2014年9月2日

『マーケティングと共に』フィリップ・コトラー・著 vol.3696

【フィリップ・コトラー自伝】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532169224

本日の一冊は、「マーケティングの神様」と呼ばれる、フィリップ・コトラー教授の自伝。

日本経済新聞の連載「私の履歴書」に大幅加筆したもので、氏の生い立ちと、マーケティングの専門家としてのキャリア、さらには各種理論が生まれた背景、そして今日のマーケティングの課題まで、幅広くコメントがなされています。

マーケティングをかじった人なら、多かれ少なかれ、氏の教科書を読んでいるものですが、まさかあの4Pに、ジェローム・マッカーシー以前の考案者がいたとは。

やはり、当事者の証言というのは、貴重なものだと思いました。

<4つのPには原型がある。彼の恩師であるノースウェスタン大学経営大学院のリチャード・クルウェット教授が「3つのP」(プロダクト、プライス、プロモーション)と「1つのD」(ディストリビューション=流通)という言葉を使っていたのだ。ジェリーは自らもマーケティングを教えるようになり、Dをプレイスに換えて「4つのP」という枠組みを作ったのだった>

マーケティングのプロセスをR(リサーチ)→STP(セグメンテーション、ターゲティング、ポジショニング)→4P→I(インプリメント、実行)→C(コントロール)と体系立てて説明したり、単なる自伝とは異なり、勉強になります。

読者が学問分野でキャリアを拓こうとするなら、その面でも役に立つ書籍だと思います。

マーケティングの時代を作った、当事者による証言。

これは読まない手はないでしょう。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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私は、「マーケティングの教授として有名になるためのマーケティング計画を立てていたのか」とよく聞かれる。そんなものはなかった。ただマーケティングについて考え、研究し、書くことが楽しかっただけだ

要するにマーケティングは供給過多の産物だったのだ。一方で、本当に必要な製品やサービスの中には供給が足りないケースもある

私はピーターが企業に投げかける4つの質問に感化された。その4つとはこれだ。
「あなたの会社の本業は何か」「顧客は誰か」
「顧客にとっての価値は」「本業はどうあるべきか」

日本が再び活力ある社会になるには何が必要か。次の取り組みをすすめたい。革新性に富むビジネスモデルや新製品開発。異業種との共創やクラウドソーシングの活用。30秒のテレビ広告からソーシャル・メディアを使ったキャンペーンや情報投資への移行。企業の戦略策定に関与する最高マーケティング責任者の創設。そして、ブランドに思想を持たせ、高貴な目的を持ったマーケティングへの取り組みだ

刺激を受けたのが1967年に出た『水平思考の世界』(エドワード・デボノ著)だ。ある事を突き詰めて考える垂直思考よりも、いろいろな視点から考える水平思考のほうがアイデアを生み出しやすいことが説いてあり、我々の問題意識に近かった。例えば、シリアルメーカーの場合、新しいシリアル商品を考える(垂直思考)のではなく、シリアルを使ってキャンディやシリアルバーなど他に何ができるかを考える(水平思考)ことだ

これまでは順調であったため、M&A(合併・買収)をしたことがなかったかもしれないが、今は魅力的な買収機会がふんだんにある

謙虚に聞く耳を持たない組織は衰退する

必要なのは、より多くの起業家、企業、非政府組織(NGO)、そして政府が遅まきながら貧困層のニーズに目を向けることだ

賄賂の社会的コストはきわめて大きい。それははっきりしている。最も価値が高く、効率的な提案をした企業が契約を獲得できないため、資源配分が非効率になる。賄賂は利益を圧迫し、社会には何の付加価値も生まない

マーケティング部門に残るのは次の機能だけだ
1.コミュニケーション 2.価格決定
3.ブランディングと差異化 4.消費者行動

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『マーケティングと共に』フィリップ・コトラー・著 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532169224

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◆目次◆

家族──両親はウクライナ移民
青年時代──教養の宝庫、古典に学ぶ
シカゴ大学からMITへ──資本主義理論に心酔、博士号を取得
結婚──「クレオパトラ」に恋
インド生活──労働者の実態を目に
学ぶテーマ確信──ハーバードで高等数学
ケロッグ校時代──新たな視点で教壇へ
ほか

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