2015年1月3日

『人間を考える』松下幸之助・著 vol.3819

【目からうろこ。松下幸之助の人間観】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569822274

お金の知識、人脈、営業スキル…。ビジネスで成功するために必要な物はたくさんありますが、究極のところ、必要になるのは「人間観」ではないかと最近思うようになりました。

どんなに功利的に考えても、組織を大きくしたり、他者と協力しようとすると、必ず壁にぶち当たる。

それを乗り越えるためには、私利を超えた公共の利益を考える必要があるわけで、その時に「人間観」が必要になると思うのです。

そんなことをふと考えていた時に目に入ったのが、本日ご紹介する松下幸之助の『人間を考える』。

稲盛和夫氏が、尊敬する松下幸之助の哲学書であり、SBIホールディングスの北尾吉孝氏をして「青年、立志、晩年──人生の岐路に三度読みたい本」と言わしめた、珠玉の一冊です。

人類の歴史を概観し、この宇宙に働いている「理法」に従って成功するには何が必要かを説いた、興味深い思想書です。

著者が説く宇宙の理法とは、以下の通りです。

<この宇宙の動き、いいかえれば、この宇宙全体に働いている理法とはいったいどのようなものなのでしょうか。一言でいえば、宇宙に存在するいっさいのものは、常に生成し、絶えず発展しているということです>

仕事をする際には、この理法を理解して行わなければならない。それを説いたのが、以下の文です。

<人間は、みずからの知恵の働きによって、生成発展しつつある万物とそれを動かしている自然の理法を逐次認識していくことができる本性をもっています。そして、ただ単にそれを認識するというだけでなく、さらに進んでは、その理法に従って万物をみずからの生活の上に生かし、活用することによって、広く共同生活を高め、物心一如の調和ある繁栄を招来することもできるのです>

そして、この考え方をマネジメントにまで発展させると、以下のような考え方になるわけです。

<人間が万物を支配活用するにあたっては、人間みずからの意欲をほしいままにして、好き勝手にやればよいというものではありません。やはり、自然の理法に従ってこれを行うということが大切です。すなわち、万物それぞれにどのような特質があり、いかなる存在意義を与えられているかということを考え、それを明らかにしつつ、それぞれの存在意義を全うさせるという姿において支配活用するのでなくてはならないと思います>

本書にはこのように、経営者・ビジネスマンが物事にあたる際の、盤石な指針が説かれています。

道に迷った時は、ぜひひも解きたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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かつて人間は、たくさんの小さな集団に分かれて、互いに相争うことが絶えなかったといわれています。しかし、そういうことをくり返しつつも、長年にわたって知恵を積み、体験を重ねてきた結果、今日では、だいたいにおいて、世界の各国が互いに交流、友好を保つようになってきました

この宇宙の動き、いいかえれば、この宇宙全体に働いている理法とはいったいどのようなものなのでしょうか。一言でいえば、宇宙に存在するいっさいのものは、常に生成し、絶えず発展しているということです

人間は、みずからの知恵の働きによって、生成発展しつつある万物とそれを動かしている自然の理法を逐次認識していくことができる本性をもっています。そして、ただ単にそれを認識するというだけでなく、さらに進んでは、その理法に従って万物をみずからの生活の上に生かし、活用することによって、広く共同生活を高め、物心一如の調和ある繁栄を招来することもできるのです

人間が万物を支配活用するにあたっては、人間みずからの意欲をほしいままにして、好き勝手にやればよいというものではありません。やはり、自然の理法に従ってこれを行うということが大切です。すなわち、万物それぞれにどのような特質があり、いかなる存在意義を与えられているかということを考え、それを明らかにしつつ、それぞれの存在意義を全うさせるという姿において支配活用するのでなくてはならないと思います

衆知というものを考える場合に大事なことは、ただ人が集まり、その知恵が出されれば衆知になるというものではないということです。その人々が、個々の利害得失や感情にとらわれることなく、相互に知恵を出しあって、何が正しいかということを見いだそうというか、よりよき道を求めていこうということで、知恵と知恵との真剣な話しあいといった過程があって初めてそれが衆知となるのです

個々の知恵が非常に低い状態にあったならば、それに応じて、そのときの衆知というものも比較的低いものにとどまってしまうでしょう。一人一人の知恵が高まるにつれて、それだけその集団の衆知も高いものになっていくわけです。だから、個々の人間は、常に知識を深め、知恵を磨いていくよう心がけなくてはなりません

人に対しても物に対しても、これらを天与のものとして、あるがままに認めるという態度は、いっさいのものを生かすもとになる

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『人間を考える』松下幸之助・著 PHP研究所
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◆目次◆

新しい人間観の提唱「新しい人間観の提唱」
序 章 なぜ「新しい人間観」を提唱するのか
第一章 宇宙というもの
第二章 宇宙と人間との関係
第三章 人間の天命とそれを生かす道
第四章 長久なる人間の使命
第五章 人間の共同生活の意義
補章 衆知による日本の歩み
真の人間道を求めて「新しい人間道の提唱」
序 章 人間観から人間道へ
第一章 いっさいを容認する
第二章 いかに処遇するか
第三章 人間道を支えるもの
第四章 調和共栄をもたらすために
補章 人間道の実践を願って
付章一 先人の足跡を生かすもの
付章二 人間道にもとづく共同生活像

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