2014年12月12日

『「ちきりん」に学ぶ、自分メディアの作り方』ちきりん・著 vol.3797

【「ちきりん」に学ぶ、自分メディアの作り方】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163901752

本日の一冊は、大人気ブログ「Chikirinの日記」の著者、ちきりんさんが、無名の会社員からトップブロガーに上り詰めた戦略と、ブランディングのポイント、執筆上の工夫をまとめた注目作。

「Chikirinの日記」の過去のベストエントリも21本掲載しており、なぜ著者が人気を博したか、ネットでどんなコンテンツがウケるのか、ヒントになる一冊だと思います。

土井の周りでも、知名度を上げるためブログを書き始める方がたくさんいますが、ほとんどの場合、すぐにアクセスは稼げず、次第に執筆頻度が落ちて挫折してしまいます。

本書を読めば、トップブロガーになる人はそもそも最初の執筆動機、戦略が違うと瞬時に理解できるはずです。

ちきりんさんが日記を書いたきっかけは、小学校5年生の時に高野悦子さんの『二十歳の原点』を読んだことでした。

学生運動が激しかった1960年代に立命館大学に在籍し、生き方や恋愛に悩んだ末、20歳で自ら人生の幕を閉じた著者。

そんな著者の日記がベストセラーになったわけですが、それを見て衝撃を受け、ちきりんさんも紙の日記をつけ始めました。

つまり、「Chikirinの日記」は、読者を意識しないところから始まっているのです。

人間の思想に触れるのはある種の快楽ですが、最初から読者を意識して書くと、その快楽が失われてしまう。

『ビジネスマンの父より息子への30通の手紙』はじめ、ベストセラーに私的な文書が多いのも、その証拠だと思います。

ちきりんさんも、本書のなかでこう述べています。

<「はじめまして! よろしくお願いします!」と書く人は、最初から読者の存在を意識しています。けれど自分しか読まない日記を何十年も書いてきた私には、読者に向けて挨拶をするということ自体、思いつきませんでした>

<「ブログのランキングに参加しています」「ポチッと押して応援してください」といったボタンを設置することにも違和感がありました>

著者は独自ドメインも取らず、実名も社名も学歴もプライベートも公開せず、あくまで中身で勝負した著者。

そんな著者のコンテンツ戦略、ブランディング戦略が学べるのが、本書『「自分メディア」はこう作る!』です。

「自分のメディアを作るための5か条」や、「サイレントマジョリティを意識する」ことなど、参考になる話が満載です。

◆自分のメディアを作るための5か条
1.コンテンツを散逸させない
2.ネットの中の人にはならない
3.つながる世界でつながらない
4.オープンな場所に居続ける
5.信用力を売らない

自分ブランドを構築したい人、人に伝えたい何かがある人、出版で成功したい人は、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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私は文章内で、「ちきりんは……」と自称します。自分の固有名詞を一人称として使う文章は子供っぽく、甘えた印象を与えるし、そういった表記を快く思わない読者もいらっしゃると思います。ですが、本人の私がそれを気持ち悪く思わない理由は、“ちきりん”が自分ではない、独立したキャラクターだと認識しているからです

ツイッターでは気軽に「結婚していますか?」などの質問を受けますが、私はネット上で10年も活動しています。もしもその間に「未婚→結婚→離婚」といった変化が起こっていたら、どうなるのでしょう?

今はどんなに有名な人でも「実際に会う可能性がゼロではない」と思えて、気軽には書けません。何かの事件が起こり、逮捕された段階でエントリを書いて、あとから冤罪だと判明したこともあれば、実際に犯罪が行われていた場合においても、その人が刑期を終え、罪を償った後にまで、自分がその事件について書いた文章が残ることの意味も、理解していませんでした

もうひとつ気にしているのは、なめらかに発音(発声)できる文章を書くことです。書籍もブログも、最後には必ず音読し、スラスラ読めるよう「てにをは」や語彙を整えます

思想に関わるエントリを検索されやすい時期に書くと、注目を集める

フェイスブックは実名SNSなので、「自分のリアルな友人に知らせたい、意義のある話」が、より積極的に拡散されます

◆取材や執筆依頼を受けるか否かの判断基準
・時間や手間がかからないか
・ブログを読んでほしいと考えている特定の共通点を持つ読者を、どれくらい増やせるか

強いブランドには、一目で「これはシャネルだ」「コカ・コーラだ」「ポルシェだ」とわかり、そのブランドイメージまで伝えてしまう強力なアイコンがあります。「そんじゃーね」が私のブログへのリ
ンクとして使われているのを見た時、私は「この言葉を見れば、『Chikirinの日記』だとわかる人が出てきた」ことを理解しました。そして「これを利用しない手はないよね」と考え、それ以降、ブログの結びを「そんじゃーね」に統一したのです

「Chikirinの日記」が成功した最大の理由は、コンテンツ消費の舞台が既存メディアからネットメディアに移行したタイミングと、私のブログ運営ポリシーがベストフィットしたことです。2005年
から2014年までの10年間は、必ずしもネットに詳しくなかった一般の人たちが、コンテンツ消費の場所を既存の媒体からネット媒体に移行させ始めた時期と重なっています

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『「自分メディア」はこう作る!』ちきりん・著 文藝春秋
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163901752

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◆目次◆

裏を知る篇 『「Chikirinの日記」の育て方』
第一章 出発点
第二章 ブレーク!
第三章 自分のメディアへ
第四章 今、そしてこれから
表を読む篇 『ベストエントリ集』
GROWTH
CAREER
RELATION
EDUCATION
POLITICS
BUSINESS

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