2012年10月3日

『また、あの人と働きたい』黒岩功・著 Vol.2997

【辞めた社員が戻ってくる人気レストランの秘密とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4904899288

良い会社かどうか判断する基準はたくさんあると思いますが、「辞めた社員が戻ってくる」というのは、ひとつの重要な基準ではないかと思います。

本日ご紹介する一冊『また、あの人と働きたい』は、働く約40名の社員のじつに3割が「出戻り社員」という、人気フレンチレストラン「ル・クロ」のオーナーシェフが書いた人材育成術。

マネジメントの心構えを書いた本は、いいかげん飽き飽きしていたのですが、本書は、氏が行っているマネジメントのディテールが書き込まれている点が違います。

まず、なぜ社員が戻ってくるかというと、ル・クロが社員に、<お客さまのことだけを考えて仕事をする姿勢>を叩き込んでいるから。

こういうカルチャーで育った社員は、他社に行って違うカルチャーに触れると、強いストレスを感じてしまうらしいのです。

また、「辞めていく社員にエールを送る組織に、人は集まる」そうで、氏のお店では、辞めた社員の悪口を言うのはタブー、辞める時には、「お前は絶対がんばれるやつや」「なんかあったらまた戻ってきてくれよ」と声を掛けるそうです。

つまり、お店のDNAをきっちり植えつけて、いい辞め方をさせるから「辞めた社員が戻ってくる」のです。

本書にはほかにも、著者が人材育成のために使っている仕組みやツールが紹介されています。

まずは、お店の新人に書かせているという「仕事表」。これは、「自分が出勤して退社するまでの時間にどう行動するか、分単位ですべて書き出して整理する」ものです。これをやらせることで、「新人に時間の使い方を学んでもらう」ことができます。

トップ陣に対しては、月一度提出の「スタッフケアシート」というツールを使って、「トップ陣がスタッフをつねに気にかけているかをチェック。報告メールの共有によって、トップ陣同士の気づきも促しているそうです。

このように本書では、著者の人材育成のしくみやツールが丁寧に紹介されています。

すべてのスタッフを「家族」として扱い、お客を自分の親に見立てて接客する。

そんなすごいレストランの人材育成の仕組みが知りたい方は、ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「お金以上の対価」を得られる組織に、人は集まってくる

組織は畑であり、社員は種である

お金のため「だけ」に働く気分というのはつらいものです。たくさんの欲を持つからこそ、人間は生きるエネルギーがわいてくる。だから、お金以外の対価をたくさん見つけ、そのために仕事をしてほしい

一度社外を見た人ほど強い意志をもって帰ってくる

ル・クロで育った彼らは、お客さまのことだけを考えて仕事をする姿勢が頭のてっぺんから爪の先まで染みついています。そのため、それができない環境に強いストレスを感じてしまう

自分の親がお店にやってきたらどんなふうに振る舞うか考えて、同じ事をお客さまにもすればいい。もしも、自分の親が田舎からわざわざ大阪まで出てきてくれたのだとしたら、たとえ予約の時間に遅れても「申し訳ありません、2時がラストオーダーです」などと言えるはずがないでしょう

辞めていく社員にエールを送る組織に、人は集まる

「苦手な作業」を「目標に近づくための大きな一歩」に変える

あれになりたい、憧れている、という思いはみんな何かしら持っています。ただし、そこに意志がない。意志がないから、壁にぶつかったときに努力できない

本意→本質→真意のプロセスを経た人材を昇進させる

ル・クロ内では「仕事表」と呼ばれているツールを使います。これは、自分が出勤して退社するまでの時間にどう行動するか、分単位ですべて書き出して整理するというもの。ル・クロではこれを、新人教育の中心に据えています(中略)仕事表の第一の狙いは、新人に時間の使い方を学んでもらうことにあります

必要になるのは、「トップ陣がスタッフをつねに気にかけ続ける」ための仕組みです。そこで、ル・クロが取り組んでいるのが、トップが月に1度提出する「スタッフケアシート」

報告メールの共有は、トップ陣同士の気づきを促す

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『また、あの人と働きたい』黒岩功・著 ナナ・コーポレート・コミュニケーション

http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4904899288
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◆目次◆

第1章 「誰と働くか」が問われる時代
第2章 出戻り社員が主役になる仕組み
第3章 正社員の底力を活用する
第4章 朝まで語り合える関係性の作り方
第5章 主体性を引き出すモチベーション管理術

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