2013年6月9日

『成功を決める「順序」の経営』原田泳幸・著 Vol.3246

【マクドナルドの経営術】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822274195

本日の一冊は、日経ビジネスの大人気連載「経営教室」の書籍化第一弾。

トップバッターは、日本マクドナルドホールディングスCEO、原田泳幸さんです。

タイトルは、『成功を決める「順序」の経営』となっていますが、一見わかりにくい<「順序」の経営>とは一体何なのか?

これはじつは、一時流行った「戦略ストーリー」を重視しろということなんです。

著者は、この「順序」に関して、こんなことを述べています。

<「QSCの向上」→「100円メニュー」→「値上げ」。このシーケンスには必然があった、ということです。QSCの「基礎」がなければ100円メニューを導入しても顧客は店舗に足を運んでくれませんし、100円メニューで培った集中力がなければ値上げしても売り上げを落とすだけです>

苦しい時、経営者は一発逆転の奇策に出たり、必要なことを一気にすべてやろうとしがちですが、実際には、物事には順序というものがあります。

本書が重要視しているのは、この<「順序」の経営>なのです。

ちなみに、この順序を追って、最終的に狙うものは何なのか?

精神面を抜きにして、あくまで営利活動に着目した場合、それは「キャッシュカウ」をどんどん買ってもらうことだと思います。

※キャッシュカウ
爆発的なヒットはないが、確固たるブランドを持ち、広告宣伝のためのコストをかけずとも安定して売れ続ける商品。結果として、営業利益率が高い商品

最終的にキャッシュカウを買ってもらうために、自社の組織や販売体制をどう見直せばいいのか。本書には、そのためのヒントが書かれています。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「らしさ」から逸脱する取り組みをすべきではありません

「客数を増やす」と「客単価を上げる」と「コストを下げる」。これは矛盾なんです。ですが、経営というのは、矛盾をどう乗り越えるかということです

「QSCの向上」→「100円メニュー」→「値上げ」。このシーケンスには必然があった、ということです。QSCの「基礎」がなければ100円メニューを導入しても顧客は店舗に足を運んでくれませんし、100円メニューで培った集中力がなければ値上げしても売り上げを落とすだけです

僕が閉じることに決めた433店舗は、厨房のサイズが制約となって新たな厨房システムが導入できない小型店や、QSCの水準がどうしても上がらない繁華街の店など。全社の戦術展開についてこれない店です。目先の数字を落としてでも、将来の成長の足を引っ張るところは切っておく

少子高齢化とか健康志向とか言われる時に、あえてボリューム満点のハンバーガーをぶつける(中略)コンシューマーの心を引くために大事なのは、いい意味でお客さんの期待を裏切ること。驚かせることです

爆発的なヒットはありませんが、確固たるブランドを持ち、広告宣伝のためのコストをかけずとも安定して売れ続ける商品。結果として、営業利益率が高い商品。それがキャッシュカウです。うちの商品で言えば、ビッグマックがそれに当たります(中略)極論すれば「ビッグマックをどれだけ買ってもらえるか」を指標として経営の舵取りをしていく

「驚かせる」ことで新たな顧客を誘引する商品もあれば、マーケティングコストゼロで利益を生むキャシュカウもある。この組み合わせの結果、メニュー全体でマージン(利益)を生み出す構造を目指します

組織というのは、常に変化していないとダメになる(中略)同じ人が同じポジションで同じ仕事を3年以上やっているともうダメ

間違えていても信じさせる力、これがリーダーシップですよ

競争戦略は、さまざまな「打ち手」によって競合他社との違いをつくろうとする。しかし、個別の違いをバラバラに打ち出すだけでは競争戦略にならない。個々の打ち手がつながり、相互作用をするなかで初めて長期利益を実現することができる(楠木建)

凡庸な経営者ほど「とりあえずの選択と集中」に走る(楠木建)
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『成功を決める「順序」の経営』原田泳幸・著 日経BP社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822274195

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◆目次◆

プロローグ 希望を乗せた「赤いバス」
1時間目
「らしさ」の競争力
数字の羅列には「意味」がある
2時間目
戦略シーケンス
勝つための「順序」を考えよ
3時間目
マーケティングの要諦
顧客は驚きたがっている
4時間目
組織とリーダー
情熱には冷静を、冷静には情熱を
解説 マック再生は「戦略ストーリー」の傑作
(楠木建・一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授)

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