2013年7月10日

『開発チームは、なぜ最強ブランド「瞬足」を生み出せたのか?』アキレス株式会社「瞬足」開発チーム・編 Vol.3277

【感動モノ。】
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本日の一冊は、「年間150万足売れれば大ヒット」と言われる子ども靴市場において、毎年600万足、累計4000万足を記録した空前のヒット商品、「瞬足」開発の裏舞台を紹介した一冊。

60年の歴史を持つ老舗、アキレスにおいて、なぜ「左右非対称」の靴底という斬新なアイデアが生まれたのか、ドキュメントタッチで迫ったもので、ノウハウとしても読み物としても、読ませてくれる内容です。

「運動会」を十三年間撮り続けて気づいたデザインの変化、子どもたちの思いを徹底的に理解しようと努めてたどり着いた「転ばない靴」というコンセプト、そしてそれを実現するために思いついた「左右非対称」というアイデア、さらにそれを実現するための靴底のメカニズム…。

開発チームがたどった道のりを追体験できる、じつに刺激的な開発ストーリーに仕上がっています。

もちろん、著者も認めているように、「瞬足」成功の裏側には、「子どもの運動能力の低下」や「学校で起こっていた規制緩和」などの社会的背景もあるのですが、それだけでこれほどのロングセラーにはなりません。

徹底して顧客に寄り添い、思いを共有することが、画期的なアイデアに進化する。そしてそれを実現するためのプロの技が、結果としてロングセラーにつながる。

定番商品を作ることの難しさと素晴らしさを、間近で体験させてもらったような、そんな感覚を味わいました。

これは、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「よし、転ばない靴をつくろう!」(中略)目指すは、「コーナリング安定走行」──。ここで、瞬足の初代キャッチコピーである「コーナーで差をつけろ!!」の原型ともいうべきキーワードが誕生した

市場に出る前の商品と向き合い、売れそうなものをみずからの目で見極める。未知のものに対して「これは面白そう」と嗅覚を働かせる。それこそがバイヤーのあるべき姿ではないでしょうか

ハンガーフックに初代のキャッチコピー、「コーナーで差をつけろ!!」を添え、「立体ポップ」のできあがり(中略)実物をシンプルにみせるという方法が、かえってインパクトの強い効果を発揮した

瞬足は、絶好のタイミングで世に出ることができたのです。瞬足を後押ししてくれた当時の社会背景には、次のようなものが挙げられます。ひとつは、子どもの運動能力の低下が叫ばれていたことです(中略)もうひとつの背景は、学校で起こっていた規制緩和でした

瞬足は「女の子市場」も開拓。ユーザーは四割を占める

昔は、女の子らしい配色は「白、赤、ピンク」が定番でしたが、いまの女の子の好みはもっとクールです。黒をベースにピンクやパープルを配する、いわば「小悪魔風」のカラーリングに人気が集まります

ライセンス商品の展開で靴以外の世界にも瞬足が広がる

同業他社とは、ともにそのジャンルを発展させていく仲間

機能に対する理解が十分に深まっていった〇八年以降は、CMのテイストをガラリと変えました(中略)このとき意識したのは、「AKIRA」で知られる漫画家・大友克洋さんの世界観でした。近未来を思わせる非日常的な映像を通じて、子どもたちが瞬足を履いてピンチを切り抜けていくストーリーを表現したかったのです

好評だったアニメCMは三年間にわたって計三編を制作しましたが、一一年からは思い切ってリニューアルに踏み切りました。新しいキャッチコピーは「No.1をキミに!」

家族そろって瞬足を履く時代がやってくる

歩く、走る、踊る、生きる──そんな楽しみを届けたい

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『開発チームは、なぜ最強ブランド「瞬足」を生み出せたのか?』アキレス株式会社「瞬足」開発チーム・編  U-CAN
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◆目次◆

第一章 「瞬足」誕生前夜──子ども市場に逆風が吹く
1.苦難の九〇年代──時代の変化に取り残される
2.厳しい時代でも将来の「瞬足の種」があった
3.「企画開発リーダー」発足で苦境脱出を図る
第二章 「子どもの背中を押せる靴」の誕生
    ──「瞬足」開発から発売まで
1.コンセプトの誕生──誰もが走る楽しさを実感できる靴を目指す
2.瞬足誕生までの道のり──数々の壁を乗り越える
3.どのようにして売るか?──「街の靴屋さん」が瞬足を後押しした
第三章 作り手の予想を超える驚異の大ヒット
    ──瞬足ブランドがどんどん発展する
1.瞬足ブランドが独立するまで
2.瞬足の快進撃が止まらない
3.累計三千万足を達成──瞬足は「靴市場」そのものを変えた
第四章 子どもたちのライフスタイルを応援する
    ──瞬足はナンバーワンブランドとして社会貢献を果たす
1.瞬足の輪を広げる販促戦略
2.「年間六百万足」というメディアをとおして
  ──子どもの足に改革を!

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