2011年7月12日

『孫正義 リーダーのための意思決定の極意』 ソフトバンクアカデミア特別講義・編集 vol.2547

【あなたの決断力を孫正義と比べると?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4334036260

本日の一冊は、孫正義氏が自分の後継者を育てるため、グループ内外から受講者を募って開いた学校「ソフトバンクアカデミア」の講義をまとめた一冊。

2部構成になっており、第1部は「意思決定の極意」、第2部は「孫の二乗の兵法」に関する講義。

「孫の二乗の兵法」については、以前『孫の二乗の法則』で紹介したので割愛するとして、今回は第1部の「意思決定の極意」に注目したいと思います。

※参考:『孫の二乗の法則』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4569676219

この第1部では、判断が微妙な経営上の課題に読者が答え、孫正義氏が実際のビジネスケースでどう考え、判断したかを示すというもの。

「赤字の会社があった。創業して半年で、社員は十数名。ここに一〇〇億円を投資すべきか。あなたがリーダーなら、どちらを選びますか?」

「信頼していた部下が離反して競争相手になろうとしている。あなたがリーダーなら、どちらを選びますか?」

いずれの質問も、判断は微妙で、答えは意表を突くものばかり。

ちなみに前者は、ヤフーの買収のケースで、これが大成功。後者は、「去る者は追わず」というポリシーをとったのですが、結局、離反者は別の会社に吸収されていなくなったようです。

質問を徹底的に考え、孫正義氏の意思決定の軌跡をなぞることで、経営者としてのトレーニングができる、斬新なコンセプトの本。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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新しく立ち上がったばかりの問屋に有力な商品がなければ、わざわざその問屋と取引口座を開く意味がありません

取引量が小さくても、会社を運営していれば一定の固定費はかかります。仮に月に五〇〇万円の固定費がかかるとして、収入のないままにずるずると過ごせば、一〇カ月で五〇〇〇万円が消えてなくなる。それよりはいま五〇〇〇万円払ってでも、早くポジションを取るべきだ

先行きを読み、「よい赤字」であれば投資すべき(中略)アメリカのヤフーがまさにこんな事例でした。まだスタートして間もないヤフーです。でも、これは必ず伸びる。確信して投資しました。そのときのヤフーの売上が一カ月で一〇〇〇万円。赤字が二〇〇〇万円。社員一六人。その会社に一〇〇億投資して、株式を三五%得た。つまり会社全体の価値を三〇〇億とみなしたということですね

ビジョンに沿った注力すべき事業があり、危機に陥った事業がそれではなかったら、損切りも有力な選択肢となる

何が正しい選択か。人々の評価というものは、見る時点によって大幅に違う

人々の利益となる事業であり、そのために理不尽な障壁があるのならば、戦うべきだ

たしかに人間のつくったルールはある。しかしそれは、そもそも不公平なルールなんだ

情報のセキュリティを高めるためには、コストよりも働く人たちのロイヤルティの高さを優先する

球団保有が事業単位で赤字となっても、社名が「ブランド」として一般の消費者に広まることで本業の収益性向上が見込める場合は有効

(海外進出する時は)自社の中核事業を除き、積極的にパートナー戦略を採る

大金を投じて買収しても、相手がこれまで培ってきたノウハウやルール、マネジメントや一人ひとりの社員を尊重しないと、一瞬で何千億の価値が吹っ飛んでしまうかもしれない。社員が離反していなくなることは、レストランでいえば味が変わっちゃうのと同じですよ。それでは、何のためにそんな高い金を出して買収したのかわからない。ですから、一般論では尊重すべきだと思います。でもジフ・デイビスも、コムデックスも、キングストンも、日本テレコムも、ある意味であおぞら銀行も、大きな買収はすべてそのやり方で失敗したんです

主流になりえない傍流を選ぶ者に勝利はない

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『孫正義 リーダーのための意思決定の極意』ソフトバンクアカデミア特別講義・編集 光文社
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◆目次◆
第1講義 リーダーのための意思決定の極意
第2講義 孫の二乗の兵法

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