2014年1月23日

『すばらしき特殊特許の世界』 稲森謙太郎・著 vol.3474

【笑える特許入門書?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4778313887

ここ数年、どうすれば日本経済が良くなるか、ずっと考えています。

小手先の景気対策や、一部の人間だけが豊かになるものではなくて、老若男女が一丸となって取り組めて、稼げるもの。

稼げるだけでなく、取り組む人に夢や希望を与え、他人を豊かにする意義のあるもの…。

そう考えているうちに、ひとつのアイデアに出会いました。

それは、かつて盛り上がった「特許」です。

一時、特許に関しては、「一介の主婦・サラリーマンが億万長者になった」的な切り口で紹介され、話題となりましたが、最近は、あまり聞くことがなくなりました。

そこで今日、取り上げてみたいのは、この「特許」に関する一冊。

もちろん「ビジネスブックマラソン」で紹介する本ですから、バッチリ役に立って、かつ面白く読める内容です。

著者は、科学技術ジャーナリストで、弁理士、米国公認会計士の資格も保有する稲森謙太郎氏。

寄藤文平さんのイラストとコミカルな語り口で、特許に関する基礎知識と過去の事例・エピソードが紹介される、じつに愉快な一冊です。

<ダウンタウン松ちゃんが発明! 必ず起きることのできる驚異の目覚まし時計!>
<秋元康が発案! AKB48を振りまくるハードな恋愛ゲームが特許出願されていた!>

などというエンタメ色満載の発明に始まり、巨大津波が来ても対応できるという、「海上移動式原子力発電プラント」、「招かざる客」を追い返せる、パナソニックのインターホンシステムなど、なかなか実用的な発明が紹介されています。

「画期的新商品」に著者がマニアックに突っ込むところや、特許申請に関するうんちく、過去に起こった穏やかではない訴訟の話など、読みどころが満載で、最後まで飽きることなく読み進めることができました。

特許で一発当てたい方、知的財産権の基礎を学びたい経営者には、ぜひおすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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特許庁のホームページにある「明細書の作成要領」には、こう書かれている。
3.【発明の名称】の欄について
「ロボットの二足歩行装置」や「電気自動車の充電制御方法」のように発明の内容を簡潔、明瞭に表示する名称をつけます。発明の内容と直接関係のない「田中式」とか「最新式」といった字句を添えてはいけません

特許を取るためには特許出願だけでは十分ではなく、出願日から3年以内に特許庁に対して「審査請求」をしなければならない。そして、その期間内に審査請求をしないと、出願は取り下げたものとみなされてしまうのである

◆知的財産権の定義
「人間の知的な創造活動によって生じた無形の(形のない)財産に関わる権利」

発明とは、「自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のもの」

特許法の目的が、「産業の発達」であることから、特許される発明も、産業上利用できるものでなければならない

◆産業上利用できないもの
A.人間を手術、治療、診断する方法(人道上、広く開放すべきだから)
B.個人的にのみ利用され市販などの可能性がないもの(個人的な喫 煙法や美容法など)
C.実際上、明らかに実施できないもの(例えば、「オゾン層の減少に伴う紫外線の増加を防ぐために、地球表面全体を紫外線吸収プ ラスチックフィルムで覆う方法」)

特許出願する際には、「特許願」(願書)のほかに、「明細書」(発明の内容を詳しく記載した書面)、「特許請求の範囲」(特許権を求める範囲を特定する書面)、及び「要約書」(発明の概要をまとめた書面)が必要となる(図面はあってもなくてもよい)

強烈な存在感を放つこの観覧車ビルが、じつは特許になっているのをご存じだろうか? 発明の名称は「回転遊戯設備付き建物」。「回転遊戯設備」と言われてもピンと来ない人も多いかと思うが、要するに、「観覧車」のことである。特許権者は阪急不動産と竹中工務店

食品業界で、ある日突然広い権利範囲を持つ特許が出現してしまうと、色々と面倒なことになる

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『すばらしき特殊特許の世界』稲森謙太郎・著 太田出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/ 4778313887

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◆目次◆

まえがき──特殊特許の世界へ、ようこそ
本書を読む前に──押さえておきたい基礎知識
第1章 こんな発明が出願されていた!
第2章 こんな発明が特許されていた!
あとがき
巻末資料<特許関係料金一覧>
主要参考文献
著者紹介

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