2015年11月26日

『着眼の技法』古我知史・著 vol.4146

【未来を創る「着眼の技法」とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4799318039

毎度ながら、サンフランシスコに来ると、ベンチャースピリットをかき立てられます。

ニューヨークは、洗練されたセレブリティの街であり、権威・ステイタスの街ですが、ここサンフランシスコは、既存の権威を破壊しようとする、起業家たちの街だと思います。

そのせいか、ここに来るとすべてを投げ出し、子どものような気持ちで勝負したい気持ちにさせられるのです。

佐々木俊尚さんの出世作は『グーグル─Google 既存のビジネスを破壊する』でしたが、まさにここ西海岸は、既存の考えを破壊しようとする野心的な人々の街。

だからでしょうか。今日はそんな気分に誘われて、破壊的な本を読んでみました。

本日ご紹介する『着眼の技法』は、独立系ベンチャー・キャピタリストの著者が、既存を破壊し、未来を創るための「着眼」の技法を語った一冊。

『星の王子さま』の挿入絵や、「メビウスの輪」、エッシャーのだまし絵などを用いながら、いかにわれわれが自由な発想・着眼点を失っているかを指摘し、どうすれば「異端の着眼」を作ることができるのか、そのヒントを示しています。

歴史や哲学、映画、建築、スポーツなど、時間やジャンルを超えて思考する著者の世界にぐぐっと引き込まれてしまい、気がつけば破壊的な思考に導かれてしまう、そんな魅力的な読み物です。

ビジネス、起業のヒントもたくさんあるので、ぜひこれはチェックしておきたいですね。

さっそく、本書のエッセンスを見て行きましょう。

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ゼロからイチへ無から有を創造するという、新しい商品サービスやビジネスモデルは、どのように突然生まれるのでしょうか? それはひとことで言えば、答えのない問題に答えを見出すクォンタム・ジャンプ(量子的飛躍)です。ある一人の個人の中に生み出された主観的で突き抜けたビジョンをクラフティング(造形)することです。そして、そのビジョンが生まれる原動力となるのが、「着眼」です。ふつうじゃない異端の「着眼」です

本来は、陰と陽はあるが二項対立ではなく、変化という先では対立が消滅するのです

異端の着眼のきっかけをつくるには、奇怪な疑問を持つことが大事

どうしても分かりたくなることがある、解決すべき問題や課題が存在する(そのように認識する)ことは、人間として幸せです。なぜなら、生命の充実した時間を過ごすことができるから。時間消費(人生)というコストを支払う価値があるからです

創業とは、永き未来に向かって発展性のある事業をつくり、次世代に引き継ぐことで、社会に新たな雇用や付加価値を継続的に生み出す、意義ある粘り強い活動を意味します

現在進行形の出来事が未来に何をもたらすのか、着眼する努力を忘れてはならない

突然生まれてくるものを予定する

未来人は現世の常識には惑わされません。未来の常識で、ブレークスルーします。未来人の着眼は現代の世の中の当たり前をコロっと変えるのです

何でもとりあえず気合いを込めて思い切り混ぜてフュージョン、融合を実現させてみる

ブドウからお酒、ワインができるのがブレークスルー、飛躍なのです。ブドウからブドウジュースでは、想像できる範囲の変化でしかありません

パラノイアやメガロマニアを仲間に入れろ

もっと謙虚に自然界のモノやコトをアナロジーすることが、イノベーションにつながる着眼になる、という素直な気づきが大事

不確実な未来に向かっては意志を持ってセレンディピティとともに生き抜く覚悟が必要です。だからこそ、単純な好奇心が必要です

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あくまで『着眼の技法』について述べた本であり、歴史の解釈や、医学的知識への見解は、専門家から見ると雑かもしれませんが、知的好奇心をかき立てられる内容です。

日本は、個人も社会も本書で言うところの「3つのブロック」(ルール・ブロック(ルールの縛り)、ソーシャル・ブロック(他人の目)、セルフ・ブロック(自分との闘い))にガチガチに縛られて、新たな事業やサービスが出てきにくい状況にありますが、本書を読めば、少しはその考えも変わるかもしれません。

本書自体が着眼を与えてくれる本であり、これはぜひ読んでおきたい一冊です。

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『着眼の技法』古我知史・著 ディスカヴァー・トゥエンティワン

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4799318039

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◆目次◆

プロローグ 答えのない未来は着眼から
第一章 着眼はイノベーションの源泉です
    異端の着眼がもたらす革新やイノベーション
第二章 未来を動かす着眼力を鍛えましょう
    身近な工夫から思い切った挑戦までいろいろあります
第三章 着眼がもたらすいくつかの未来物語
    日本国家のあり方から地球上のイデオロギーの未来まで
エピローグ 好奇的セレンディピティ
おまけメッセージ

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