2015年4月23日

『HARD THINGS(ハード・シングス)』ベン・ホロウィッツ・著 vol.3929

【絶望の淵で、CEOはどうあるべきか】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822250857

起業をすると、資金繰りや人材、経済環境の急激な変化など、思ってもいない事態に直面することがままあります。

企業の継続年数というのは、その企業がどれだけ困難に「耐えたか」の指標であり、また経営者が精神的困難をどれだけ乗り越えたかの指標でもあります。

本日ご紹介する一冊は、ネットスケープ創業者のマーク・アンドリーセンとともにベンチャーキャピタル「アンドリーセン・ホロウィッツ」を立ち上げたシリコンバレーのカリスマ投資家、ベン・ホロウィッツによる起業家へのアドバイス。

初期のネットスケープ社に加わり、自身起業して会社上場を経験、上場廃止宣告を受け、さらに売上の90%を占めていた最大の顧客からの最後通告、まさかの猶予期間60日で大逆転を果たし、最後は売却に成功した著者。

世界的に広く知られる花型経営者ではないですが、幾多の試練を乗り越えた著者の経験則とアドバイスは、いまもシリコンバレーのスター経営者たちに支持されているようです。

・安い買い物は「花」、高くつくものは「離婚」
・ビジネス上の関係は、緊張が強すぎてもなさすぎても長続きしない
・資金を個別調達する時は「ひとりの投資家を探せ」
・人、製品、利益を大切にする──この順番で
・良い会社でいることは、それ自体が目的である
・正しい野心を持った人材を採用する

いずれのアドバイスも興味深いのですが、テーマから言って、本書のハイライトは、以下の「つらいときに役に立つかもしれない知識」でしょう。

おまけに97ページの「苦闘とは」という長い文章を引用しておきますが、おそらく現在困難に直面している経営者にとっては、こちらの方がぐっと来るでしょう。

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◆つらいときに役に立つかもしれない知識
・ひとりで背負い込んではいけない
・単純なゲームではない(苦闘は戦略が必要なチェスだ)
・長く戦っていれば、運をつかめるかもしれない
・被害者意識を持つな
・良い手がないときに最善の手を打つ

 苦闘とは、そもそもなぜ会社を始めたのだろうと思うこと。苦闘とは、あなたはなぜ辞めないのかと聞かれ、その答えを自分もわからないこと。苦闘とは、社員があなたはウソをついていると思い、あなたも彼らがたぶん正しいと思うこと。
 苦闘とは、料理の味がわからなくなること。苦闘とは、自分自身がCEOであるべきだと思えないこと。苦闘とは、自分の能力を超えた状況だとわかっていながら、代わりが誰もいないこと。苦闘とは、全員があなたをろくでなしだと思っているのに、誰もあなたをクビにしないこと。苦闘とは、自信喪失が自己嫌悪に変わること。苦闘とは、苦しい話ばかり聞こえて、会話していても相手の声が聞こえないこと。苦闘とは、痛みが消えてほしいと思うとき。苦闘とは、不幸である。苦闘とは、気晴らしのために休暇を取って、前より落ち込んでしまうこと。苦闘とは、多くの人たちに囲まれていながら孤独なこと。苦闘は無慈悲である。
 苦闘とは、破られた約束と壊れた夢がいっぱいの地。苦闘とは冷汗である。苦闘とは、はらわたが煮えくり返りすぎて血を吐きそうになること。苦闘は失敗ではないが、失敗を起こさせる。特にあなたが弱っているときにはそうだ。弱っているときは必ず。

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マーク・ザッカーバーグ、ラリー・ペイジが絶賛したのも納得の、起業家のためのアドバイス集です。

ぜひ読んでみてください。

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『HARD THINGS(ハード・シングス)』ベン・ホロウィッツ・著 日経BP社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822250857

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◆目次◆

日本語版序文 小澤隆生
イントロダクション
第1章 妻のフェリシア、パートナーのマーク・アンドリーセンと出会う
第2章 生き残ってやる
第3章 直感を信じる
第4章 物事がうまくいかなくなるとき
第5章 人、製品、利益を大切にする──この順番で
第6章 事業継続に必須な要素
第7章 やるべきことに全力で集中する
第8章 起業家のための第一法則──困難な問題を解決する法則はない
第9章 わが人生の始まりの終わり
謝辞
訳者あとがき

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