2012年12月20日

『僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。』出雲充・著 vol.3075

【本日上場!の注目ベンチャー】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478021821

本日の一冊は、人類の食料問題、環境問題、エネルギー問題を、ミドリムシを使って解決しようとする東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」の軌跡を、創業者の出雲充さんが書いた一冊。

広島県呉市生まれ、多摩ニュータウン育ち。進学校に進み、何不自由なく育った著者が高校時代抱いた夢は、「将来は国際連合で働いて、世界から飢餓や貧困をなくしたい」というものでした。

しかし、大学で学んでいるうちに、またバングラデシュでグラミン銀行のインターンシップに参加することで知ったのは、<バングラデシュの「飢餓」問題は、先進国から乾パンを送るような方法では解決できない>ということ。

そこで著者が目をつけたのが、「ミドリムシ」だったのです。

本書によると、<ミドリムシは植物と動物の両方の性質を持っているので、両方の栄養素を作ることができる>。また、<はるか5億年前からCO2を吸収してきたミドリムシは、高等動物よりも圧倒的にCO2の処理能力が高い>。さらに、<ミドリムシが光合成により作り出し、体内に蓄えた油を石油と同じように精製すれば、ロケットやジェット機の燃料として使えるバイオ燃料が得られる>そうなのです。

つまり、ミドリムシを培養することに成功すれば、人類の食料問題、環境問題、エネルギー問題が一気に解決できる。

これに挑んだのが、先述の東大発バイオベンチャー「ユーグレナ」なのです。

ただ、どこのベンチャーもそうであるように、その船出は簡単ではありませんでした。

研究者を訪ね、パートナーを探し、二足のわらじをやめて独立。その後、待ち受けていたのは、出資者であるライブドアのスキャンダルでした。

多くの協力者が去っていくなか、それでも信念を貫いた著者が、どうやってバイオビジネスで成功したのか。その努力と発想の転換には、目を見張るものがあります。

ユーグレナは、本日2012年12月20日東証マザーズ上場。

人類の未来を背負ったベンチャーにいくらの値段が付くのか、今から楽しみです。

買おうかどうか悩んでいる方には、ぜひ一読をおすすめします。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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世界的に食料が不足するようになれば、その多くを輸入に頼っている日本も、いつまで「飽食」でいられるかわからない。またこれからの世界でさらに激しい奪い合いとなることが確実なのが、エネルギーだ

この世に、くだらないものなんて、ないんだ

「出雲くんも将来、何かやりたいことがあって、他の人に手伝ってもらいたいと思っているならば、まず最初に、他の人の手伝いをしてみるといいよ。そうしているうちに、いずれ他の人が、今度はきみのことを手伝ってくれるはずだから」
(「KING」代表北爪氏の言葉)

テクノロジーだけでは、世界は変わらない

「10年経ったら辞めるっていうのは、お前、ずっと辞めないってことだよ。先延ばししているだけだ。俺がそうだったから、間違いない。一生後悔したくなかったら、いま、辞めるべきだ。ミドリムシに人生を賭けてみろ」(プレジデント社 編集者 原孝氏の言葉)

安全圏に身を置きながら、本気で何事かに取り組むことはできない

20歳のときに訪れたシリコンバレーのベンチャー企業では、「シャドウイング」というメニューが若手の育成にあったことを思い出した。シャドウイングとは日本語に訳せば「影のようにマネする」という意味で、仕事ができる経営者にまるで影のようについて回って、その人の仕事のやり方や一日の過ごし方をそっくりそのまま自分のものにしてしまおう、という学習方法のことをいう。つまり伝統的な日本の言葉でいえば、「カバン持ち」だ

ミドリムシにはほとんど何も影響を与えないが、ミドリムシ以外の生き物は侵入できないような培養液を人為的に作り出すことができれば、別にクリーンルームでなくても問題がないんじゃないか。そうすれば、屋外で大量に培養することが可能になる。当然、高価な投資の費用もかからないから、安く大量にミドリムシを増やすことができる

人類の進歩に資するテクノロジーには、「サイエンティフィカリーコレクト」(科学的な正しさ)と、「エモーショナリーアグリーメント」(感情的な共感)の両方が必要
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『僕はミドリムシで世界を救うことに決めました。』出雲充・著 ダイヤモンド社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4478021821

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◆目次◆

はじめに──くだらないものなんて、ない。
第1章 問題と、自らの無知を知るということ
第2章 出会いと、最初の一歩を踏み出すということ
第3章 起業と、チャンスを逃さずに迷いを振り切るということ
第4章 テクノロジーと、それを継承するということ
第5章 試練と、伝える努力でそれを乗り越えるということ
第6章 未来と、ハイブリッドであるということ
おわりに──ミドリムシに教えてもらった、大切なこと

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