2015年3月4日

『人生の極意』佐藤優・著 vol.3879

【佐藤優の人生相談本】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4594072283

本日の一冊は、外交官から作家に転身し、大成功した著者が、さまざまな書籍のエッセンスを用いながら、読者の人生相談に答えた一冊。

もともとは『週刊SPA!』の人気連載(「佐藤優のインテリジェンス人生相談」)だったもので、相談内容も下世話なものから真面目なものまで、多岐にわたっています。

「年収120万円未満で生活も結婚もできません」
「子どもができないことが不安でたまりません」
「生涯フリーターの何がいけないのか?」
「日本はキリスト教徒には生きづらい国です……」
「病気の俺は会社に必要のない人間なのか?」
「法令違反だらけで倒産寸前の会社にいます」
「震災後、無気力で毎日泣いてばかりいます」

など、結構深刻な内容が多く、答える著者のインテリジェンスがキラリと光る内容です。

読書好きな方には、読書ガイドとして、悩み多き人には人生のヒントとして、役立つ内容ですが、じつは普段、人前でしゃべったり、相談を業として行っている方には、受け答えのテクニックとして役立つ本だと思います。

コーチングの例を挙げるまでもなく、「相談に乗る」というのは、それだけで稼げるスキル。

どんな悩み、質問にも答えられるようになるために、ぜひチェックしておきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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資本主義社会では、カネがなくては生きていけません。土地も資産も持っていない人は、労働力を売り、それでカネを得ます。労働力の価格は市場で決まります。今の日本では労働力の価格が極端に低くなっています

意のままにならないものがあると自覚している人は孤独にならない

ニクラス・ルーマンは信頼の意義についてこう述べています。
<信頼が社会的な複雑性を縮減するのは、信頼が情報不足を内的に保障された確かさで補いながら、手持ちの情報を過剰に利用し、行動予期を一般化するからである。そのさい、信頼は、同時並行的に形成される他の縮減の働き──例えば、法、組織、そして当然のことながら言語の働き──をつねに頼りにしているが、それらに還元されるわけではない。たしかに、信頼は、世界を成り立たせている唯一の基盤ではない。けれども、かなり複雑な社会が成立しなければ、高度に複雑でしかも構造化された世界を表象することはできないし、また信頼が存在しなければ、高度に複雑な社会を構成することはできないのである>(『信頼 社会的な複雑性の縮減メカニズム』)

信仰か家庭かを迫る宗教は、あまりよい宗教ではありません

まずは自分の実力を“数値化”してみよう

「あの世」のイメージを持つことは、「この世」の生活を豊かにするうえで役に立ちます

国のために働いている方々には、むしろ一定のインセンティブをあげるべきです。さもなければ優秀な人材ほど海外に流出していく

今の仕事が「自分の気持ちを裏切っている」と考えるならば、新しい仕事を本気で探すべきです

あなたが置かれている現実は、あなた自身が忌避する出版物による売り上げによって賃金を得て、生活をしているということです。この状況が嫌で仕事を辞めるという選択も一つと思います。しかし、それで社会の構造が変わるとは思いません。別の職業につけば不満が解消されるとは限りません。どの職業にも何らかの構造的矛盾があるからです。資本主義社会で、きれいな生活をするのは至難の業です。どこかで折り合いをつける必要があります

特定の外国人をよく知りもせずに毛嫌いしていると、結果として日本人が変な民族と思われます。見本民族の恥になるようなことはやめましょう

自分の趣味について干渉されたくないならば、その原則を他人に対しても適用するべきです。そうでないと社会が窮屈になります

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『人生の極意』佐藤優・著 扶桑社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4594072283

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◆目次◆

第一章 生活
第二章 社会
第三章 事件
第四章 恋愛
第五章 人生

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