2011年9月7日

『プランB 破壊的イノベーションの戦略』 ジョン・マリンズ、ランディ・コミサー・著 Vol.2604

【起業家、必読】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163744207

もうご存じの方は少ないと思いますが、エリエスが最初に手掛けた事業は、「ほんなる!」でした。

これは、本を書きたい人と出版社のマッチングサイトで、当初はこれをメイン事業にする予定でした。

しかし、実際に編集者に話を聞いてみると、「土井さんの目を通った企画だけをチェックしたい」とのこと。

ここからコンサルティング事業や、著者育成事業が生まれ、今日に至るわけです。

もしあの時、当初のアイデア(プランA)に固執し、プランBの可能性を検討していなかったら、他の多くの起業家同様、土井も今頃、破産していたかもしれません。

じつは、プランAで成功する起業家というのは少ない。

アップルにしろ、グーグルにしろ、アマゾンにしろ、ペイパルにしろ、じつは成功したのはプランB以降のビジネスモデルなのです。

本書『プランB 破壊的イノベーションの戦略』は、名門ロンドン・ビジネス・スクールで起業を教えているジョン・マリンズと、スタンフォード大学の教授で、ルーカスアーツ・エンターテインメント社とクリスタル・ダイナミクス社のCEO、クラリス社の共同経営者などを歴任したランディ・コミサーが、起業で成功するための「プランB」の考え方を提示した一冊。

成功企業20社の事例と徹底調査からわかった、キャッシュを生むビジネスモデルの作り方が、じつに詳しく書かれており、起業家は必読の内容です。

つまらない原理原則や、未成熟な自分のアイデアに固執するのではなく、改善に改善を重ね、正解にたどり着く。

そんな起業のあり方が説かれた、じつに骨太な一冊です。

しかも、書かれているのは攻め(営業、マーケティング)の視点だけでなく、守り(コスト削減、キャッシュフローの改善)まで。

これを読まなきゃ起業家じゃない。

そう思わせてくれる、「熱い(厚い?)」一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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ビジネスモデルの五要素とは、収入、粗利、運営、運転資金、投資の各モデルだ

真の男とガキの違いは、そのプランAが失敗したときの行動にある。この本で取り上げる起業家やビジョナリーは、そこで傷をなめて立ち直り、新たに身につけた洞察力を武器に、もっと大きなビジネスへと転じる

何をするにしろ、一から繰り返すな。重要な未知の要素と、解決すべきリスクに光をあててくれる先例は、充分すぎるほどあるのだから

アップルは抜け目なく伝統的な「カミソリと替刃モデル」をひっくり返していた。アップルは、たとえ顧客が替刃のほとんどを盗みつづけたとしても、カミソリ―種類の増えるiPod―を売ることで金を儲けられるのだ!

◆インド最大の小売り事業者パンタルーンの創業者ビヤニが参考にしたもの

ビッグ・バザールで扱う製品の五〇から六〇パーセントは製造業者から直接仕入れたものだ。ウォルマート同様に中間業者を省略することで、ビヤニは客に割引価格で提供することができた

マークス&スペンサーは、一八九四年の創業とほぼ同じ時期から、自社ブランド品―そのストア向けだけに作られた商品―を売ってきた。その自社ブランドは、他のブランド品に比べて利ざやが大きかった

ザラは不必要な在庫をたくさん抱えないために、高速(ファスト)ファッションと呼ばれる独創的な製品デザインと製造プロセスを活用した

インスピレーションの源泉として、ビヤニは伝統的なインドのバザールを見るだけでよかった

結局、失敗と凡庸さ、あるいは大成功の違いを生むもっとも重要なものは、類似例、反例、未踏の信念―そしてそのテスト―の差だ

多くの企業が単純にコストに利益を上乗せして価格を決めるのに対して、賢明な意思決定者は顧客が購入によって得る価値を基準にする

コストコは会費制で現金を先取りする

アマゾンは売り上げモデルを改良して、普通のオンライン小売りからオンラインサービスプロバイダとなり、商品だけでなくプラットホームソリューションを売るようになった

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『プランB 破壊的イノベーションの戦略』ジョン・マリンズ、ランディ・コミサー・著 文藝春秋
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163744207

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◆目次◆

はじめに なぜこんな本を?
第0章 プランAは失敗する
―携帯の暗号技術から出発したペイパル
第1章 発明より改善を
―ウォークマンとナップスターを融合しiPodを開発
第2章 ダッシュボードの力
―イーベイからひらめいたグローバルギビングの寄付金集め
第3章 売り上げモデルという生命線
―グーグルは売り上げゼロモデルから出発
第4章 粗利モデルで行き詰まりを避けよう
―パタゴニアの顧客は高価格でも企業理念を買う
第5章 運営モデル改善で贅肉を落とす
―サウスウエスト航空という師を超えたライアンエアー
第6章 運転資金モデルで現金力をつける
―コストコは会費制で現金を先取りする
第7章 お金がお金を生む投資モデル
―スカイプは初期投資ゼロで通信業界を一変させた
第8章 各種モデルを組み合わせる
―アマゾンやザラはなぜ他の追随を許さないのか
第9章 独自のプランBを見つけよう!
―本書を振り返って自分に何ができるかを考える

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