2012年12月24日

『雑学科学読本 身のまわりのモノの技術』涌井良幸、涌井貞美・著 vol.3079

【画期的雑学本が登場】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/480614455X

みなさんは、高層ビルの工事現場を見ていて、「どうしてクレーンがあんなに高いところまで移動できるのだろう?」と疑問に思ったことはありませんか?

このタワークレーン、もちろん工事が終了したら、下に下ろすわけですが、それもどうやってやるのか、まったく謎です。

また、最近は傾斜部でスピードが速くなり、乗降する水平部ではゆっくり進むエスカレーターが登場していますが、あれもどんな仕組みになっているのか不思議です。

本日ご紹介する一冊は、こういった『身のまわりのモノの技術』の謎に迫る、画期的な雑学本。

パンクしても潰れないランフラットタイヤ、消せるボールペン、ヒートテック、透けない水着、スチームオーブンレンジなど、その利便性の恩恵には与っているけれど、仕組みはよくわからない、という商品の謎を、ものの見事に解き明かしてくれる一冊です。

上記のタワークレーンの例で言うと、登るときには、以下の手順を踏むようです。要するに、マスト部分が伸び縮みするタワークレーンは、上部を固定すれば、ベースを上げられるため、そこにまた土台が作れるということです。

◆タワークレーンのクライミング
1.足場を固め、クレーンを組み立て、ビルを作りながら、マストの最上部までクレーンを持ち上げる
2.フロアに上部マストを固定する
3.ベースをマストごと持ち上げ、フロアに固定する
4.クレーンを再びマストの最上部まで持ち上げる

そして、降りる時には、以下の手順で解体するのです。大きさの違う子クレーンが、バラバラにした親クレーンを下ろし、さらに孫クレーンを立て、バラバラにした子クレーンを下ろす。最後は人が解体して、エレベーターで下ろすとは、本当に驚きました。

◆タワークレーンの解体
1.子クレーンを親クレーンの近くに作る
2.子クレーンで親クレーンを解体する
3.同様に、子クレーンは孫クレーンを作り解体
4.最後は人が解体し、エレベーターで地上に下ろす

どの仕組み・商品も開発した人々の画期的アイデア、発想転換が含まれており、読んでいてじつにワクワクします。

もちろん、完全に理解するには多少の化学・物理の教養が必要ですが、なくても、大まかには理解できると思います。

ぜひ教養として、読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆タワークレーンのクライミング
1.足場を固め、クレーンを組み立て、ビルを作りながら、マストの最上部までクレーンを持ち上げる
2.フロアに上部マストを固定する
3.ベースをマストごと持ち上げ、フロアに固定する
4.クレーンを再びマストの最上部まで持ち上げる

◆タワークレーンの解体
1.子クレーンを親クレーンの近くに作る
2.子クレーンで親クレーンを解体する
3.同様に、子クレーンは孫クレーンを作り解体
4.最後は人が解体し、エレベーターで地上に下ろす

通常のエスカレーターでは二つの階段はチェーンで直線的に連結されている。ところが変速エスカレーターでは、この連結を曲がるようにしたのである。水平時には「Y」の字のような形に、傾斜時にはカタカナの「イ」の字のような形に変形させる。こうすることで、入口と出口のところで、紙がシワになる原理で階段のスピードが落ち、安全に乗降できるのである

ランフラットタイヤは、パンクして空気圧がゼロになっても規定の距離を安全に走行できるタイヤ。いくつかの方式があるが、現在の主流はブリヂストンの開発したサイド補強型方式である。補強ゴムによってタイヤサイドの厚みを増すことで、パンクして空気が抜けた状態でも、サイド部分が走行に必要な強度を保持する方法だ

消せるボールペンを見てみよう。その名の通り、消しゴムでこすると書いた文字が消せる不思議なペンである。その秘密は、消しゴムでこするときに発生する摩擦熱にある。インクとしてロイコ染料、顕色剤、変色温度調整剤を一つのマイクロカプセルに入れた顔料を用いている。摩擦で温度が上がると、この調整剤が働いて色を消すのだ。本来は無色のロイコ染料が、顕色剤と結合することで発色する性質を応用している

肌に接するところには綿の肌触りのレーヨンが配されている。肌から放出される水蒸気は、レーヨンの持つ優れた吸湿性のために水(要するに汗)になる。その際に凝縮熱が生まれ、繊維の温度が高くなる。これが暖かさを感じさせる秘密だ

1994年、東レが開発した透けない水着素材「ボディシェル」が登場。水に濡れても透けないということで大ヒットした。この繊維は、内部に八角形の星型の芯を持った複層構造で、芯には反射材として白色顔料の酸化チタンを含ませている。八角形の星型を芯にすることで、光を透過しにくくできる。酸化チタンは、化粧品にもよく使われているように、紫外線防止効果がある顔料だ。そのため、日焼け防止という美白効果も備えている

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『雑学科学読本 身のまわりのモノの技術』涌井良幸、涌井貞美・著 中経出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/480614455X

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◆目次◆

第1章 街で見かけるモノの技術
第2章 外出先で触れるモノの技術
第3章 身近にあるモノの技術
第4章 生活で使うモノの技術
第5章 ハイテク時代のモノの技術

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