2011年4月30日

『スターバックス再生物語』ハワード・シュルツ・著 vol.2474

【スターバックス、奇跡の復活】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4198631506

フィギュアスケート世界選手権で、かつての女王・浅田真央選手が苦しんでいる姿を見て、「這い上がろうと頑張っている人を決して笑ってはいけない」と思いました。

再生途上の人間の心中は誰にもわからないし、少なくとも本人があきらめない限り、日はまた昇ることがあるからです。

マイケル・ジャクソンしかり、ゲームクリエイターの横井軍平しかり、ユニクロの柳井氏しかり…。

人はいったん誰かが失敗すると、あっさり見切りをつける傾向がありますが、人間は、人生で2度、成功することがあるのです。

本日の一冊もまた、そんな奇跡の再生を成し遂げた、起業家の物語。

1982年、まだ4店舗しかなかったスターバックスを、世界的なコーヒーチェーンに育て上げた、カリスマ経営者、ハワード・シュルツが、自らその復活劇の様子をまとめています。

一時はどん底、株価8ドルまで落ちた同社が、奇跡の復活を果たし、二〇一〇年会計年度には、過去最高の一〇七億ドルの収益を記録。

本書は、そんな奇跡の復活劇をまとめた、じつにドラマチックかつ実践的な一冊です。

コーヒーの香りを損ねる温かいサンドイッチ、儲けを確保するためだけに積極的に売られていたぬいぐるみ、失われかけたコーヒーへの思い…。

そんな迷走を続けるスターバックスを変えるため、著者がやったのは、創業当時の情熱を取り戻すことでした。

従業員教育のため、全米の店舗を一時クローズ。リスクのあるインスタントコーヒーへのチャレンジ。

大きな話題となった氏の取り組みが、どんな結果につながったのか、ハラハラしながら一気に読んでしまいました。

どんなにぶざまに見えても、批判を浴びようとも、「長い道のりを進むには、まず一歩下がるしかな」い。

そして、著者が言うように、「世界は手を泥だらけにするのを恐れない人のためのもの」なのだと実感することができました。

「進退きわまって四方八方敵だらけとなり、もう一刻も持ちこたえられないという気持ちになっても、決してそこであきらめてはいけない。情勢が一変するのは、まさにそれからなのだから」

現在、苦しんでいる経営者には、ぜひこの本を読んで、元気になってもらいたい。

日本経済復興へ向けて、すべての経営者にぜひ読んでいただきたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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二〇〇八年初頭、わたしはすべての従業員にスターバックスへの愛を思い出してほしいと切に願った。だからこそ、反対意見が集中したにもかかわらず、アメリカにある全店舗を閉めることにしたのだ(中略)これから先の長い道のりを進むには、まず一歩下がるしかなかったのだ

商人が成功するかどうかは、物語をいかに語ることができるかにかかっている

世界は手を泥だらけにするのを恐れない人のためのもの

革新とは、商品を見直すことではなく、関係を見直すこと

簡単に言えば、わたしも人間であり、はけ口が必要だったのである

最良のイノベーションとは、存在することさえ認識する前からニーズを感じ取り、満たし、新しい考え方をつくること

世界では、インスタントコーヒーは二〇〇億ドル規模の市場だ。スターバックスが八三九店舗を運営する日本だけでも二九億ドルで、コーー総消費の半分をインスタントコーヒーが占めている。七〇〇店舗があるイギリスでは、一二億ドル超で、全体の八〇パーセントだ。これは驚くべきデータだった。アメリカ人の大半は、世界の他の国ではインスタントコーヒーがこれほど人気があるとは思ってもみなかったのである

わたしは、リーダーとして成功する決まった方法があると考えたことはない。しかし、優れたリーダーには二つの関連する要素があると思っている。自分の組織が正しいことを目指しているという揺るぎなき自信と、人々を率いる能力だ

どんな企業でも逆境にあれば、すぐに痛みを解消してくれるアイデアに飛びつきたくなるものだ。しかし、会社を人生として考えると、従うべき指針や核となるものには忠実でなければならない

進退きわまって四方八方敵だらけとなり、もう一刻も持ちこたえられないという気持ちになっても、決してそこであきらめてはいけない。情勢が一変するのは、まさにそれからなのだから

わたしは、リーダーの能力とは、他の人に自信を与えることだと思っている

二〇一〇年会計年度において、スターバックスの収益は過去最高の一〇七億ドルを記録した。営業利益は、二〇〇九年度の五億六二〇〇万ドルから八億五七〇〇万ドル増加し、一四億ドルとなった

成長は戦略ではない。戦術である。それをわたしたちは十分に学んだ。規律のない成長を戦略としたために、スターバックスは道を見
失ってしまったのだ。しかし、過去の過ちはもう繰り返さない

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『スターバックス再生物語』ハワード・シュルツ・著 徳間書店
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4198631506

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◆目次◆

第1部 愛─Love
第2部 信頼─Confidence
第3部 痛み─Pain
第4部 希望─Hope
第5部 勇気─Courage

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