2014年2月3日

『「孟子」一日一言』川口雅昭・編 vol.3485

【吉田松陰が選んだ「孟子」の言葉とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4800910269

本日の一冊は、あの吉田松陰が刮目したという『孟子』の中から、松陰が選んだ名言をまとめ、解説した一冊。

かつて松陰は、野山獄に捕われた際、囚人たちに「孟子」の講義をしたらしく、その講義録が『講孟箚記』という書物にまとめられています。

本書はこの書をもとに、現代語訳してわかりやすく解説した一冊で、指導者的立場にある人に、日々どう振る舞うべきかを教えてくれる自己啓発書です。

本書の冒頭に、「大丈夫」(真に立派な男児とは)という文章があるのですが、読むとじつに気が引き締まります。

<(真に立派な男児とは)慈しみにあふれる広い心をもち、正しい規範に立ち、道理にかなう生き方をするものである。志がかなって、一定の地位に登用されれば、天下の人民とこの正しい生き方を行い、志がかなわなければ、自分一人でこの生き方を行う。どんな富や高い地位で誘惑しても、その心を動かすことはできない。どんなに貧乏で低い地位にあっても、その志を変えさせることはできない。どんな権威や武力で圧迫しても、その志をまげさせることはできない。このような人を立派な男児という>

国を治める指導者が、一体どんな人物であるべきかを書いた内容で、選挙の投票の際にも、良い基準になりそうです。

また、指導者にとっては、国や組織を治めるための処世術が書かれており、参考になります。

・上の位にある者も下の者もこぞって利益を貪ることだけに熱中すれば、国家は必ず亡びる
・(立派な政治を行って)人民の生活を安んじて王者となるのであれば、誰もそれを妨げることはできない
・きちんとした理由がなければ、たとえ一膳の飯であっても、貰ってはならない

さすがは松陰が愛した『孟子』。指導者の自己修養には、もってこいの内容です。

自らを省みるために、ぜひ手元に置いておきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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(真に立派な男児とは)慈しみにあふれる広い心をもち、正しい規範に立ち、道理にかなう生き方をするものである。志がかなって、一定の地位に登用されれば、天下の人民とこの正しい生き方を行い、志がかなわなければ、自分一人でこの生き方を行う。どんな富や高い地位で誘惑しても、その心を動かすことはできない。どんなに貧乏で低い地位にあっても、その志を変えさせることはできない。どんな権威や武力で圧迫しても、その志をまげさせることはできない。このような人を立派な男児という

上の位にある者も下の者もこぞって利益を貪ることだけに熱中すれば、国家は必ず亡びる

王がもしも(凶作で苦しむ人民を見て)、「それは凶作のせいだ」などと責任をその年(の天候不順など)になすりつけるようなことをなさらない(自分の政治のせいであると責任を自覚なさる)ならば、天下中の人民は皆、王を慕い、集まってくるでしょう

(立派な政治を行って)人民の生活を安んじて王者となるのであれば、誰もそれを妨げることはできない

きちんとした理由がなければ、たとえ一膳の飯であっても、貰ってはならない

(報酬は)目的に対して与えるのではなく、成果に対して与えるのである

他者にお仕えするということで、どれが最も大切かといえば、親に仕えることが最も大切である。何かを守るということでどれが最も大切かといえば、自分の身を正しく守り、人としての道を外れないことが最も大切である

養うとは、仁の徳でうるおし育み、訓育教化し、自然に(よい方向に)変わるのを待つことである

中道ということだけにとらわれて、臨機応変の計らいがなければ、それは一つの立場だけに固執して融通がきかないのと同じである。私が一つの立場だけに固執して融通のきかないやり方を憎み嫌うのは、正しい中道の道を損ねるからである。それでは、一つの立場だけを主張し、他の立場の長所を捨てることになるからである

何も気にするな。士という者は、徳が高ければ高いほど、多くの小人の口にかかって、悪くいわれるものだから

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『「孟子」一日一言』川口雅昭・編 致知出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4800910269

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◆目次◆

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