2011年9月16日

『美しく怒れ』岡本太郎・著 Vol.2613

【美しく怒れ】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4041100240

こんにちは、土井英司です。

本日の一冊は、かつてチクマ秀版社より刊行された『眼 美しく怒れ』を底本として改題し、新書化した一冊。

大阪万博「太陽の塔」や、「芸術は爆発だ!」の名言で知られる岡本太郎が書いた、自己啓発書です。

最近は、『怒らないこと』や『怒らない技術』などの「怒らない本」が軒並みベストセラーになっていますが、本書はこれらの真逆を行く思想。

※参考:『怒らないこと』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4901679201/

※参考:『怒らない技術』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/489451818X/

いわく「憤り、己れをつらぬき、表現することこそ、最も純粋な人間の証しである」。

著者はまえがきでさらに、こう説いています。

「私は今日、憤るという純粋さを失い、怒るべきときに怒らないことによって、すくみ合い、妥協し、堕落している一般的なずるさと倦怠が腹立たしい。世の中が怒りを失っていることに、憤りを感じるのだ」

確かに、最近の社会を見ていると、言うべきことを言わず人間性を失っている例がどれほどあることか。

ネットが普及し、叩かれることを恐れることで、ますます人々が萎縮し、積極的な活動が妨げられていると感じています。

それがビジネスであれ、芸術であれ、新しいことを始める時は、決まって「憤り」が原動力になっているもの。

政府への不満、現状のサービスへの不満、商品への不満…こうしたものが社会を発展させるとしたら、憤りを失った社会が勢いを失っても仕方ないのかもしれません。

仮に社会が受け入れなくても、自分だけは静かに燃えている人間になりたい。

そんな起業家精神あふれる人に、ぜひ読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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世界をこの眼で見ぬきたい。眼にふれ、手にさわる、すべてに猛烈に働きかけ、体当りする。ひろく、積極的な人間像を自分自身につかむために。純粋な衝動である。そんな情熱が激しく噴出するとき、それは憤りの相を呈する。だから、私は怒る。また大いに怒らなければならないと思っているのだ

言うべきことを言う。憤りを、生きがいとしてつき出してゆく。抵抗の火の粉を身にかぶる。楽しいではないか

はじめケチクサイ怒りでも、突っ込んで考えると、もっと広い、底の方に問題があることに気がつく。見きわめれば見きわめるほど、怒りが深くなる。すると、怒りは、自分のスケールから離れて、豊かに、透明になるのだ

あらゆる商品同様、買手は人気のある型に集中してしまう

純粋な人間は、だから猛烈な矛盾の中に生きぬかなければならない。ルールをまもる、と同時にそれをしりぞける意志によって

まことに代用時代。代用といえば、私は今日のスポーツのあり方にも文句がある(中略)スポーツがこのように、ショーとしてばかり栄えて、みんなが自分の身体を動かす方はやめてしまう。これが馬鹿馬鹿しい

代用の生きがいにうつつをぬかして、自分をごまかしてしまうのは空しい。なま身をぶち込み、賭けるのが、人生レースの本当のルールなのだ

思想というものは、まもり貫くことにおいてある。それは、ほとんど常に一般の情勢とは悲劇的に対立する。しかし、その対決によって、世界は充実するのだ

考えてみると、人生には、世渡りと、ほんとうに生きぬく道と二つあるはずだ

人間は、必ずしも成功することが喜びであり大事なのではない。戦って、後にくずれる。その絶望と憤りの中に、強烈な人生が彩られることもある

“何々のために何かをする”のではなくて、無条件、無償の生命力の輝き。凝滞なく動きながら、瞬間瞬間、よろこびがあふれる生き方

私は成熟ということを信じない。年をとって、経験や馴れによってつけ加えるものなんて、人間にとってそんなに本質的だとは思えないからだ。世馴れた人なんて、ちっとも楽しくない

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『美しく怒れ』岡本太郎・著 角川書店
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4041100240

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◆目次◆

第1章 美しい日本人として怒る
第2章 残酷な青春
第3章 子供こそ人間
第4章 人生は遊び
太郎の眼 岡本敏子

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