2015年8月29日

『経営者になるためのノート』柳井正・著 vol.4057

【ユニクロが公開。経営者になるためのノートとは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569826954

『風姿花伝』『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』『小さなスーパーの世界一のサービス』……名著と呼ばれる本のなかには、「身内向けに書かれたもの」がいくつかありますが、その多くは、一般向けに書かれた本と違って、具体的かつ実践的、かつ読み手の心を震わせます。

『経営は実行』とは、よく言われることですが、実行しようと思ったら、その指導内容にも、具体性が欲しい。ノウハウ書にも同じことが当てはまると思います。

本日ご紹介する一冊は、「ユニクロ」を擁するファーストリテイリング社が、急成長を支える人材を育てようとまとめた『経営者になるためのノート』を、書籍化した一冊。

もともと社内資料だったということもあり、書いてある内容は恐ろしく具体的かつ実践的で、これまでどんなビジネス書を読んでもピンと来なかった、という方にはぜひ読んでいただきたい。

まして、お店の店長に指導したいと考える経営者なら、本書以上に優れたテキストには、なかなかお目にかかれないと思います。(あるとしたら、上記の『小さなスーパーの世界一のサービス』ぐらいでしょうか…)

※参考:『小さなスーパーの世界一のサービス』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4761266414

ファーストリテイリング社が、経営者を育てるために作ったというノートに、どんな内容が書かれているのか。

さっそくチェックしてみましょう。

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経営者に求められているのは、「成果をあげること」。これに尽きます。成果とは、「約束したこと」です

ファーストリテイリングは、「服を変え、常識を変え、世界を変えていく」というステートメントに集約された「使命感」を持っています

会社の使命と成果が結びついていること。それが経営の原則です

「そこそこできる経営者」ではなく、「社会に大きく貢献し、社会をよくする経営者」になっていってほしい

業界は過去、顧客は未来、ライバルではなく顧客に集中する

常識を疑ってかかり、常識にとらわれないで実行してみた結果、成功したイノベーションの有名な例に、セブン─イレブンの「夏のおでん」「冬のアイスクリーム」があります

自分たちの店は、世界で一番きれいか。
自分たちの店は、世界で一番買い物がしやすい店か。
自分たちの接客は、世界で一番気持ちのいい接客か。
自分たちの商品は、世界で一番付加価値の高い商品になっているか。
自分たちの工場は、世界で一番品質のよいものを作れる工場になっているか。
自分たちの管理システムは、世界で一番優れたシステムになっているか。

・清掃が行き届いていて、常に清潔で気持ちのいい状態にする。バックヤードもきれいで、商品を探しやすく、働きやすい環境にする
・商品陳列はお客様から見て分かりやすく、美しく、きちんと整った状態にする。乱れているところがあったらすぐ直す
・値札が見やすいように工夫する。価格表示の間違いがないか気を配る
・欠品がないように適正な在庫管理をする。品出しをする
・売れ筋商品で棚が構成されるようにし、死に筋商品を排除する。また、そうしたことができるシステムを作る

例えば、ある商品の商売計画がうまくできていなくて、期間中、後追い、後追いで発注。結果的にお客様が求めるタイミングで必要とされる量を提供できなくて、期中欠品が発生したとします。この場合、たとえその商品の売上が前年以上だったとしても、きちんと商売ができなかったと反省をしなければだめです

経営者としての本道以外のことには近寄らず、度を過ぎた贅沢をすることを慎み、まじめに経営道を歩む

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おそらくは、マネジメント初心者に向けて書かれている本だと思いますが、起業して11年経った今でもできていないことが書かれていて、じつに勉強になりました。

こんな本を、若い時分に読めるファーストリテイリングの社員は、本当に幸せだと思います。

本気で書き込めるように作られた斬新な本作りにも、注目したい。

ぜひ買って読んでみてください。

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『経営者になるためのノート』柳井正・著 PHP研究所
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569826954

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◆目次◆

序章 経営者とは
本編 経営者に必要な四つの力
第一章 変革する力
第二章 儲ける力
第三章 チームを作る力
第四章 理想を追求する力

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