2012年4月2日

『経営は哲学なり』野中郁次郎・著 Vol.2812

【偉大な哲学が偉大な企業を生む】
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本日の一冊は、名著『知識創造企業』で、世界が認める学者となり、また東日本大震災以降話題となっている『失敗の本質』でも共著者を務めた、野中郁次郎氏監修の一冊。

※参考:『知識創造企業』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492520813

※参考:『失敗の本質』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4122018331

良い時代には、成功企業のベンチマーキングが有効ですが、いざ新しく何かを創ろうと思った場合、モノマネ思考では何も生み出せません。

そんな時、企業は何をベースに事業を創っていけばいいか。

それはじつは、「哲学」なのです。

既にご存じのように、現存する偉大な企業の多くは、創業者の「哲学」によって創られました。

創業者の個人的体験から行き着いた、社会の「あるべき姿」。それが、事業を創造させるのです。

本日ご紹介する一冊は、サントリー、キッコーマン、ホンダ、ファーストリテイリング、ヤマト運輸など、現在の日本を代表する企業の経営者が、どんな哲学を持って事業を興したか、その本質に迫った一冊。

それぞれの事業に込められた熱い思いが伝わってきて、読んでいて大いにやる気をかき立てられます。

また、長嶋茂雄や松田聖子など、セルフプロデュースに優れた個人についても事業として取り扱っており、一読に値します。

わずか数ページで、創業者の生い立ちから、企業の成長・発展への軌跡を追うことができるので、ビジネスマンの教養本としても重宝する内容。

これはぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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混迷の時代において、何を手がかりに組織の意思決定を行い、何を基準に行動すべきなのか。それに対する答えが「哲学」であり、それをもつリーダーである

本田宗一郎は、「現場」で「現実」に起こった「現物」のみを信用し、それ以外はいっさい信用しなかったといわれている。ホンダの商品開発や経営のあり方に対する基本的な哲学は、この本田宗一郎の考えを端的に表した「三現主義」である。この三現主義は、「見たり」「聞いたり」「試したり」といった基本的な人間行動へと分解される

宗一郎は、「見る」について以下のようにいっている。「描こうとする相手の生い立ちや、自然の背景に思いを及ぼすことは、よい絵をかくための基礎となるはずだ。いいと思ったから描くまでのことだという人もいるかもしれないが、機能を知ることによって、そのものがもっている美しさや個性の本質をつかむこともできるのではないか、と思うのである」(『私の手が語る』講談社文庫、一九八五年、二一八頁)

長嶋の哲学のひとつは、ファン中心主義である。長嶋は、数多くのファンの脳裏に焼きつくプレーを残している。たとえば、空振りした際、ヘルメットを飛ばすシーンが有名である。このパフォーマンスについて彼は、ヘルメットを飛ばす研究をしたと述べている

小倉昌男は、論理の人である。経営は論理の積み重ねであり、「論理的思考」ができない人に、経営者になる資格はないといい切る(中略)経営とは、誰も知ることができない未来の現実に立ち向かうチャレンジである。そのときに、大きな力を与えてくれるのが論理的思考であった

ソニーはつねにイノベーションをつづけていく自らの姿勢を肯定し、「モルモット精神」をその特徴としたのである

菊池は作家としての天分について頓着していない。むしろ、彼は、文芸活動が特別に選ばれた少数者の仕事であるという思い込みを打ち破ろうとした。創作の喜びを楽しむことは、一部の天才が独占すべきものではなく、すべての人がもつ権利であることを主張したのである。「生活第一、芸術第二」という言葉は、「文芸作品における内容的価値」という文芸評論で打ち出されたスローガンであるが、菊池がいつも口にしていたことである

資生堂らしさを象徴した言葉がある。「ものごとはすべてリッチでなければならない。リッチで、スマートで、モダンで。」これは、初代社長であり、あの有名な「花椿マーク」を自らデザインした福原信三の言葉である

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『経営は哲学なり』野中郁次郎・著 ナカニシヤ出版
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◆目次◆

はじめに
序 章 哲学の意義
第1章 現場の哲学
第2章 変革の哲学
第3章 創造の哲学
終 章 未来へ

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