2015年9月13日

『「時間消費」で勝つ!』松岡真宏、松本渉・編著 vol.4072

【「時間消費」注目の論考第2弾!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/453232033X

お金でもない、ステイタスでもない「何か」が消費を動かしている昨今、その本質を説いたことで注目された書籍があります。

※参考:『時間資本主義の到来』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/479422088X

著者は、松岡真宏さん。

松岡さんは、野村総合研究所やUBS証券などで流通・小売り部門の証券アナリストとして活躍し、株式調査部長就任後、産業再生機構でカネボウやダイエーの再生計画策定を担当した人物です。

前著で述べられていた要点をまとめると、<高齢化とは国民全体で平均余命が少なくなることと同値であり、国民全体で見た時間の希少性は否応なく高まっている>。

つまり、「時間」こそが現在の消費行動を解き明かす鍵となっているわけですが、その時間価値は以下の2つに分かれます。

1.その物やサービスを使うことによって時間が短縮でき、有意義な時間が生み出される=「節約(saving)時間価値」
2.その物やサービスを利用することによって、有意義な時間が生み出される=「創造(creative)時間価値」

つまり、人々は時間が節約できたり、有意義に過ごせるサービスにプレミアムを払う可能性がある、ということです。

松本渉さんと共著で書いた今回の本では、いままさに起こっている時間消費のリアルを著者が分析し、まとめています。

現在当たっている企業、商品の例をいくつも載せ、時間消費の時代に企業が勝つ方法を指南しています。

では、さっそく見て行きましょう。

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たかだか五〇円を節約するためだけに、言い換えれば五〇円という貨幣的価値の受け取りのために、三〇分という「かたまり時間」をかけてモールに行くという行動は徐々に人気が薄れてくるだろう。また、様々な商品やサービスについても、それらを購入して、使用して、使用後に廃棄するという一連の消費行動の手間をいかに省いてくれるかというところに、消費者は価値を求めるようになるだろう

第三次産業は産業や人口が集中していればいるほど生産性が向上し、さらなる産業の集中をもたらすという循環(スパイラル)が生まれやすい

「時間価値」が重要になってくると、消費者の行動が保守的になる。消費行動における選択の失敗が、とりもなおさず時間の無駄になるからであり、それは「時間価値」極大化とは正反対の結果となるためである

時間をかけてでも自分だけの一品・サービスを選びたいという消費行動が行われるため、「探す」行為をエンターテイメント化するサービスも出てくる

今後の交通ビジネスは、「節約時間価値」ではなく「創造時間価値」の追求が重要になるかもしれない

◆時間資本主義の到来を加速させる3つの変化
「購買プロセスの細分化」
「消費者のmoving target化」
「モノとコトの融合化」

アマゾンや楽天などネット販売大手は、(中略)多額の投資を行いながら、レコメンデーション(推奨)技術の開発を継続的に行っている

気軽に農業を体験したい消費者のニーズに応えて急成長しているのが農業ベンチャー企業「アグリメディア」(東京)が展開する「シェア畑」「おうち畑」といった農業体験サービスだ

伸び盛りの「さっと作れる」高級インスタント市場

六本木ミッドタウンにあるアンテナ店舗では手間隙かけて作った高級液体だしやお湯に浸すだけの「だしパック」が飛ぶように売れている

中国では、移動時間・待ち時間・選択時間を削減して「さくっと」用を済ませる「さくっとニーズ」対応サービスが急拡大

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前回と重複する内容もありますが、何より事例が豊富で重宝します。

今売れているあの商品がなぜ、売れているのか。今後売れなくなる商品・サービスは何なのか。実名入りで紹介しているものも多く、これは要チェックの一冊です。

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『「時間消費」で勝つ!』松岡真宏、松本渉・編著 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/453232033X

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◆目次◆

第一章 時間消費の新潮流とは?
第二章 購買プロセスの分解が生み出すビジネスチャンス
第三章 モノとコトが融合する時代
第四章 「動きまわる」消費者の台頭

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