2013年3月28日

『実語教』齋藤孝・著 Vol.3173

【話題沸騰!「日本人千年の教科書」実語教とは?】
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みなさんは、あの『学問のすゝめ』に、元本があったことをご存じでしょうか?

※参考:『学問のすゝめ』
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それは、平安時代の終わりにできたと言われている『実語教』。

これが現在、齋藤孝さんの力により、再燃しているのです。

この『実語教』は、『明治頭書 改正 實語教童子教 完』を底本にし、齋藤孝さんが解説した一冊。

著者が「日本人千年の教科書」と呼ぶ『実語教』の29の教えを原文と訳、さらに解説をつけてわかりやすくしたもので、タイトル通り、子どもでも読める内容です。

説かれているのは、知恵の大切さや学問をすることの大切さ、年上を敬い、年下の面倒をみることの大切さなど、ごくごく当たり前の内容。

ただ、金銭という指標を失った現代人にとって、どこを目指すべきか、どういう人間になるべきか、方向性を示したという点で、価値ある内容だと思います。

具体的に、教えをいくつかピックアップしてみましょう。

◆山高きが故に貴からず。樹有るを以て貴しとす。
(山は高いからといって価値があるわけではありません。そこに樹があるからこそ価値が出てくるのです)

◆富は是一生の財、身滅すれば即ち共に滅す。
智は是万代の財、命終れば即ち随って行く。
(富は自分が生きている間は大切なものですが、死んでしまえば墓の中まで持っていけるものではありません。それに対して智恵は万代も後まで残るものです。自分が死んでも、子孫へと受け継がれていくものなのです)

◆友と交りて争う事なかれ。己より兄には礼敬を尽くし、己より弟には愛顧を致せ。
(友だちとけんかをしてはいけませんよ。自分よりも年上の人には礼儀正しく尊敬の気持ちを持って接しなさい。自分より年下の人はかわいがってあげなさい)

極めてベーシックな内容で、奇をてらったところは一切ない。にもかかわらず、読んでいてピンと背筋が伸びる気がするのです。

仕事や生き方の指針を得るために、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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山高きが故に貴からず。樹有るを以て貴しとす。
(山は高いからといって価値があるわけではありません。そこに樹があるからこそ価値が出てくるのです)

人肥えたるが故に貴からず。智有るを以て貴しとす。
(人は太ってふくよかであるといって立派なのではありません。智恵があるからこそ立派な人ということができるのです)

富は是一生の財、身滅すれば即ち共に滅す。
智は是万代の財、命終れば即ち随って行く。
(富は自分が生きている間は大切なものですが、死んでしまえば墓の中まで持っていけるものではありません。それに対して智恵は万代も後まで残るものです。自分が死んでも、子孫へと受け継がれていくものなのです)

倉の内の財は朽つること有り。身の内の才は朽つること無し。
千両の金を積むといえども、一日の学にはしかず。
(倉の中に大切にしまっておいた財産でも、なくなることがあります。しかし、一度身についた智恵や能力はなくなることがありません。いくら大金を積んでも、一日一日の学びには及ばないのです)

師に会うといえども学ばざれば、徒に市人に向うが如し。
(せっかく良い先生と出会っても、学ぼうという気持ちがなければ、ただの人と会っているようなものです。それでは何も得られませんよ)

習い読むといえども復せざれば、只隣の財を数うるが如し。
(勉強をするのも本を読むのも、一度だけでなくて繰り返しやらなければ、ただ隣りの家の財産を数えるようなものです。それでは自分のものにはなりませんよ)

友と交りて争う事なかれ。己より兄には礼敬を尽くし、己より弟には愛顧を致せ。
(友だちとけんかをしてはいけませんよ。自分よりも年上の人には礼儀正しく尊敬の気持ちを持って接しなさい。自分より年下の人はかわいがってあげなさい)

己が身を達せんと欲する者は、先ず他人を達せしめよ。
(自分が立派な人になりたいと思うのならば、まず他の人が立派になるように手助けしてあげなさい)

富むといえども貧しきを忘るることなかれ。貴しといえども賤しきを忘るることなかれ。
(お金持ちになったとしても、貧しかったときのことを忘れてはいけません。立派になったとしても、何が賤しいことなのかを忘れてはいけません)

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『実語教』齋藤孝・著 致知出版社
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◆目次◆

1.世の役に立つ人になろう
2.智恵のある人になろう
3.お金よりも智恵を残そう
4.どんどん自分を磨いていこう
5.毎日学ぶことが一番大事
6.相手を思いやる心を持とう
7.勉強のすすめ
8.覚悟を決めたらやりとげよう
9.自分から積極的に学ぼう
10.繰り返しのすすめ
11.良い仲間と切磋琢磨しよう
12.努力をすれば花が咲く
13.目上の人を尊敬しよう
14.一生の友だちをつくろう
15.人間として大切なもの
16.落ち着いた気持ちをつくろう
17.「慈・悲・喜・捨」の四つの心を育てよう
18.幸せな人生を歩くためには
19.お年寄りと小さな子を大切に
20.まず相手を大切にしよう
21.「人のため」が「自分のため」になる
22.ともに悲しみ、ともに喜ぶ
23.いいことはすぐにまねしよう
24.親切は必ず報われる
25.偉くなっても忘れてはいけないこと
26.油断しないで学び続けよう
27.読み書きは人生の基本
28.学問をすることは命を養うこと
29.学びの第一歩となる『実語教』

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