2013年11月18日

『著作権法がソーシャルメディアを殺す』 城所岩生・著 vol.3408

【知っておきたい真実】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569812902

本日の一冊は、国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの客員教授であり、国際IT弁護士として活躍中の著者が、日本の著作権法の問題に切り込んだ一冊。

「十年に一度の傑作」(村井純教授・談)であったウィニーを潰し、海外勢の検索エンジン隆盛を許してしまった日本の著作権法の問題をズバリ指摘し、今後、日本がこの問題にどう取り組んでいくべきか示唆した、じつに骨太な一冊です。

著者は、現在の著作権の本質的な問題を、以下のようにまとめています。

<日本では、立法・行政・司法の三権と業界で固めた鉄壁の“著作権ムラ”が著作権法をがっちりコントロールし、既得権や古いビジネスモデルを死守しようと躍起になっている。創造的破壊によって新しい分野や強い企業が生まれるのを阻止しているのだ。その結果、もはや時代遅れとなった弱体な分野を、いわばユーザーの負担によって支えつづけているわけで、それが日本経済全体の“ジリ貧”を招いている>

本書には、ソニー製の「ロケフリ」(ロケーションフリー)をはじめ、日本の頑なな著作権によって消えていったさまざまなサービスの例が挙げられており、日本人としてじつに遺憾に思います。

関連商品販売額の3パーセントの商標使用料を徴収するひこにゃんに対して、使用料を徴収しないくまモンが37倍も売り上げる事実を、われわれはどう受け止めるべきなのか。

権利を守ることよりも、国や社会を発展させることを考える。

日本の未来のため、また著作権法の知識を学ぶために、ぜひ読んでおきたい一冊です。

—————————————————
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
—————————————————

日本では、アメリカのように使用する目的がフェア(公正)であれば著作権者の許諾なしに使用できる、いわゆる「フェアユース」が認められていなかった。そこで、著作権侵害を回避するため、検索するウェブサイトの了解を事前にとっておく「オプトイン(原則禁止)方式」が採用されたのである。それに対して、アメリカでは、自分のウェブサイトを検索されたくない場合、その旨を意思表示すれば、検索を回避する手段を企業側が用意する「オプトアウト(原則自由)方式」で対応したのだ(中略)オプトアウト方式への対応が遅れた日本は、国産検索エンジンが育つ機会を喪失しただけでなく、国内の市場を海外勢の草刈り場にされてしまった

動画共有サービスなどのソーシャルメディアでは、ユーザー作成コンテンツ(UGC)が主流になっており、ユーザーがコンテンツ作成の主役である。その好例が、カナダのカーリー・レイ・ジェプセンと韓国のPSY(サイ)の二人の歌手である。彼らは、パロディ動画がユーチューブにアップされたことで人気に火がついた。いまや、新曲はパロディ動画で売る時代なのだ。アメリカではパロディをフェアユースとする判例が少なくないが、フェアユース規定のない日本ではパロディを認めた確定判決はない

「動画投稿版のコミケ」といわれるユーチューブが世界を制したのに、本家本元のコミケが存亡の危機に直面するようでは、クールジャパン戦略の推進どころではない

二〇〇一年、東京地裁は、『チーズはどこへ消えた?』(スペンサー・ジョンソン著、門田美鈴訳、扶桑社)の翻訳パロディ、『バターはどこへ溶けた?』(ディーン・リップルウッド著、道出版)に対する翻案権(無許可の翻案を禁止する権利)侵害訴訟において、侵害を認め、次のような判決を下した。「パロディという表現形式が文学において許されているといっても、そこには自ずから限界があり、パロディの表現によりもとの著作物についての著作権を侵害することは許されないというべきである」

まねきTVサービスに使用されたソニー製の「ロケフリ」(ロケーションフリー)は、二〇〇五年に誕生し、二〇〇六年には経済産業省の「第一回ネットKADEN大賞」に選ばれるなど、好調なスタートを切った。しかし、製品を使用したまねきTVサービスがテレビ局から訴えられ、最高裁まで争ったが二〇一一年に敗訴すると、ロケフリも二〇一二年に販売を停止した

アメリカではいつでもどこでもネットで番組を楽しめる

————————————————

『著作権法がソーシャルメディアを殺す』城所岩生・著 PHP研究所
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569812902

————————————————-

◆目次◆

第1章 世界の潮流に逆行する日本の著作権法
第2章 著作権者の保護に躍起になる人たち
第3章 日本発・新サービスはこうして葬られた!
第4章 日本発・画期的発明はこうして葬られた!
第5章 デジタルネット時代に取り残されるテレビ局
第6章 世界はさらに進んでいる
第7章 いまこそ著作権法改革を急ごう!
エピローグ──「ロビーイング2・0」のすすめ

この書評に関連度が高い書評

この書籍に関するTwitterでのコメント

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー