2015年5月9日

『やってはいけない「実家」の相続』天野隆・著 vol.3945

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祖父母が亡くなり、父が亡くなり、いよいよ土井家も本格的に相続を考えなければいけない時期になってきています。

また、自分の子どもたちのことを考えても、そろそろ準備をしないと、という段階に入ってきています。

そこで興味を持ったのが、本日ご紹介する、『やってはいけない「実家」の相続』。

土井と同じように、実家が現住所から離れたところにある方は、きっと気になるタイトルだと思います。

本書によると、<現代日本の典型的な相続のパターンは、夫に先立たれて実家にひとりで住んでいた母親が、子ども2、3人を遺して亡くなるというもの>。

母親が80代から90代の高齢で亡くなるケースが多く、相続人である子どもたちは、すでに持ち家があるパターンが多いそうなのです。

そこで問題になるのが、実家をどうするか。

資産価値があり、売却or賃貸ができる物件ならまだいいですが、売るに売れない物件だったりすると、厄介さも倍増。また、家族にとっては思い出の場所なので、簡単に処分もできないのが難しいところです。

本書では、こんな複雑な「実家の相続」を、税制面、遺族の心情面から、徹底アドバイス。

どうしたら兄弟でもめないか、どうすれば相続税が安くなるか、どうすれば心情的に満たされるか。

これまでの相続本にはない切り口とアイデアがあり、じつに興味深い一冊です。

いくつか、本文から気になったポイントを挙げておきましょう。(税制改正のポイントは、さんざん紹介したので省略します)

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モメにくい構成は、第一子が長男、第二子が次男、第三子が長女という場合です。とくに、長男が同居していると、まずモメません

第一子が長女、第二子が次女、第三子が長男となると、多少問題が出てきます。本家意識の強い親だと、男子に財産を相続させたいかもしれません。しかし、きょうだいにも年功序列があるので、長女はおもしろくありません

芸術家でも趣味人でも仕事人間でも、強い関心事を持っている人は相続で時間をつぶされるのを嫌がります。そうした人たちがきょうだいに多くいると、モメにくいはずです

空き家になった実家を貸せば、家賃収入が入ります。しかも、貸家にすると、建物の相続評価は30%引き、土地はこの場合15%引き、さらに小規模宅地の評価減により50%引きになります

お金に余裕があれば、家を売らずにそのまま維持して、亡くなったお母さん(あるいはお父さん)の“記念館”にするというのもひとつの方法です。お母さんが生きていたときと同じ状態で維持をして、居間に家族の歴史を彩る写真を飾ったり、お母さんが好きだった絵手紙や、裁縫の作品、草木染めの作品などを飾るわけです

税制面からいうと、土地を更地にすると税金が上がってしまうのです。建物がある場合にくらべて、更地では固定資産税が6倍弱になります

「住まない実家」の売却は、3年目が目安になります。なぜなら、住まなくなってから3年目の年末までに売ると、売買金額にかかる税金が安くなるからです。居住用の特例という制度があって、譲渡益3000万円までは課税されません。それ以降になると、20・315%の税率で譲渡益に課税されます。つまり、手取りは約8割に減るわけです

2014年1月から、二世帯住宅も同居とみなされるようになりました。二次相続のときに、二世帯住宅でも「小規模宅地の評価減」が適用されて、評価額が8割減となったのです

相続放棄をするときは、相続が開始した(亡くなった)ことを知った日から3カ月以内に家庭裁判所に申述する必要があります

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基本的なことも数多く書かれていますが、初めて相続の本を読む方にとっては、丁寧に書かれており、かつ実際に知りたいことが書かれていると思います。

ぜひ読んでみてください。

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『やってはいけない「実家」の相続』天野隆・著 青春出版社
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◆目次◆

第1章 住まない、売れない、分けられない…「実家」は相続するべきか?
第2章 「住まない実家」のしまい方にはコツがある
第3章 知らないと困る! 相続の基礎知識
第4章 日本一相続を見てきてわかった「相続以前」に大切なこと]

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