2014年7月28日

『30歳で400億円の負債を抱えた僕が、もう一度、起業を決意した理由』杉本宏之・著 vol.3660

【起業家におすすめの一冊】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/447802734X

本日の一冊は、22歳でワンルームマンション販売でトップセールス、24歳で起業し、48カ月で上場した著者が、リーマンショックで行き詰まり、負債総額191億円、個人でも13億円の借金を抱えるに至るまでの軌跡を紹介した、ビジネスノンフィクション。

サイバーエージェント藤田氏、ライブドア堀江氏はじめ、数多くの起業家と交流があった著者ならではの豊富なエピソード、そして破綻した経営者にしかわからない人生の不条理が描かれており、起業家にはぜひ一読をおすすめしたい一冊です。

・経営者が落ち込んでいても誰も助けてはくれない
・上り調子の時にはたくさんの人が寄ってくる。でも、苦しい時に支えてくれる人は多くない
・本当の強さとは自分の弱さを認めること

など、重々承知のことが書かれていますが、強烈なエピソードをふまえながらこれらの言葉を読むと、経営において大切な心構えが、腹に落ちます。

何が経営者を上昇気流に乗せ、何が蝕むのか。

経営の本質、レバレッジをかけることのすごさと恐ろしさ、人間の真実が浮かび上がってきて、じつに考えさせられる一冊です。

経営は、順調なときほど、気を引き締めなければならない。

『社長失格』以来、ひさびさにインパクトを感じた一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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経営者が落ち込んでいても誰も助けてはくれない

「こんな生活から抜け出さなきゃいけない」
父に刺されて、私のなかで何かが変わった。高校3年生の夏休みを過ぎてから私は懸命に勉強し、神奈川県内の大学に補欠合格することができた

「時代が悪かった」
「不動産は繰り返す波のようだ」
父はいつも口癖のように言っていた。時代は動く。父が時代に恵まれなかったのなら、俺にとってはチャンスの時代になるかもしれない

会社はスタートを切ったものの、お世話になった会社から多数の社員を引き抜いたこともあり、業界団体からの誹謗中傷、妨害が凄まじかった

有意義な時間を増やすため、私はまず自分のスケジュール管理方法を改めた。ビジネスに関わる予定を「Aタイム」、ビジネスとプライベートの区別が曖昧な予定を「Bタイム」、プライベートな予定を「Cタイム」として、スケジュール帳にはAタイムを赤文字で記入する

私は「業績」という名の魔力の前に、経営者としての正気を失い始めていた。仲間への敬意、ものづくりの精神など、今まで大切にしてきたエスグラントの文化を、自らがハンマーで粉々にしていくようだった

ユニマットからの資金支援が決まった頃、私の人生にはもう1つの転機が訪れていた。エスグラント上場の日に結婚した妻と、離婚したのである

エスグラントコーポレーションにとどめを刺したのは銀行だった(中略)お客様の家賃を振り込んだ「口座」が凍結された

人間、上り調子の時にはたくさんの人が寄ってくる。でも、苦しい時に支えてくれる人は多くない。人の真価は、苦しい時にこそ露わになるものである

「俺は経営者として大切な何かを忘れていた」と痛感した。サブプライム問題で事業に翳りが見え始めても、「杉本さんはすごい」などと甘い言葉で私を持ち上げたファンドの連中は、1株残らず売り抜けていた。でも、厳しい言葉で私を叱咤してくれた藤田さんは、私を信じ続けてくれていたのである

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『30歳で400億円の負債を抱えた僕が、もう一度、起業を決意した理由』杉本宏之・著 ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/447802734X

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◆目次◆

第1章 絶頂
第2章 暗雲
第3章 地獄
第4章 奈落
第5章 希望
第6章 感謝

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