2012年7月4日

『良い戦略、悪い戦略』リチャード・P・ルメルト・著 Vol.2905

【これはいい本。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532318092

本日の一冊は、「エコノミスト」誌が選ぶ「最も影響力ある25人」の一人、UCLAアンダーソン・スクール教授で、リソース・ベースト・ビュー提唱者の一人、リチャード・P・ルメルト教授による戦略論です。

『ブルー・オーシャン戦略』著者のW・チャン・キム、『コア・コンピタンス経営』著者のゲイリー・ハメルのダブル推薦で、読んだところ、確かにそれぐらい読み応えある一冊です。

※参考:『ブルー・オーシャン戦略』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4270000708

※参考:『コア・コンピタンス経営』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532190312

本書には、行動に直結する「良い戦略」と、「いま何をすべきか」が示されていない「悪い戦略」の違いが明確に定義されており、戦略の本質と、良い戦略の条件を学ぶことができます。

また、「良い戦略の基本構造」にも言及しており、経営者が戦略を設計する際のヒントにもなります。

なぜIKEAの戦略は秘密でも何でもないのに、競合他社が真似しないのか、なぜKマートはウォルマートに敗北したのか、なぜアップルはマイクロソフトに1億5000万ドルもの投資をさせることができたのか、といった謎が、戦略の視点から解き明かされ、じつに刺激的な読み物です。

戦略の事例として、第一次世界大戦、第二次世界大戦、湾岸戦争、トラファルガー海戦、ローマを打ちのめしたハンニバルの戦略なども登場し、まさに戦略の教科書と呼ぶにふさわしい一冊です。

本当に役立つ戦略の本は、ちょっと読み進める度に自らのビジネスに応用できるヒントを与えてくれるものですが、本書はまさにそんな内容。

これは必読の一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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戦略策定の肝は、つねに同じである。直面する状況の中から死活的に重要な要素を見つける。そして、企業であればそこに経営資源、すなわちヒト、モノ、カネそして行動を集中させる方法を考えることである

あまりに多くのことを意味する言葉は、ピントがぼける。何らかの概念に内容を与えようとするなら、はっきりと境界線を引き、それが何を意味し何を意味しないかを決めなければならない

良い戦略には、とるべき行動の指針がすでに含まれている

良い戦略には、しっかりした論理構造がある。私はこれを「カーネル(核)」と呼んでいる。戦略のカーネルは、診断、基本方針、行動の三つの要素で構成される

戦略の基本は、最も弱いところにこちらの最大の強みをぶつけること、別の言い方をするなら、最も効果の上がりそうなところに最強の武器を投じることである

良い戦略に自ずと備わっている卓越した価値の第一は、新たな強みを生み出すことである。他の組織はどこもそれを持っておらず、かつあなたが持っているとは予想もしていないだけに、その価値は圧倒的だ

ウォルマートでは店でなく地域ネットワークが経営の基本単位となっている

良い戦略とは「何をやるか」を示すだけでなく、「なぜやるのか」「どうやるのか」を示すものであるべきだ

IKEAのやり方はひどくユニークなうえに、それらが組み合わされて鎖構造を形成しているので、どれか一つをまねするだけでは効果が得られない

システム設計の大半は、実のところサブシステムの相互作用、別の言い方をすればトレードオフをみきわめることにある。ある部分を最適化しようとすれば、直ちに他の部分はどうするのかという問題が必ず起きるからだ

安定的な大ロット生産を望むなら、大口顧客の言うことを聞かざるを得ませんが、小ロット生産で行くなら立場は逆転します。小ロットや急場の需要に応じてくれる缶メーカーはほかにいないわけですから、クラウンは強力な価格交渉力を持っています

希少なリソースを持つ場合には、それに対する需要をうまく高めることこそ、戦略の基本

古典的な軍事戦略では、防御側は高地をとるのがよいとされている

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『良い戦略、悪い戦略』リチャード・P・ルメルト・著 日本経済新聞出版社
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532318092
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◆目次◆

序 章 手強い敵
第1部 良い戦略、悪い戦略
第1章 良い戦略は驚きである
第2章 強みを発見する
第3章 悪い戦略の四つの特徴
第4章 悪い戦略がはびこるのはなぜか
第5章 良い戦略の基本構造
第2部 良い戦略に活かされる強みの源泉
第6章 テコ入れ効果
第7章 近い目標
第8章 鎖構造
第9章 設計
第10章 フォーカス
第11章 成長路線の罠と健全な成長
第12章 優位性
第13章 ダイナミクス
第14章 慣性とエントロピー
第15章 すべての強みをまとめる―NVIDIAの戦略
第3部 ストラテジストの思考法
第16章 戦略と科学的仮説
第17章 戦略思考のテクニック
第18章 自らの判断を貫く

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