2015年10月30日

『あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか』津田久資・著 vol.4119

【BCG、博報堂で学んだ勝てる論理思考】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478065179

つい数年前と、最近のベストセラーを比較して思うのは、いわゆる「権威」の書いた本が売れなくなったということ。

一時は「ハーバード」「東大」「マッキンゼー」「ゴールドマン・サックス」などと書いていれば売れたのが、現在はどうも様子が違う。

そう、成功者の顔ぶれを見ていて、みんな成功するのに「権威」は必要ないということに気づき始めたのです。

LINE前CEO、森川亮さんが書いた『シンプルに考える』にもあったように、現在はヒット商品を出し続ける会社が栄える時代。

※参考:『シンプルに考える』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478066345

企業も個人も、ヒット商品さえ出せば、急成長できる、そんな時代なのです。

では、ヒット商品を出し続けるのに必要な力とは何か?

それが、本日ご紹介する書籍『あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか』のテーマである「論理思考」です。

これを読んで、「なぜヒット商品を出すのに論理思考なの?」「アイデア発想じゃないの?」と思った方がいらっしゃるかもしれませんね。

じつは、アイデア発想の正体は、論理思考なのです。

本書の著者、津田久資さんの言葉を借りて言うなら、「競合に打ち勝つアイデアは、論理思考から生まれる」のです。

著者の津田久資さんは、灘高校出身、東大法学部の卒業生だそうですが、そんな著者も、大学卒業後に入った広告代理店の博報堂や戦略コンサルティングファームのボストン コンサルティング グループでこてんぱんに叩きのめされたそうです。

なぜなら、社会人になりたての頃の著者は、「学ぶ」ことには長けていても、「考える」ことができていなかったからです。

これは、著者に限らず、すべてのエリートに言えることで、逆に言えば「考える力」を磨けばエリートに勝てる。

だから本書のタイトルは、『あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか』なのです。

本書には、ごく普通の学歴・学力の方が東大卒に勝てる「発想力」のための思考術が書かれています。

内容のほとんどはこれまでに書かれたクリエイターの本、コンサルタントの本に出ていますが、目的と具体例が違うため、異常に読み応えがあります。

さっそく、いくつかエッセンスを見て行きましょう。

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他人のアイデアに負けたとき、僕たちはふつう、次のどちらかが原因だと考える。
・知識の量が足りなかったから負けた
・ひらめきの力が足りなかったから負けた
つまり、「論理が足りなかったせいで負けた」などと考える人は、なかなかいない

これまでの「頭がいい人=学ぶのがうまい人」から「頭がいい人=考えるのがうまい人」へと知の条件が変化した

アイデアの戦場は「しまった」が9割である

アイデアの質を高めたければ、発想を広げ、発想の総量を増やすことが重要

天才にはさまざまな定義があり得るが、僕は以前から「早熟かつ多作であること」を天才の条件だと考えている

狭く、狭く、狭く考える人ほど、発想を広げられる

「どんな自動車があるか?」という質問に出会ったら、まずやるべきことは、思考の境界線(フレームワーク)を設定することだ。さまざまな軸の境界線があり得る。
・トヨタ車かどうか(軸──メーカー)
・200万円より高いかどうか(軸──価格)
・1500cc以上か未満か(軸──排気量)
・赤いか赤くないか(軸──色)
・国産車か外国車か(軸──生産国)

発想の質≒発想の広さ=(1)情報量×(2)加工率×(3)発想率

◆優れたチェックリストの条件
・項目にモレがない
・項目ができるだけ具体的である

モレを防ぐには、段階的に分けるしかない

徹底的に「受け身」な人ほど知識の「幅」が広がる(情報流入)

◆MECEかどうかを検証する「計算アプローチ」
・足し算アプローチ(「何と何の和なのか?」を考える)
・引き算アプローチ(「何と何の差なのか?」を考える)
・掛け算アプローチ(A=B×CであるようなかたまりAをBとCに分解する)
・割り算アプローチ(上記Aの要因をBとC2つの可能性で考える)

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最近は、この手の思考本にうんざりしていたのですが、本書はひさびさにテンションが上がった一冊です。

ヒットを生み出すための考え方、競合に負けない発想をするための考え方が書かれているので、成果を出したい個人が読むのは当然として、企業研修にも使えるのではないでしょうか。

ぜひ、読んでみてください。

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『あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか』津田久資・著 ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478065179

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◆目次◆

第1章 思考のフィールドで勝つ
    マッキンゼーと東大卒の「頭のよさ」はどう違うか?
第2章 思考の幅を広げる
    アイデアの「孫悟空」にならない、唯一可能な方程式
第3章 論理的に考える
    天才に近づく思考法
第4章 発想率を高める
    広大な砂漠で宝を掘り当てるには?
第5章 発想の材料を増やす
    知識の鵜呑み・食わず嫌いを無くす、したたかな戦略
第6章 発想の質を高める実践知
    「生兵法」で大怪我をしないために…
第7章 〔付論〕結論思考の情報収集術
    なぜあの人の新プロジェクトはコケたのか?
終 章 あの人はなぜ、東大卒に勝てるのか?
    知的下剋上の時代を生き抜く

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