2011年3月16日

『人間の義務について』マッツィーニ・著 vol.2429

【偉人に学ぶ、建国の精神】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003402715

この度の東北・関東大震災による被害にあわれた皆さま、およびご関係の皆さまに、心よりお見舞いを申し上げます。

大震災に伴う津波、そして原発の恐怖。さらには昨日の静岡県東部での地震。

以前から言われている東海地震と浜松原発を思わせる展開に、関連の書籍も随分と売れているようです。

個々人の防衛もさることながら、いま必要なのは、国民が一丸となって、国の再建のために貢献すること。

今朝の日経新聞では、東北からの食糧供給が途絶えているのをカバーすべく、東海地区の企業が奮闘している様子がレートされていました。

悲観論を乗り越え、個々人がいまなすべきことを真剣にやる、そんな建設的な議論が出てきた気がします。

本日ご紹介するのは、イタリア統一運動時代の革命家で、イタリア建国の志士と呼ばれるマッツィーニによる古典。

権利に先立つ義務の大切さを説き、祖国を共同体の意識ととらえて国家統一を唱えた、優れた思想書です。

なぜ人は権利を追求するより、義務に生きる方がいいのか、国民が結束するための条件とは何か、どうして国家において教育が重要なのか。

現在の日本に必要なこれらの問いに、偉人はどう答えたのか。

貴重な視点が得られる、読み応えのある一冊です。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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まさにラムネこそ、先にわたしが取り上げた人間たち、権利の人間と、義務の人間との違いをみごとに示しています。前者は、個人の権利を獲得すれば一切の動機が消滅してしまうのに対し、後者にとっての任務はこの世に生きている限り終わることがありません

豊かな生活を人生最大の目的にした幸福の理論では、エゴイストで物質的豊かさばかりを追う人間、新しい秩序のなかに古い情念を持ち込み、何カ月も経たぬうちにそれを腐敗させてしまう人間を生み出すことになります。要は、そのような理論よりもすぐれた教育原理を見つけること、すなわち、人間を向上へと導き、ふだんから犠牲を厭わないように教え、だれか特定の人間や多数派の考えに振り回されずに仲間との絆を築く原理を見つけることです。そして、その原理が《義務》なのです

同じ規則となる原理を信じ、同じ信条のもとに結集して同じ名のもとに誓いを立てる仲間なくして、どうして確固たる社会的結束を、確保できようか

君たちの最も大事な義務は、肯定的、積極的なものです。しないだけでは不十分、する必要があるのです。法に背く行為をしないのみにとどまらず、法に従って行動しなければなりません。単に害を及ぼさないだけではだめで、仲間の役に立たなければならないのです

しっかりと理解してください。教育なしには自らの義務を知るのは不可能だということを

祖国は、わたしたちの仕事場です。その活動が生み出したものは、そこから全世界に利益をもたらさなければなりません。しかし、わたしたちが上手かつ効率的に使える道具は、あくまで祖国にあり、神意を裏切らず充分に力を発揮するには、その道具を断念するわけにはいかないのです

投票、教育、仕事は、国民国家の主要な三本の柱

両親を愛しなさい。君たちの作り出す家族が、君たちを作り出してくれた家族を忘れさせることがないように

教育は魂の糧です。肉体、有機物の生命が食べ物なしには成長することも活動することもできないのと同様、道徳的、知的生命も成長と表現のためには、外部の影響と思想や愛情、他人の性向を少なくとも一部は取り入れる必要があります

神聖なのは、伝統と進歩と社会的結束の三つです

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『人間の義務について』マッツィーニ・著 岩波書店
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4003402715

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◆目次◆

イタリアの労働者の皆さんへ
一章 序文
二章 神
三章 掟=法
四章 人類に対する義務
五章 祖国に対する義務
六章 家族に対する義務
七章 自分に対する義務
八章 自由
九章 教育
十章 社会的結束、進歩
十一章 経済の問題
十二章 結論

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