2012年2月28日

『成毛眞のスティーブジョブズ超解釈』成毛眞・著 Vol.2778

【ジョブズファンは読まないで】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4584133832

ウォルター・アイザックソンの『スティーブ・ジョブズI』をはじめ、昨年はたくさんのジョブズ本が書棚を賑わしました。

※参考:『スティーブ・ジョブズI』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4062171260

ジョブズの功績はすごいと思いつつも、正直あまりの発行点数にうんざりした、という人も多いのではないでしょうか。

そんななか、出されたのが、元マイクロソフト日本法人社長、成毛眞さんによるアンチジョブズ本。

本日ご紹介する『成毛眞のスティーブジョブズ超解釈』には、こんなことが書かれています。

<ここで残念なお知らせがある。あなたは、決してジョブズのようにはなれない。それどころか、彼の生き方からヒントを得て、自分の新しい可能性を導き出そうとすればするほど、じつは成功から猛スピードで遠ざかってしまうのだ。このパラドクスは、今まさに日本のビジネスパーソンが直面している、学歴でも年齢でもない全く新しい格差“創造性格差”に深く関係している>

著者が指摘しているのは、ジョブズのセールスの巧妙さと、一般の認識とは大きく乖離した業界での実像、さらには人々が評価するジョブズの「創造性」の怪しさです。

元マイクロソフトの人間が、ライバル会社のCEO(しかも故人)を揶揄するというのは、読んでいて気持ちのいいものではありませんが、創造性の相対論に関しては、その通りだと思います。(創造的になろうと思って真似したら創造性を失う)

ただ、著者も後半で書いているように、また古代ギリシャの彫刻がそうであったように、真のオリジナルとは、模倣から生まれることもまた事実でしょう。

ここまで痛烈に批判を加えれば、話題性もあるでしょうし、また読み手も喜ぶに違いありませんが、本当に役立ったのは、最後にまとめられている著者の人生訓&キャリア論です。

<何かの機会に乗じることに勇気は必要ない。爆発的な発想も必要ない。大切なのはその状況を楽しむ子どもっぽさである>

この部分だけは、かつて読んだ『大人げない大人になれ!』のような、清々しさを感じました。

※参考:『大人げない大人になれ!』
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賛否両論ある本だと思いますが、クリエイティブな世界で生きていこうとする人には、いい教訓かもしれません。

ぜひチェックしてみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ジョブズのサクセスストーリーはアップル製品を買わせるための仕掛けの一つ

カリスマに憧れても有益なことは何一つない

世の天才と呼ばれる人の椅子は、その本人が座っている一席しか存在していない。しかもその椅子は、最初からそこにあったわけでもなく、その天才が自分で場所を決め、自分で作って座ったものだ

権威に立ち向かうことを“カッコいい”と思うな

日本というマーケットで母国語だけに依存している時点で、ジョブズになれない確率がきっちり10倍も上がっている

たった半歩でも未来が形になって、それを手に取れるなら、使ってみたいと誰もが思うはず。ジョブズはそのことを知っていた稀有なビジネスパーソンだったのだ

◆スターになるための3つの要素
・分かりやすさ
・話題性
・流通

インターネットは、先ほど述べたスターの法則のうち、話題性の分散を招いた

今の時代に必要なのは、そのクリエイティビティ─の相対論に気づき、実際に行動し、創造性を発揮できる人だ

任天堂が教えてくれることは、たとえうまくいかなくても、プランBを生み出すためにプランAは必要だということだ

「人生を十分に楽しむためには、たくさんの道を持っていればいい」(森博嗣から著者が学んだこと)

20代でハードに仕事をこなさないと、30代で永久に取り返せない差がつくメカニズムが存在している

何かの機会に乗じることに勇気は必要ない。爆発的な発想も必要ない。大切なのはその状況を楽しむ子どもっぽさである。それだけでいい。そうやって楽しむことをずっとつづけていたら、いつのまにか成功しているものなのだ

人間の動きというのは、感覚も含め、一部が全体に影響を与え、全体が一部に影響を与えているのだ

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『成毛眞のスティーブジョブズ超解釈』成毛眞・著 KKベストセラーズ
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◆目次◆

まえがき なぜ日本にジョブズが生まれなかったのか
第1章 ジョブズの真似をしてはいけない
第2章 マイクロソフトから見えた本当のジョブズ
第3章 なぜ日本はこんなにも差をつけられてしまったのか
第4章 思い出したい日本の創造性
第5章 成毛流! イノベーションを起こす仕事術
第6章 あなたをクリエイティブな人生に導く7つの習慣

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