2013年4月17日

『マネジメントとは何か』スティーブン・P・ロビンズ・著 Vol.3193

【マネジメントの教科書と言えばこれ。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797372605

本日の一冊は、全世界で累計600万部を売ったマネジメント分野のベストセラー著者、スティーブン・P・ロビンズによる名著。

著者は、マネジメントと組織行動学の専門家で、当該分野では世界一教科書を売った人物。著作は、アメリカの1500校以上の大学やカレッジで使われ、19言語に翻訳されているそうです。

なぜそれほどまでに売れているかというと、「わかりやすく、かつ面白いから」。

採用であれ、人事考課であれ、マネジメント分野では、昔からまことしやかに伝えられている「迷信」がありますが、本書ではそんな迷信を、学術研究の成果をもとにバッサリと斬り捨てています。

たとえば以下は、採用担当者が重視しがちな要素ですが、実際には、あまり意味がないことがわかっています。

・第一印象 →実際にはあまり正確ではない
・性格 →過去の行動の方が大事

また、マネジメントや教育に関する以下の考え方も、本書では否定されています。

・教育によって従業員を明るく前向きに変えることができる →できない。遺伝でほぼ決まっている
・目標設定に部下を参加させる →従業員の目標が上司の決めたものか、従業員が参加して決めたものかは、それほど重要ではない
・チャレンジ精神を育てる →チャレンジはごめん、という人もいる

最近では、ワークライフバランスの議論も盛んですが、安易な議論に走る前に、以下の事実を受け止めておくべきでしょう。

・フローが一番起きやすいのは、仕事中であって、くつろいだ時間ではない
・仕事は、ほとんどの娯楽からは得られないような幸福感をもたらすことができる

マネジメントの具体的ノウハウとしても、フィードバックの方法やインセンティブの与え方、信頼関係を築く方法などが書かれており、参考になります。

以下は、マネジャーが従業員との信頼関係を築くのに有効であるとわかった行動ですが、参考までに紹介しておきましょう。

1.オープンであること
2.公正であること
3.気持ちを伝えること
4.真実を告げること
5.一貫性を示すこと
6.約束を守ること
7.秘密を守ること

難しい理論は学びたくないけれど、実践の場に学術の知恵を生かしたい、と考えるマネジャーに、ぜひおすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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心理学者は第一印象が持つ影響力を「初頭効果(primacy effect)」と呼ぶ。大切なのは、初頭効果は人を評価するうえで大きな意味を持つということだ。そしてもっと重要なのは、第一印象はあまり正確ではないことだ

歩き方や話し方、服装、容貌は、適性評価に大きな影響を与える

性格が行動を左右する度合いは、制約が弱い環境では高く、強い環境では低くなる

性格から従業員の行動があまり予想できないとすれば、マネジャーは何で判断すべきなのだろう? 答えは、過去の行動である!

知能指数の高い従業員は概して生産性が高い

業績と最も関係があるのは「誠実さ」

個人の満足度についての五十年間のデータを分析したところ、勤務先や職業が変わっても、満足度は長い期間驚くほど一貫していることがわかった

完璧な仕事や組織など存在しない。最初から正直に接すれば、新入社員が長く勤める可能性は高まる

人はパーソナリティに合った職場に配置されたときに、最も充実感を抱く

一般に、新人教育が本格的、集団的、連続的、マイナス型であるほど、新人の多様性と視野の広さが失われ、画一的で予測可能な行動に取って代わられる可能性が高くなる

実は、従業員の目標が上司の決めたものか、従業員が参加して決めたものかは、それほど重要ではない

◆信頼関係を築くのに有効であると示された行動
1.オープンであること
2.公正であること
3.気持ちを伝えること
4.真実を告げること
5.一貫性を示すこと
6.約束を守ること
7.秘密を守ること

低い割合なら従業員の退職が好ましい効果を持つことがある

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『マネジメントとは何か』スティーブン・P・ロビンズ・著 ソフトバンククリエイティブ
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4797372605

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第1部 採用
第2部 モチベーション
第3部 リーダーシップ
第4部 コミュニケーション
第5部 チーム作り
第6部 衝突の処理
第7部 職務設計
第8部 業績評価
第9部 変化への対応

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