのがよくないのだ。「信用していたのに」は、自分の怠慢の言い訳である

5つの目隠しで実権を失う一は、情報を遮断されること、二は、経済力を奪われること、三は、他の人が命令を発すること、四は、他の人が規則を決めること、五は、知らぬうちに仲間が形成されること、

強引な手段で自分の利益をはかろうとすると、たとえ成功しても悪い評判が立つ。そんなときは、もっともらしい大義名分を掲げなければならない。大義名分さえあれば、利益をあげても信用は落ちない

決定権や権限を持っている人は、自分の好き嫌いを人に明らかにしてはならない。もし、好き嫌いを明らかにすれば、それに迎合する者が集まってくる

名君と称される人が事を成し遂げたのは、つぎの四つがそろったから。たんに優秀だったからではない。
一は天の時。つまり、ちょうどよい時代に生まれた運である。
二は人心。つまり、人々の心をつかむ人間的魅力である。
三は技能。つまり、すぐれた技術やアイデア、能力である。
四は勢位。つまり、上げ潮にのるように、世の中の動きにのることである。

君主が人前で我が子へ信頼を示すと、次期君主にいまのうちに取り入ろうとして、要領のいい臣下が集まり、私欲をはかるようになる

処罰の不徹底は組織や集団の規律を弛緩させ、あとに禍根を残す結果になりかねない。処罰は断固、執行すべきである

破綻の危機におちいった組織や事業を外部からテコ入れしようとしても、経費ばかりかかってなかなかうまくいかない。むしろ、手を貸さずに自滅に追い込み、数々の内部の問題点があきらかになったあとで、やおら救済に乗り出したほうがよい

はびこる不正を根絶したいが、個別に対処していては膨大な人員が必要だし、処罰される人も多数におよぶ。そんなときに効果的なのが、見せしめのために、できるだけ有名な人を処罰することである

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名言形式でシンプルにまとまっているので、読むのにさほど時間はかかりません。

起業家、後継社長、マネジャー職にある方は、転ばぬ先の杖として、ぜひ読んでおきたい内容です。

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『非情のススメ 超訳 韓非子』永井義男・編訳 辰巳出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/477781470X

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◆目次◆

第1章 法 上に立つためのリーダーの思想
第2章 術 指揮するための厳格なルール
第3章 勢 直すことのできない人間の業
第4章 道 建前ではない世間の本音
第5章 従 成功するための部下の心得

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