2013年1月15日

『愛着障害』岡田尊司・著 vol.3101

【これは名著だ。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334036430

本日の一冊は、某有名コンサルティング会社に勤める知人が絶賛していた一冊。

読むのが遅れましたが、この本は、ひさびさにうなりながら読ませていただきました。

内容をかいつまんで言えば、われわれはそれぞれが愛着スタイルを持っており、それが対人関係に影響するということ。

これがなぜビジネスに関係あるかというと、先日紹介した『地道力』にもあったように、<年収は協力者の数に比例する>からです。

※参考:『地道力─年商200億円、全国200店のFC展開を成功させた社長学』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4594060307

愛着に障害を持つ人は、困っていてもなかなか人に打ち明けられなかったり、援助を頼めなかったりする。また、他人への共感を欠いたり、攻撃性が強まったり、問題行動を取ることもあるため、経営者として致命的なこともあるのです。

本書では、そんな『愛着障害』に悩まされた偉人たちの例をもとに、『愛着障害』の実際と克服の方法を、精神科医であり作家でもある著者が解説しています。

川端康成、ルソー、夏目漱石、太宰治、ミヒャエル・エンデ、ヘミングウェイ、ビル・クリントン、オバマ、中原中也、チャップリン…。

妙に作家が多いのが気になりますが、じつはこの『愛着障害』、クリエイティブな仕事に携わる人にとっては、重要なエネルギー源にもなるようです。

曰く、<創造する者にとって、愛着障害はほとんど不可欠な原動力であり、愛着障害をもたないものが、偉大な創造を行った例は、むしろ稀と言っても差し支えないだろう。技術や伝統を継承し、発展させることはできても、そこから真の創造は生まれにくいのである>。

愛着障害を抱える人間こそが、世の中を変える「創造的な」仕事を成し遂げる。

偉人たちのエピソードも強烈ですが、キャリアの視点、教育の視点からも役に立つ本です。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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愛着形成の臨界期は生後半年から一歳半の期間

愛着が不完全で、安全基地をもたない場合には、そこに縛られることがないので、まったく常識を超えた目で社会を見たり、物事を感じたり、発想することができやすい。これが、独創性という点で、大きな強みを生むのである

回避型の人にとって、たとえ愛するパートナーが苦しんでいても、そのことを自分の痛みのように共感することは難しい

回避型のパートナーをもつことは、いざというときに助けになってくれないどころか、むしろ怒りの反応に遭遇することになるのを覚悟しなければならない

不安型の人は、利害に基づく連携に過ぎない関係を、愛着関係と錯覚してしまうことが起きやすい

「安全基地がもてない障害」ともいえる愛着障害を克服するためには、良い安全基地となってくれる存在が、是非とも必要

◆良い安全基地の条件
1.安全感を保証するということ
2.感受性(共感性)
3.応答性(相手が求めているときに、応じてあげること)
4.安定性
5.何でも話せること

人を信じることができるためには、自らの価値を肯定してもらえるという体験が重要

書くという行為は、ある意味、愛着障害の自己治癒の試みと言えるかもしれない

役割をもつこと、仕事をもつこと、親となって子どもをもつことは、その意味で、どれも愛着障害を乗り越えていくきっかけとなり得る

愛着障害を克服していく過程でしばしば観察される現象の一つに、自分が親代わりとなって、後輩や若い人たちを育てる役割を担うということがある

効率的な社会において、人間の根幹である愛着というベースが切り崩されることによって、社会の絆が崩壊するだけでなく、個々の人間も生きていくのに困難を抱えやすくなっている

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『愛着障害』岡田尊司・著 光文社
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◆目次◆

第一章 愛着障害と愛着スタイル
第二章 愛着障害が生まれる要因と背景
第三章 愛着障害の特性と病理
第四章 愛着スタイルを見分ける
第五章 愛着スタイルと対人関係、仕事、愛情
第六章 愛着障害の克服

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