2012年6月1日

『Think Simple アップルを生みだす熱狂的哲学』 ケン・シーガル・著 Vol.2872

【すべてのイノベーターたちへ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140815450

本日の一冊は、アップルの伝説のマーケティングキャンペーン「Think different」の制作に携わり、また「i」シリーズの先駆けとなった「iMac」のネーミングでも知られるクリエイティブ・ディレクターが、アップルのシンプル哲学を語った一冊。

このケン・シーガル氏は、アップルが絶望的状況にあったジョン・スカリーCEOの時代からジョブズが復活して大成功するまでの計17年間、アップルの広告を手掛けてきた人物で、アップルのほかにも、デルやIBM、インテル、BMWとも仕事をしています。

そのため、アップルと他社を冷静に比べる視点も入っており、それがこの本の存在を際立たせています。

本書のあとがきにも書かれているように、「<複雑さ>があふれている世界で、<シンプルさ>を支持する人はいつでも際立つことができる」。

しかし、それを貫くのは並大抵のことではありません。

あなたが人に情けをかけたり、妥協したり、かかわる人が増えたりすると、シンプルさの哲学は、もろくも崩れ去るのです。

本書では、スティーブ・ジョブズと10年間一緒に仕事をしてきた著者が、ジョブズの現場でのエピソード、伝説のキャンペーンの舞台裏を明かしながら、このシンプル哲学を語っています。

シンプルさに従って生まれたiPodの「シルエット」のコマーシャル(踊る人の二次元のシルエットと白いiPodのシルエット、白いイヤホンを描いた)、もともと「マックマン(MacMan)」だったiMacが、どうやってiMacになったのか、そして伝説となった「Think different」の裏舞台…。

クリエイティブでありたいと願う、すべての人を鼓舞する、哲学とエピソードにあふれた、素晴らしい一冊です。

この本に、ジョン・マエダが書いた『シンプリシティの法則』、D・ノーマンが書いた『複雑さと共に暮らす』を併せて読めば、さらに理解が深まるはず。

※参考:『シンプリシティの法則』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492556079

※参考:『複雑さと共に暮らす』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4788512475

いずれも名著ぞろいなので、ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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一番気がかりなことは、妥協によってあなたは、自分が信じてもいないアイデアを擁護するという、ビジネス上もっともまずい立場に陥ることだ

アップルは「考えることは大きく、それ以外は小さく」を奨励している

シンプルさの親友は、有能な少人数のグループだ

うれしいことに、残酷になることと尊敬されることは両立できる。事実、正しいタイミングで残酷な正直さを少し見せるのは、尊敬を勝ちとるいい方法なのだ。そして、それは有能な少人数
のグループを小さく保つよい方法でもある

プロセスが王様のときに、アイデアはけっして王様になれない

希少で利益のあがる製品を作ることに集中し、品質で妥協しないことによって、高い価格をつけることができ、高い効率性を獲得できる

多くの企業は、すべての機会をとらえ、あらゆる顧客を満足させ、すべての取引を成立させようとする欲求を抑えられない。実際は、論理立てた製品ラインアップを作り、ほしいモノを見つけやすくするほうが顧客のためになる

インターネット上のビジネスの基本ルールは、現実世界の店舗のそれと変わらない。早くシンプルに買い物ができれば、多くの取引ができるということだ

「偉大なことをなし遂げるには、ふたつのことが必要だ。計画と、充分ではない時間だ」(指揮者レナード・バーンスタイン)

強いブランドは銀行預金と同じような動きをする

チームでアイデアを出しあったときに、ふたつの単語からなるフレーズが全員の注意を引いた。「Think different」。部屋にいたコピーライター全員がそのフレーズは自分が考えたのだと言いたくなるだろうが、実際はアートディレクターのクレイグ・タニモトの手柄だ。その二語でタニモトはアップルの本質を表現することに成功した。そのフレーズは、アップルの顧客の琴線に触れるし、従業員には鬨(とき)の声となるものだった

「1」は疑いもなく、人間が発明したもっとも単純な数字だ。単純だから子どもでもわかる。1から離れれば離れるほど、複雑になっていく

iMacもスティーブは「嫌いだ」と言ったが、それでも残した。今回のプレゼンで私は、ずっと昔に広告の世界で出会った一人の賢人から教わった哲学に頼ることにした。それは、「新しいアイデアをつけ加えるならば、古いものを再提案してもいい」だった

「ビジネスウィーク誌がなんて書くか想像がつくかい?」とスティーブは言った。彼の頭にはその記事が浮かんでいた。インテルがアップルを訴える、という記事の中央には、インテルのチップを背負ったカタツムリの写真がでかでかと載る

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『Think Simple アップルを生みだす熱狂的哲学』 ケン・シーガル・著 NHK出版
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4140815450
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◆目次◆

Think Brutal 第1章 容赦なく伝える
Think Small  第2章 少人数で取り組む
Think Minimal 第3章 ミニマルに徹する
Think Motion 第4章 動かし続ける
Think Iconic 第5章 イメージを利用する
Think Phrasal 第6章 フレーズを決める
Think Casual 第7章 カジュアルに話しあう
Think Human  第8章 人間を中心にする
Think Skeptic 第9章 不可能を疑う
Think War   第10章 戦いを挑む
Conclusion Think Different

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