2013年6月6日

『スタンフォード教授の心が軽くなる先延ばし思考』 ジョン・ペリー・著  Vol.3243

【痛快な仕事術?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492044965

本日の一冊は、先延ばしには意義があると提唱したエッセイで2011年のイグ・ノーベル文学賞を受賞したスタンフォード大学哲学科の名誉教授による一冊。

※イグ・ノーベル賞は、ユーモアあふれる奇妙な科学研究に贈られる賞として知られる

受賞の対象となった第1章をはじめ、先延ばしに関する、これまでになかった主張が展開されており、仕事術マニアは必読の内容です。

では、なぜ先延ばしに意義があるのか、本書の主張を紹介しましょう。

本書によると、<何かを先延ばしにしていながらほかのことも何もしない、という人はほとんどいない>。

中間テストの前に、部屋の片づけをした経験のある人は多いと思いますが、人間、先延ばしをする時には、何かしら他のことをするものです。

著者の主張は、この性質を利用して、他のことを片づけてしまうということ。

そして、どうしても着手しなければならない仕事がある場合は、異常に細かい「やることリスト」を作ることを勧めています。

ちなみに著者が寝る前、まとめている「やることリスト」は、こんな感じです。

1.アラームをとめる。
2.スヌーズボタンを押さない。
3.ベッドから出る。
4.バスルームへ行く。
5.ベッドに戻らない
6.一階に降りる。
7.コーヒーを淹れる。

なるほど、ここまで細かいと、正しい行動に導かれそう。
ちなみにこのリストには、続きがあります。

8.二杯目のコーヒーをそそぐ。
9.デスクに向かう。ソファには座らない。
10.コンピュータの電源を入れる。
11.メールをチェックしない。
12.ウェブサーフィンを始めない。
13.ワードを開く。
14.ファイルの開くコマンドで「ダメットレビュー」を選択する。

それと、目からウロコだったのは、先延ばしすることによって、こんなメリットが生まれるということ。

・その仕事は、明日なくなるかもしれない
・すぐさま取りかからず一息おいているあいだに、その仕事を効率よく進める方法に出合うことがある

基本的には、笑いながら読める軽いエッセイですが、仕事効率に関して、これまでにない視点を提供してくれています。

騙されたつもりで、ぜひ読んでみてください。
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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「明後日できることは明日やるな」(マーク・トゥエイン)

不思議なことに、自分の先延ばしは多くの物事を成し遂げるうえで必要なものなのだと意識すると、自分に自信が持てるだけでなく、実際に物事をやり遂げる能力も向上する。その自覚を持つと、罪悪感や自分を軽蔑する気持ちが払拭され、やらないといけないことを避けている理由が見えてくるのだ

リストの上位には、上位に適した用事を見極めて持ってくる必要がある。次の二つの条件を満たしているものが理想だ。一つは、明確に決まっている(が、実際には守らなくても何とかなる)締切があること。もう一つは、とんでもなく重要なことに思える(が、実際はそうでもない)ものであること

完璧主義が先延ばしを招く

引き受けた仕事を完璧にこなしている自分の姿、完璧とはいかないまでも非常に優れた成果をあげている姿を妄想すること、それが先延ばしやに共通する完璧主義である

完璧の妄想にとらわれないようにするには、「トリアージ」を行うとよい。トリアージは本来、緊急性を判定するという意味で、戦争や自然災害の犠牲になった人や、混雑した救急処置室での治療の順番を決めるときに用いられる言葉である。そういう場面では、助かる見込みのない人、すぐに治療すれば助かる可能性のある人、治療が遅れても命に別状のない人を判断しないといけない

やらないといけないことを細かく分け、それを一つずつやり遂げていくためのちょっとした後押しを用意する──このやり方の効果の高さには定評がある

世の中は物事を一つずつ管理する縦型人間に都合よくできているが、私は複数の物事を並行して管理する横型人間なのだ

明日なくなるかもしれない用事は今日やるな

すぐさま取りかからず一息おいているあいだに、その仕事を効率よく進める方法に出合うことだってある
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『スタンフォード教授の心が軽くなる先延ばし思考』
ジョン・ペリー・著 東洋経済新報社

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492044965

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◆目次◆

はじめに 先延ばしグセで悩む人へ
第1章 先延ばしに意義を見いだす
第2章 完璧主義が先延ばしを招く
第3章 やることリストがあなたを救う
第4章 音楽が先延ばしを防止する
第5章 メールとネットは要注意
第6章 横型人間の言い分
第7章 先延ばしやでない人と仕事をすると
第8章 先延ばしにしてよかったと思うとき
第9章 先延ばしやは周囲を不愉快にさせるのか?
第10章 最後に

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