2011年10月5日

『【中国版】サブプライム・ローンの恐怖』石平・著 Vol.2632

【2012年、中国バブル崩壊?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344982347

長い間、高い経済成長を続け、GDPでも日本を抜いて世界2位になった絶好調の中国経済。

本日ご紹介する一冊は、そんな中国のバブル崩壊を予言した、じつに恐ろしいレポートです。

著者は、拓殖大学客員教授で、中国問題評論家として知られる石平さん。

本書では、中国経済を牽引してきた「2台の馬車」、すなわち「対外輸出」と「固定資産投資」について、その問題点を指摘し、高まる中国のインフレ懸念にズバリ切り込んでいます。

対外輸出の競争力を高めるため、人為的に抑えられた賃金と、それゆえに伸び悩む内需。さらに、過度な在庫を抱え、およそ8割が投機目的とも言われる不動産バブル…。

これだけでも恐ろしいことですが、「中国の松下」と呼ばれる最大の電器メーカー、ハイアール公司までが、「大事な資金をはたいて不動産開発業に参与」していたと知って、驚きました。

日本の商社が中国に投資していることも考えると、万が一バブルが崩壊した時には、その影響は甚大なものになりそうです。

さらに心配なのは、過剰なマネーサプライと、中国政府がわかっていてもインフレを抑えられていない、という事実。

ただでさえ貧富の差が激しい中国で、物価が急速に上がったら、庶民の生活は間違いなく破壊され、社会問題へと発展する…。

本書を読むと、そんなシナリオが見えてくるのです。

若干あおりが入っていたり、繰り返しが多いのが気になりますが、知らないで投資をすると、大やけどをします。

ぜひ類書も併せて、読んでみてください。

————————————————————
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
————————————————————

11年7月の食品価格は前年同月に比べて14.8%の上昇、豚肉においては同56.7%も上昇してしまうという体たらくである。エジプトやチュニジア、リビアのような民主化運動を恐れる政府は、食品価格がさらに上昇しないよう、インフレ抑制のための金融引き締めを続行するであろう。しかしながら食料を含めた商品高騰は世界的な流れであるから、過度な金融引き締めは景気を冷やし、住宅バブルを一気に崩壊させることになる

11年6月、中国政府が初めて実施した地方政府の財務状況に関する会計検査によると、10年末の債務総額は10兆7000億元(約128兆6700億円)であり、中国のGDP(国内総生産)の3割近くに達している

11年から実施されている一連の金融引き締め策は、深刻な副作用を引き起こしている。金融引き締めのなかで各金融機関の融資枠が大幅に縮小された結果、多くの中小企業は銀行から融資をもらえず、大変な経営難に陥っている

売れ残りの在庫を大量に抱えてしまうと、不動産業者の資金繰りが苦しくなる。経済がこのまま停滞すれば、いずれかの時点で、業者は生き残りを図って手持ちの在庫物件を値下げして売りさばくしかない。それにともなって投機用に不動産を購入している多くの人が、「不動産の価格はもう上がらない」と思って、いっせいに売りに動くはずだ。結果として不動産価格の総崩れが始まるのである

◆中国の高度成長を牽引してきた「2台の馬車」
「対外輸出」「固定資産投資」

日本の「個人消費率」は60%、中国はたったの37%!

一般的にどこの国でもお金を使う主力となるのは、「低収入層」や「高収入層」ではなく、その中間の中産階級である。したがって消費がもっとも安定しているのは、中産階級層がもっとも厚い国である

モノが国外へ出ていって、モノ作りの対価となる人民元だけが国内で流通することは、モノに対する裏づけのないカネ、すなわち空虚なカネが国内で発生することになる

安い労働力と資源コストという2つの「好条件」がなくなると、中国の製造業はただちに「難局」に直面する

48兆円の財政出動が崖っぷち中国経済を救った

購買者の8割が不動産を投機用に購入

ハイアール公司までが、大事な資金をはたいて不動産開発業に参与していた

多くの富裕層を海外移住に駆り立てた要因は、中国国内の環境汚染や食品・医薬品の安全問題、公共サービスの悪さや社会的不平等さ、法制度の不整備と権力の横暴、投資・ビジネス環境の悪化

————————————————
『【中国版】サブプライム・ローンの恐怖』石平・著 幻冬舎
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4344982347

————————————————-

◆目次◆

序章 中国バブルの崩壊は目前に迫っている!
第一章 ジャブジャブ刷ったカネで溺死寸前
第二章 本当はリーマン・ショック前から悪化していた中国経済
第三章 中国不動産バブルはここまで悪化している!
第四章 インフレで死ぬか、バブル崩壊で死ぬか
第五章 民衆による暴動が止まらない
第六章 軍事大国の脅威と恐ろしさ
終章 革命前夜

この書評に関連度が高い書評

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー