2014年11月22日

『勝てるROE投資術』広木隆・著 vol.3777‏

【ROEを理解し、株で勝つ。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532356199

本日の一冊は、マネックス証券株式会社のチーフ・ストラテジスト、広木隆さんによる、ROE投資の本。

著者によると、ROE(自己資本利益率)は、JPX日経インデックス400という新指数の登場、自社株買いなど高まる株主還元の意識、安倍政権が掲げる新成長戦略などとの関連を語らないと意味がない。

一般的に言って、指標というのは、メインプレイヤーが「注目」することで現実を動かすのであり、株投資で勝とうと思ったら、人々が今「注目」している指標を学ばなければダメということです。

ではなぜ今、ROEなのか?

それは、今やわが国株式市場の最大の保有主体となった外国人投資家がROEに注目しているから、そして情勢的に微妙ではありますが、安倍政権の成長戦略に、「グローバル水準のROEの達成」が謳われているから、そしてそれに伴って「JPX日経インデックス400」のような新指数が登場。新規の組み入れ銘柄は株価を大きく上げる可能性があるからです。

本書では、このような背景で注目されるROEについて、そもそもどんな概念・計算式なのか、ROEという指標をどう株式投資に使っていけばいいのか、落とし穴は何なのか、丁寧に解説しています。

なかでも本書の白眉は、「JPX日経インデックス400」の選定方法について書かれた部分。

銘柄のスクリーニングとスコアリングの基準がわかるため、どの企業がこれから組み入れられるのか、どの企業が除外されるのか、ある程度、事前に当たりをつけることができます。

株で勝つためには、他者が持っていない先行指標をいくつ持つかが重要ですが、本書は、その一助となる一冊だと思います。

まったく株に興味のない人が読むと骨が折れますが、ある程度勉強した人なら、きっとワクワクしながら読めるはず。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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日本企業は、本業の利益率が圧倒的に低いため、低ROEに甘んじている

ROEの高い銘柄を買ってはいけない

「ROEの平均回帰性」もまた市場関係者にはよく知られている。高ROE企業のROEは期間を経るごとに下がりやすく、逆に低ROE企業のROEは上がっていく

ROEの水準よりむしろROEの改善度が“その後”の株価に大きく影響する

PBRの最も低い階層のなかでROEが最も低い銘柄グループが、異様に高いリターンをあげている

「自己資本比率が高い」「売上高成長率が高い」「売上高営業利益率が高い」銘柄ほど、ROEの持続性が高いということが判明した

14年8月29日時点の20位以内にはソフトバンク、JT、ヤフーなどが並んでいるが、これらはすでにJPX日経400の構成銘柄に選ばれている。重要なのは、「上位だが選ばれていない銘柄」、あるいは「下位だが選ばれている銘柄」である。前者は次の入れ替えで新規に採用される可能性が高く、後者は除外される可能性が高い

企業業績と市場評価の変化を常に追いかける習慣をもつこと──それこそが、投資の王道である

最大のリスクはその国家戦略、国策が不発に終わることである

内部留保はROEを計算する際の分母である純資産に含まれるから、これがたまっていけば分母が大きくなって、ROEは低下する

結局、企業価値を決めるのは営業資産から生み出されるキャッシュフロー

<投資の心得5箇条>
1.この世は不確実である。不確実の世の中で相場を張るには、
2.少しでも儲かる可能性の高いときに、
3.少しでも儲かる可能性の高いものに、投資を行う(賭ける)ことが肝要である
4.不確実の世の中だから絶対儲かる保証はないが、
5.確度の高いもの(期待値がプラスなもの)に投資(賭け)続けると(すなわち試行を多くすると)儲かる確率が高まる

日本株式市場はニューヨーク証券取引所(NYSEユーロネクスト)の時価総額では4分の1だが、上場企業数は1・4倍もある

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『勝てるROE投資術』広木隆・著 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532356199

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◆目次◆

序 章 20年振りにやってきたROEの時代
第1章 そもそもROEとは何か?──いちから学ぶROEの基本
第2章 ROE投資術 実践編(1)高ROE銘柄を、買ってはいけない
第3章 ROE投資術 実践編(2)原データに触れ、手を動かす
第4章 ROE革命の死角(1)配当・自社株買いとROEの関係再考
第5章 ROE革命の死角(2)コーポレートガバナンスと21世紀の資本論
最終章 やっぱり前を向く──結びにかえて投資の極意

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