2014年3月14日

『ウェブとはすなわち現実世界の未来図である』 小林弘人・著 vol.3524

【激変するウェブの先が見える。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obido/ASIN/4569816711

本日の一冊は、雑誌「ワイアード」「ギズモード・ジャパン」など、紙・デジタル両方でさまざまな媒体を立ち上げ、ベストセラー『フリー』を日本に紹介した小林弘人さんが、進化し続けるウェブの未来を概観した一冊。

※参考:『フリー』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140814047/

かつてベストセラーとなった『ウェブ進化論』(梅田望夫・著)の最新版といった体裁で、現在ウェブに起こっていること、これから台頭するテクノロジー、そしてそこから見える世界の未来を、鮮やかに描き出しています。

※参考:『ウェブ進化論』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4480062858/
テクノロジーの現在・未来に関する話は、これまでにさんざん未来予測本を読んできているので、理解可能な範囲ですが、著者の洞察がすごい。

<これからはリアル社会がウェブのなかで培われた思考様式や心理状態を模倣していくだろう>
<フェイスブックの登場以降、情報は「強弱」に変わった>
<自分にとって大切なニュースなら、ニュースが私を発見してくれる>
<キュレーターやプロの編集者という役割がこれからますます重要>
<人間中心主義時代に販売すべきは“体験”である>
<次の勝者は「多くをつなげてしまった人」になる>

シンプルな言葉の数々が、ウェブと世界、さらにはビジネスの方向性を指し示しており、じつに読み応えがあります。

また、フェイスブックやGunosyなどのしくみがわかるので、テクノロジーに疎い人が、情報をキャッチアップするのにも役立ちます。

<フェイスブックがつまらないと感じている場合、友だちを整理することをお薦めしたい>などという現実的なアドバイスもあり(笑)、これで760円(税別)は安い。

ぜひおすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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人間と人間が接続されたヒューマン・ファーストの時代には、まるで人間は固定アドレスを振られたウェブサイトのように、ほかの人間と接続するようになる。その人間同士の関係性をシステムの側が理解し、それぞれの関係性によって取得できる情報も変化していく

フェイスブックの登場以降、情報は「強弱」に変わった。たとえば、あなたにとって「強い」情報とは何だろうか? それはあなたが信頼を寄せる人からの情報発信だったり、親近感を感じるものだったりするだろう。そして、それは同時にあなたの注目を獲得する

「エッジランク」という仕分け方法を用いてフェイスブックはあなたにとっての情報の「強弱」を判断し、強いシグナルを選んで露出させるようにしているのだ

新聞社が新聞の効能を語るとき、その紙面にあなたの関心がない情報も網羅されることで、関心の限界を破り、多くの事象を伝えられるという話を耳にする。残念ながら、いまではデザインされたソーシャルグラフにおいて、新聞社の主張と同じようなことが起きている

「大切なニュースや情報を見落とさないよう、いつも気をつけてチェックしていなくてはならない」という時代から、「自分にとって大切なニュースなら、ニュースが私を発見してくれる」という転換がソーシャルメディアによってもたらされたのである

キュレーターやプロの編集者という役割がこれからますます重要になる、と私は考えている。テクノロジーが発達すればするほど、コンテンツは断片化されていく。それぞれの情報に意味やストーリーという文脈をもたせなければ、ユーザーに記憶されることなくそのコンテンツは流れ去り、消えてしまうだろう

エストニア発のソーシャルメディア「幸福銀行」は、よいことを行なうと「感謝の星」という名の仮想通貨が付与される

人間中心主義時代に販売すべきは“体験”である

シェアラブルな世界では、参加者が「何者か」が問われる

何かを共有するためには、それを多くの人がみたり触れたりできるように「オープン」にすることが大前提だ

次の勝者は「多くをつなげてしまった人」になる

ユーザー体験をデザインできない企業は、それを得意とする企業の餌食にされていく

ここ最近目立つようになってきたのは、現実と仮想を重ね合わせるMR(ミクスト・リアリティ)の技術だ

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『ウェブとはすなわち現実世界の未来図である』小林弘人・著 PHP研究所
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569816711

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◆目次◆

はじめに
第1章 ウェブ2.0以降の世界はこう変わった
第2章 「シェア」が生み出す新しい資本主義
第3章 なぜ日本企業は「オープン」に対応できないのか
第4章 「ウェブをコピーした社会」が向かう未来
第5章 常識の通じない時代を生き抜く「7つの視座」

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