2013年11月29日

『大前研一 日本の論点』大前研一・著 vol.3419

【ビジネスマンの教養】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833420627

本日の一冊は、現在の日本の政治・経済の課題を、かつてマッキンゼーの日本代表を務めた大前研一さんがまとめた書籍。

もともとは、2006年1月から「プレジデント」誌で連載している対談記事から直近の稿を抜粋し、加筆修正したもので、直近の日本の政治・経済の話が中心となっています。

どうすれば日本経済が盛り上がるのか、これから有望なビジネスは何なのか、ビジネスチャンスはどこにあるのか…。

政治の話も多く、すぐにビジネスに使えるわけではありませんが、新たなビジネスのヒントがたくさん見つかる内容です。

ネット時代のビジネスキーワード、そしてこれから有望な観光ビジネスについて述べた部分を紹介しましょう。

<次世代のカギを握るネット時代の三種の神器は、「ポータル」「決済」「物流」だと考えている>

<世界的に見れば「デスティネーションツーリズム、いわゆる滞在型旅行業というのは自動車産業よりも市場規模が大きい>

著者の政策提言や、ゆとり世代への意見には、賛否両論あると思いますが、あくまで経営コンサルタントの本ということで、ビジネスのヒントをいただくのが正解。

人口が少なく所得が多い「クオリティ国家」に学ぶことや、あえて自社ブランドを持たないEMS企業の強み、港湾再開発の可能性などは、これからのビジネスを考える上で、大きなヒントとなりました。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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フランスでは大統領の任期が七年から五年に短縮されました。私はこれに反対でした。一方、日本では首相が毎年、あるいは数カ月おきに交代しています。これは非常に恐ろしい事態です。嫌われ者になるくらいの時間的な余裕がなければガバナンスなどできません(ジャック・アタリ)

人口も所得も増えていた時代は所得や利益というフローに対して課税すればよかったのですが、今後は資産に対する課税体系にコンセプトを変えなければならない時期にきています

ミッテラン元大統領は、あることを決断する際に「二〇年後の国民であればどう思うであろうか」と、必ず熟考したうえで決断を下していました(ジャック・アタリ)

二〇世紀の経済学の教科書によれば、利上げは景気を抑制する方向で作用するはずだが、結果は逆。世界的な低金利時代にアメリカだけ金利を高くしたから、世界中から資金が流れ込んできて、アメリカ経済は空前の活況を呈することになった

先進国の高齢化経済ではいくらマクロ経済政策でお金をばら撒いても市場が吸収しない。資金需要がないからだ

難しいマクロ経済学は必要ない。要は“3500万円持って死んでいくことが本当に幸せなのか”と資産リッチな高齢世代が自分自身に問いかけたくなるような政策にすることが大切なのだ

次世代のカギを握るネット時代の三種の神器は、「ポータル」「決済」「物流」だと考えている

世界的に見れば「デスティネーションツーリズム、いわゆる滞在型旅行業というのは自動車産業よりも市場規模が大きい

今から二〇年前の一九九〇年頃に三〇~三五歳だった都市部のサラリーマンの平均的な通勤時間は一時間二〇分という統計があるが、今どきの若い世代には“ありえない”数字

身の丈に気付いた人は車を避け、持ち家を避け、子供の教育に金をかけることにも疑問を感じ始めている

救急車の利用は、早く有料化すべき

いい社会人をつくることが社会コストを下げる

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『大前研一 日本の論点』大前研一・著 プレジデント社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4833420627

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◆目次◆

特別対談01 「日本病」克服の唯一のカギとは?
──あえぐ日本の今と明日を徹底討論
ジャック・アタリVS大前研一
01 ケインズ以降のマクロ経済理論はもはや通用しない
02 今、世界で本当に隆盛を極めている「クオリティ国家10」を見てこい
03 アベノミクスよりすごい景気対策がある
04 下請けなのに、なぜ台湾企業は強いのか?
05 新しい「日本のお家芸」を探せ!
06 世界の滞在型旅行業は自動車産業より市場規模が大きい
07 「ヒット商品」が出ない本当の理由
08 なぜ日本人は、かくも覇気がなくなったのか?
09 「TPP農業問題」を解決するただ一つの道
10 うなぎ上りに膨れ上がる国民医療費
11 憲法九六条は占領軍の最悪の置き土産
12 「都構想」「道州制」が世界マネーを呼ぶ
13 「日本版一国二制度」の始まり
14 日本の地方分権はずっと足踏みしてきた
15 橋下徹大阪市長を嫌いな人は、なぜ嫌いなのか?
16 これが本物の「官僚改革」だ
17 すべて腹芸と裏ワザで行われていた外交交渉
18 福島第一原発事故の本当の原因
19 日本人の被曝恐怖症は、なぜこんなに偏っているのか?
20 知らないと危ない!「世界の宗教」の歩き方
特別対談02 80歳でエベレスト登頂、偉業の裏側
──挑戦心があれば、病気もケガも逃げていく
三浦雄一郎VS大前研一

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