2014年2月14日

『1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ』氏家健治・著 vol.3496

【4倍値上げ?の成功法】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797375108

数年前、博多に出張に行った時、とても残念なお土産品を見つけました。

味が良く、数量も手頃なのに、値段が「安すぎる」。知人にぜひ買って帰りたいのに、「大事にされていないな」と思われたら嫌だから、結局買うのをあきらめた商品でした。

この商品の例にもあるように、「価格設定」は、ともすると一企業の命運を決めてしまう。とはいえ、経営者の立場からすれば、値上げは怖くてなかなかできないのが実情です。

そこで参考にしたいのが、バレンタインデーにピッタリのビジネス書、『1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ』。

「食べログ」チョコレート部門で第1位。「ガトーショコラ」1つで大成功した「ケンズカフェ東京」オーナーシェフの氏家健治さんが、そのマーケティングの秘訣を明かした一冊です。

氏は、当初1本500グラム1300円だったガトーショコラを、最終的には250グラム3000円に値上げしたわけですが、単に殿様商売をしているわけではありません。

きちんとした戦略をベースに、原材料費を上げ、品質を上げ、パッケージを変え、コピーを変え、値段を上げ、その上でさらに客層を変えて、大成功したのです。

投資における成功はしばしば「集中」することから、マーケティングにおける成功は「市場(誰のために)」を変えることから生じますが、本書の事例は、まさにこの2つが合わさった例だと思います。

儲かる「1品ビジネス」の秘訣と、ブランドを確立するためのマーケティング手法。贈答品になったことからマーケットが広がり、有名芸能人にまで紹介された話は、じつに参考になります。

商品の格を上げることでお客様のレベルも上がるという指摘や、特化するから上達するという指摘、スペシャリテ(看板商品)は手間や低価格を売りにすべきではないという指摘など、経営者なら知っておきたいマーケティングの秘訣がぎっしり詰まっています。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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1300円と1400円では商品の格は同じですが、1500円になると格が上がります。1300円だとほとんどが自家消費用、これが1500円になると手土産としてのニーズも発生するのです

もちろん、上がった格にふさわしい商品力を備えていることが前提となりますが、値上げによる商品の格上げでお客様のレベルも上がります

原価率から値段を決めるのは、売り手側の都合しか考えていない証拠

自社サイトでは「あれもあります、これもあります」と軸をぶらさず、シンプルに1本勝負で行ったほうが明快なので、他社サイトを舞台に実験的なパッケージングを試している

特化するから上達する

1品ビジネスは廃棄ロスが極端に少なくなります。それは店にとっては大きなコスト削減になりますし、地球環境に対しても優しいビジネスといえるでしょう。加えて1品に特化していると、たとえ小さな店でも大量生産できます。すると使用する材料が増えるので、仕入れ先と有利な条件で交渉できます

1品だけど3つの味わい方を提案

1品ビジネスを成功させるには、その商品が他にはないダントツの魅力を持つスペシャリテ(看板商品)である必要があります

美味しくてお客様の受けもいいけれど、とても手間がかかる料理をスペシャリテにしたばかりに経営が傾く例もあります

飲食業界の長い歴史が証明しているのは、価格だけで勝負する店は一過性のブームで終わって、長くは続かないという事実。(中略)飲食店は、なにより「味とサービス」で勝負すべきです。「価格で勝負」を売りにした瞬間、大切な味とサービスが疎かになります。ましてスペシャリテは低価格を売りにすべきではないのです

個店主義の究極の形は、その店でしか買えないという“1店主義”でしょう。私の店はネット通販には対応していますが、特別な催事などを除いて、百貨店や駅ビルなどへの出店依頼はお断りしています

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『1つ3000円のガトーショコラが飛ぶように売れるワケ』氏家健治・著 SBクリエイティブ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797375108

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◆目次◆

はじめに
第1章 なぜ4倍値上げしてもお客が増えるのか?
第2章 今より高く売る! ブランドの育て方
第3章 ブランド力の伝え方
第4章 “ありがたみ”を形にするサービスブランディング
第5章 究極の1品ビジネス
第6章 スペシャリテ(看板商品)の磨き方
第7章 ダントツのネット活用術
第8章 どん底だから勝機は見えてくる
第9章 正しいチャレンジのしかた
おわりに

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