2014年1月13日

『ビッグの終焉』 ニコ・メレ・著 vol.3464

【あらゆる巨大組織・権威が崩壊する?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492223371

本日の一冊は、数多くの政治家を生んだ伝統あるハーバード大学ケネディスクール(行政大学院)で「インターネットと政治」を教えるニコ・メレ氏が、「ビッグの終焉」を予言した一冊。

インターネットが普及し、政府を超える巨大プラットフォームが出現した今日、この「ビッグの終焉」は、誰もが感じていることと思いますが、それがどのような方向に落ち着くのか、はっきりと見えている人はいないのではないかと思います。

本書では、さまざまな「ビッグの終焉」の実際を、コンピューター、インターネット発展の歴史とともにまとめ、脅威と機会を示し、近い将来、われわれが直面する課題をあぶり出しています。

編み物から読書、スペイン語、チェスまで、さまざまな分野で広がる「ミートアップ」、民主党にも共和党にも所属していない候補者をオンライン投票で選び、大統領候補指名選挙に送り込む「アメリカンズ・エレクト」、われわれの社会から連帯感を奪う「フィルター・バブル」、あらゆる財産を海賊行為の標的にしてしまう3Dプリンティングの未来…。

インターネットとテクノロジーが広がることで、可能となったあらゆる政治・経済行為を取り上げ、そこから予想される未来を浮き彫りにしています。

本文中に、気になる最新のサービス、ツールが紹介されているほか、巻末の原注に、参考URLが紹介されているので、読者は今起こりつつあることを、ウェブで実際に体感することもできます。

膨大なデータを瞬時に、いつでも、地球上のどこでも送ることができる「ラディカル・コネクティビティ」がもたらす未来とは何か。

未来を知る一助となる一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「大きなもの」の時代の終焉は諸刃の剣である。「大きなもの」の時代の終焉には興奮を覚えるし、とてつもなく大きなチャンスが生まれる。しかし、危険もはらみ、権力に説明責任を課すのが難しくなってしまう

現代の一般市民は社会に貢献したいと思っている。そうするための機会を与えなければ、民衆は現代のテクノロジーを使って「手助けする」方法を見つけるだろう。それが私たちの望むようなものであるとは限らない

ボストンマラソン爆発事件での“魔女狩り”の最中に生まれたアプリ「Keepr」を使えば、現場からツイートしているものと思われる信頼できるソースを識別することができる(中略)Keeprは四つの要因を基準に、ツイートの信頼性を自動的に判断する。判断基準となるのは、位置情報が開示されているか(緯度経度情報を検証できることが望ましい)、複数の情報源による確認がとれているか(ツイートに一次資料以外の情報源から得た情報が引用されているか)、画像や動画がオリジナルであるか、内容が最新のものであるか、だ

「われわれの世代の中でも最も優秀な人材が、どうやって広告のクリック数を稼ぐかばかり考えている。まったくクソだ」(ジェフ・ハマーバッカー)

「情報源が直接発信する」ようになって、ジャーナリストは居場所を失っている。つまり、大きなニュースメディア会社は自分たちの情報源に出し抜かれているのである

オンライン・コミュニティ、ストリファイ(Storify)は、ウェブ中のソーシャル・メディアから検索・集約した情報をストーリーとして一つにまとめる機能を提供して、伝統的なジャーナリズムのニュース発信や、監視の目としての役割を支えている

アクトブルーは不思議な存在だ。非営利の政治委員会が、民主党の草の根の資金集めの柱になっているのである。二〇〇四年に立ち上げられてから、短期間で民主党候補者への寄付金を二億ドル以上集め、党最大の資金調達源になった

娯楽のパーソナライズ化は危険をはらむ。娯楽が社会で果たしてきた伝統的な役割を思い出すと、その危険性がくっきりと浮かび上がる。私たちに上質の娯楽が必要なのは、楽しいからというだけではない。私たちを一つの民主的な社会として結束させる働きもするからだ

ラディカル・コネクティビティの時代になって、規模の経済効果は劇的に低下している

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『ビッグの終焉』 ニコ・メレ・著 東洋経済新報社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/ 4492223371

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◆目次◆

1.すべて焼き払え
2.ビッグ・ニュース
3.ビッグ・パーティー
4.ビッグ・ファン
5.ビッグ・ガバメント
6.ビッグ・アーミー
7.ビッグ・マインド
8.ビッグ・カンパニー
9.ビッグ・チャンスをつかめ
謝辞
解説 佐々木俊尚
原注

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