2013年8月13日

『なぜ脳は「なんとなく」で買ってしまうのか?』田邊学司、小野寺健司・著 Vol.3311

【ニューロマーケティング最先端】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478022194

本日の一冊は、脳科学を活かした最先端の「ニューロマーケティング」の知見を、元博報堂の著者らがまとめた一冊。

本書によると、ニューロマーケティングとは、<人間とそれを取り巻く外界刺激との相互作用(ダイナミズム)を捉えるマーケティング>。

人間がどんなメッセージから刺激を受け、反応するのか、企業の取り組み事例や研究結果が紹介されており、興味深く読むことができます。

コカ・コーラ社がスーパーボウルの番組中に放映するテレビCMの候補10本を脳波調査で選定したという話や、ホンダがバイクとの正面衝突を防ぐために考え出したデザインの話、竹中工務店による、五感に働きかける空間の研究など、多数ありますが、ここではひとつ、ホンダの事例を紹介しましょう。

<ホンダは、バイクと正面衝突を引き起こしそうな状況で、「顔を認識する脳の領域」がすぐに認識できるフロントデザインを採用すれば、「いち早く危険を察知することができ、無用な事故を減らせるのではないか」と発想し、実験を行った(中略)その結果、提示された刺激が人の顔ではなくバイクの写真であっても、対象者の脳は「人間の顔」を認識するときと似たような反応をすることが確認されている>

また、広告で<「つかみ」をつくるための3つのアプローチ>や、<「臨場感」をつくるための広告表現>など、実務家にとって重宝するノウハウも紹介されています。

◆「つかみ」をつくるための3つのアプローチ
1.謎をつくること
2.とっさの驚きをつくること
3.シンクロ映像をつくること

◆「臨場感」をつくるための広告表現
1.空間を動かすこと
2.体の動きを導くこと
3.登場人物の1人となること

どこまでが実験の結果なのか、またどこからが著者らの知見なのか、曖昧なところがあるのが残念ですが、現状でニューロマーケティングを扱った書籍としては、数少ない一冊。

マーケター、経営者は、ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ホンダは、バイクと正面衝突を引き起こしそうな状況で、「顔を認識する脳の領域」がすぐに認識できるフロントデザインを採用すれば、「いち早く危険を察知することができ、無用な事故を減らせるのではないか」と発想し、実験を行った(中略)その結果、提示された刺激が人の顔ではなくバイクの写真であっても、対象者の脳は「人間の顔」を認識するときと似たような反応をすることが確認されている

すべての情報が提示されていることに対して、脳は「推測する余地も、考える余白もなし」として、特段エネルギーを使って賦活する必要がないと判断する

◆「つかみ」をつくるための3つのアプローチ
1.謎をつくること
2.とっさの驚きをつくること
3.シンクロ映像をつくること

◆「臨場感」をつくるための広告表現
1.空間を動かすこと
2.体の動きを導くこと
3.登場人物の1人となること

「報酬の予感」は何を基準にもたらされるのだろうか? それは、視聴者の「記憶」である

商品・サービスそのものでなく、体験する人の動作や表情を見せることで、ノンユーザーであっても脳波は賦活するのである

ドアノブのついた扉は、「それに働きかければ動くだろう」というアフォーダンスがある

サウンドラボと中大音響研究所は、マセラティ・クワトロポルテとバイオリンを含む5種類の管弦楽器を評価。その結果、「マセラティの加速音とストラディヴァリウスの演奏音には、(1)迫力があり、創造力をかきたてる、(2)脳を活性化させる効果がある、(3)音響特性として明瞭な整数次倍音がある、という3つの共通点があることが科学的に明らかになった」

一般的な企業ブランドのファンサイトが短命に終わったり、ユーザーの拡大につながらないのは、通過儀礼が設定されていないためだ。通過儀礼のない、誰でも入れるコミュニティの参加者に対しては、脳はそう簡単に胸襟を開き、連帯感を抱くようにはならないのである

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『なぜ脳は「なんとなく」で買ってしまうのか?』田邊学司、小野寺健司・著 ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478022194

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◆目次◆

第1章 消費者は本当に欲しいものを知らない
第2章 「なんとなく」へのあくなき探求心
第3章 脳はCMの何を見ているのか
第4章 キリスト教は知っていたブランドの秘密
第5章 ニューロマーケティングで変わる5つの常識
第6章 脳科学とマーケティングでつくる新しい関係性

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