2013年4月14日

『仕事に役立つ統計学の教え』斎藤広達・著 Vol.3190

【統計学で営業成績が上がる?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822249557

本日の一冊は、外資系石油会社でマーケティング関連の業務に携わり、その後、シカゴ大学MBA、BCG、シティバンク、ローランドベルガーなどを経て、現在は企業再生コンサルタントとして活躍中の著者が、統計的手法をセールスに役立てる方法を説いた一冊。

統計を用いて機械的に成果を出す方法をまとめたもので、例として、セールスにおける商談成約率、ボルドーワインの価格などが挙げられています。

これによると、セールスの商談成約率を決めるのは、訪問成功率(%)、提案成功率(%)、クロージング成功率(%)の掛け算。

ボルドーワインの価格に関しては、以下の変数・計算式で決まるようです。

経過年数×0.0238
+ぶどう生育期の平均気温×0.616
-収穫期の降水量×0.00386
+ぶどう生育期前の降水量×0.001173
=ボルドーワインの価格

世の中の事象を理解するツールとして、正規分布やSカーブ、相関分析などが紹介されており、いい勉強になります。

数学が苦手な人にとっては、一部わかりにくいところもありますが、極力数字を使わずに解説しているので、とっつきやすい本だとは思います。

個人的に一番勉強になったのは、以下に示した日本の売上高上位5業種、および雇用者数上位5業界を、どう見るかという著者の視点。

売上規模が大きな業界、あるいは雇用数が多い業界は「つぶしが利く」という見解が示されており、就職活動中の学生さんにとっても参考になると思います。

◆売上高上位5業種 ※経済産業省「企業活動基本調査」から著者作成
1.製造業=275兆円
2.卸売業=205兆円
3.小売業=80兆円
4.情報通信=23兆円
5.電気・ガス=22兆円

◆雇用者数上位5業界 ※総務省「労働力調査」
1.製造業=982万人
2.卸売業・小売業=941万人
3.医療・福祉=675万人
4.サービス業=428万人
5.建設業=425万人

著者いわく、<世の中は統計的なルールで動いていて、成功は、ある一定の確率でやってきます>。

成功を確実に引き寄せるために、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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販売活動を、「訪問」「提案」「クロージング」の3ステップに分解します。商談が成立するには、3つのステップを順番にクリアすることが必要です。すべてをクリアできる確率は、3ステップの突破率を掛け合わせた数字になります。営業や販売では、この突破率を「減耗率」と定義します。マーケティングでは、コンバージョン・レートと呼びます

訪問成功率(50%)×提案成功率(50%)×クロージング成功率(50%)=商談成約率12.5%

世の中は正規分布でできている

何世代にもわたるSカーブの累積で、この世界は出来上がっている。先人たちが使った時間に敬意を表し、自分もその上に少しでも価値を乗せられるよう力を尽くす。モチベーションを保ち仕事の量や質を落とさない。いつもそんな姿勢でいたいものです

結論から言うと、ワインの価値は次のような重回帰分析の数式で表わせます。

経過年数×0.0238
+ぶどう生育期の平均気温×0.616
-収穫期の降水量×0.00386
+ぶどう生育期前の降水量×0.001173
=ボルドーワインの価格

決算書の各数値から、褒めるところを見つける。これなら比較的簡単にできます。粗利率が高いとか、在庫の水準が低いとか、現金残高が潤沢で経営が安定しているとか、効率的な広告宣伝費の使い方をしているとか。会計的な優劣の基準がわからない場合は、前期と今期の比較で褒める箇所を発見します。これならいくらでも材料は見つかります

◆売上高上位5業種 ※経済産業省「企業活動基本調査」から著者作成
1.製造業=275兆円
2.卸売業=205兆円
3.小売業=80兆円
4.情報通信=23兆円
5.電気・ガス=22兆円

◆雇用者数上位5業界 ※総務省「労働力調査」
1.製造業=982万人
2.卸売業・小売業=941万人
3.医療・福祉=675万人
4.サービス業=428万人
5.建設業=425万人

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『仕事に役立つ統計学の教え』斎藤広達・著 日経BP社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4822249557

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chapter1 営業活動の標準確率モデル
chapter2 売れる確率、好かれる確率
chapter3 ビジネスを進化させる統計技法
chapter4 数字のマジック、伝え方のマジック
chapter5 成功確率を高めるテクニック
chapter6 どの業界で働くべきか? 産業統計の読み方

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