2014年10月31日

『幸せの経営学』酒井穣・著 vol.3755

【幸せを実現する経営学の知識とは?】
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本日の一冊は、フリービット非常勤取締役、NPOカタリバ理事、事業構想大学院大学客員教授などの肩書を持ち、ベストセラー『はじめての課長の教科書』の著者としても知られる酒井穣さんが、幸せを実現するための経営学の知識をまとめた一冊。

※参考:『はじめての課長の教科書』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/479931467X

本来、崇高な目的を持っていたはずなのに、単なる金儲けの道具と化してしまった経営学を見直し、どう知識を活用すれば、社会が幸福になるのか、著者なりの考察とまとめがなされています。

既にひと通り経営学を学んだ人であれば、大体知っていることが書かれていますが、興味深いのはそのまとめ方と切り口です。

幸せを“生み出す” ──イノベーション論
幸せを“広める” ──マーケティング論
幸せを“支える” ──財務会計論
幸せを“デザインする” ──戦略論
幸せを“つくる” ──人的資源管理論

このように、すべての知識が「幸せ」につながるように整理されており、マーケティングやファイナンス、戦略などをこれまでと違った視点で見られるようになると思います。

たとえば、日本語で「運転資金」と呼ばれるワーキング・キャピタル。

事業を行う上で、やむを得ないキャッシュのムダ。場合によっては倒産リスクにもつながるものですが、このワーキング・キャピタルに関し、著者はこう述べています。

<ワーキング・キャピタルをいかにして圧縮するかが、ファイナンスの腕の見せ所>

で、具体的にどうやって圧縮するかまとめられたのが以下の5つです。

1.原材料の保管期間を短くする
2.製品製造プロセスを短縮する(仕掛期間の短縮)
3.完成品を早く売る
4.商品を売ったら、できる限りすぐに代金を回収する
5.原材料購入の支払いを遅らせる

働く人やリーダーがきちんと経営学の知識を持って事に当たれば、良い経営が実現できて、「良い商品なのに市場で売れなくなった」「本当に助かるサービスだったのに、なくなって不便になった」などという悲劇を防ぐことができます。

経営学の基礎知識をまとめて学べるチャンスでもあるので、ぜひこの機会にチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆人間が幸福を感じる5つの要素
1.仕事のやりがいがあること
2.人間関係が充実していること
3.経済的に満たされていること
4.心身が健康であること
5.地域社会が活性化していること

◆小宮山モデル(人類が抱えている本質的問題)
「有限の地球」
「高齢化する社会」
「爆発する知識」

高齢化がもたらす真の問題は、誰の目にも鮮明に見えてくるでしょう。購買者も労働者もいないということ、すなわち「買う人も、つくる人もいない」という問題です

今、私たちの身の周りに当たり前に存在するものは、その前にあった「何か」を破壊したうえにある

イノベーションも「目利き」に見つけてもらえなければ、ただの「ニセモノ」

◆マーケティングとイノベーションは一心同体
1.理念が投影された商品を通して
2.目利きといえる人々に理念に共感してもらうことで
3.社会のありかたを変える

◆心理的なコストが小さくなる3つのタイミング
1.競合が不在のときの「仕方ないな…」
2.競合が忙しいときの「客をなめているのか!
3.顧客に余剰な資金があるときの「何でも良いから、とりあえずもってこい!」

◆ワーキング・キャピタルをいかにして圧縮するかが、ファイナンスの腕の見せ所
1.原材料の保管期間を短くする
2.製品製造プロセスを短縮する(仕掛期間の短縮)
3.完成品を早く売る
4.商品を売ったら、できる限りすぐに代金を回収する
5.原材料購入の支払いを遅らせる

国内外を問わず「一人前」のビジネスパーソンとして認められるには、何らかの事業を、バリューチェーンの上流から下流まで経験・理解していることが求められる

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『幸せの経営学』酒井穣・著 日本能率協会マネジメントセンター
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◆目次◆

第1章 幸せを“生み出す” ──イノベーション論
第2章 幸せを“広める” ──マーケティング論
第3章 幸せを“支える” ──財務会計論
第4章 幸せを“デザインする” ──戦略論
第5章 幸せを“つくる” ──人的資源管理論

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