2011年8月30日

『世界を変えた10冊の本』池上彰・著 Vol.2596

【池上彰の解説であの難解な古典がわかる!】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163743901

本日の一冊は、わかりやすい解説で有名な池上彰さんが、世界を変えた名著を10冊セレクトし、解説した一冊。

紹介されている本を順番に挙げると、『アンネの日記』『聖書』『コーラン』『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』『資本論』『イスラーム原理主義の「道しるべ」』『沈黙の春』『種の起源』『雇用、利子および貨幣の一般理論』『資本主義と自由』。

これらを順番に読むことで、世界の宗教問題の争点や、資本主義、共産主義の考え方、さらにはケインズ主義とフリードマンのリバタリアニズム(自由至上主義)まで、ビジネスマンに必要な一通りの教養・一般常識を学ぶことができます。

オサマ・ビンラディンの教本となった『イスラーム原理主義の「道しるべ」』をピックアップしたり、環境問題をいち早く取り上げたレイチェル・カーソンの『沈黙の春』を原発問題の最中にさり気なく混ぜていたりするあたり、心憎い。

しかも、さすがは池上彰さん。解説がじつにわかりやすく、これまで理解できなかった古典も、バッチリそのエッセンスを理解することができます。

現在の世界の政治、経済を読み解くヒントとして、また現代人に必須の教養として、ぜひ読んでおきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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わたしは世間の大多数の人たちのように、ただ無目的に、惰性で生きたくはありません。周囲のみんなの役に立つ、あるいはみんなに喜びを与える存在でありたいのです。わたしの周囲にいながら、実際にはわたしを知らない人たちにたいしても、わたしの望みは、死んでからもなお生きつづけること!(『アンネの日記』一九四四年四月五日の日記より)

もし汝ら(自分だけでは)孤児に公正にしてやれそうもないと思ったら、誰か気に入った女をめとるがよい、二人なり、三人なり、四人なり(『コーラン』四章三節)

『ハディース』は、ムハンマドの言行をまとめているのです。時代が移り、『コーラン』には記されていなかったような問題が起きるようになると、イスラム教の学者たちは、『コーラン』と『ハディース』の内容から推測して、現代のイスラム教徒の正しい生き方を決めるようになります

実は『コーラン』は、利子をとることを禁じているのです

こうしてプロテスタント(カルヴァン派)の人々は、仕事に全力を尽くすようになります。労働に夢中になれることが、来世で自分が救われる確証を得ることになる。夢中で働けば働くほど、お金が貯まる。つまり資本が蓄積されていきます

時間を浪費することは、すべての罪のうちでも第一の罪であり、原則としてもっとも重い罪でもある(『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』)

労働の生産力を高めて、商品を安くし、商品を安くすることで労働者自身をも安くすることこそ、資本の内的な衝動であり、かつ、常なる傾向なのである(『資本論』)

一九七二年、遂にアメリカ政府は、DDTの使用を禁止しました。『沈黙の春』が出版されてから一〇年後、レイチェル・カーソンが乳癌で亡くなってから八年後のことでした

殺虫剤は、鳥には影響がないはずだと宣伝されていたのですが、殺虫剤はミミズにかかり、ミミズを餌にしていたコマドリの体内に殺虫剤が蓄積。コマドリが犠牲になったのです

われわれが生活している経済社会の際立った欠陥は、それが完全雇用を与えることができないこと、そして富と所得の分配が恣意的で不公平なことである(『雇用、利子および貨幣の一般理論』第24章)

フリードマンは、こう考えます。累進課税だと、毎年の所得税にかかるから、すでに財産を持っている裕福な人には関係がない。毎年の所得にかかるから、「これから富を築こうとする人」に重荷になる。経済は、「これから富を築こうとする人」が大勢いることによって活性化し、発展する。つまり、累進課税は経済発展に水を差す

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『世界を変えた10冊の本』池上彰・著 文藝春秋
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4163743901

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◆目次◆

第1章 アンネの日記
第2章 聖書
第3章 コーラン
第4章 プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神
第5章 資本論
第6章 イスラーム原理主義の「道しるべ」
第7章 沈黙の春
第8章 種の起源
第9章 雇用、利子および貨幣の一般理論
第10章 資本主義と自由

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