2011年3月7日

『“いま”をつかむマーケティング』金森努・著 vol.2420

【いま当たっているマーケティングとは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4897951224

商売においてリピートは大事ですが、最近は不況で新規客の反応が悪いせいか、そればかりに頼っている企業が多いように感じます。

一方で、たとえば出版の世界でも、従来のミステリーファン以外を取り込んで成功した『謎解きはディナーのあとで』や、おまけつきで成功した宝島社のブランドムックシリーズ(最新はアナスイが売れています)のように、従来と違う客層を取り込んで成功している企業があることを忘れてはいけません。

※参考:『謎解きはディナーのあとで』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/409386280X

※参考:『ANNA SUI 15th Happy Anniversary in Japan』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4796680144

リピートに頼ることの弊害は、昔から言われていますが、その理由は一体なんでしょうか?

理由はいろいろあると思いますが、その最たるものは、「顧客は歳をとる」ということだと思います。

この単純な事実に気づかない企業はジリ貧になり、気づいた企業は、新たなチャンスをつかむ。

では、この事実をとらえ、成功するには、どうすればいいか。

本日ご紹介する一冊が、そのヒントを教えてくれます。

『“いま”をつかむマーケティング』は、その名の通り、いま絶好調な商品や企業を分析し、その事例を紹介した一冊。

カメラのキタムラが力を入れている「フォトブック」や、復活して大成功したヤクルトの「ミルミル」、なぜかいまでも元気な「サーティワンアイスクリーム」など、さまざまな事例を挙げながら、各社のマーケティング戦略の変化を論じています。

消費者の加齢や環境の変化、商品を使う前提の変化など、さまざまな要因を並べ立て、なぜ消費者の購買行動が変化するのか、その理由を事例とともに明らかにした、好著。

マーケティングの「いま」をとらえたい方に、ぜひおすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「たためるジャケット」は上記を根本から考え直してリニューアルした結果、計画の3倍という売上げを達成したという。その展開は以下の通りだ。ターゲットは、前述の通りプライベートで海外旅行に行く人。具体的には、旅行計画を立ててインターネットで調べものをしている人と、旅行当日早めに空港に着いてブラブラと店を眺めている人である。その人が、「ジャケットが不意に必要になるかも」と思ったときに、「シワにならない・かさばらないので持ち歩きに便利」という「買う理由」を提示する

「(記録メディアにフィルム時代で撮影した)一生分が入るわけですから、消費者はそのうちに印刷しようと思いながら、そのまま印刷しなくなる“癖”がつく。それはシャッターを切ってその場で映像を見て満足するという習慣の始まりと私はとらえています」(北村正志キタムラ会長兼CEO)

茶系飲料と違い、炭酸は自分で作ることができない

18年前にラ王の味に感激した22歳の新入社員も40歳だ。古くからのファンほどメタボ世代であり、高カロリーのカップ麺などから距離を置く食生活に変化し始めている

旧ミルミルは「家族みんなで飲む」という訴求をしていたが、なぜかメインは子どもに置かれていた(中略)バッサリと子どもをターゲットから削って「大人のための」というポジショニングを明確化したのだ

サーティワンアイスクリームのターゲット拡大には、1つの重要な示唆がある。それは「顧客は歳をとる」ということだ。サーティワンアイスクリームの店舗に通った花の女子中高生も「子連れ主婦」になる

◆ターゲット検証のための「6R」
・Realistic Scale(規模はあるのか?)
・Rate of Growth(成長性は?)
・Reach(到達可能か?)
・Rival(競争関係は?)
・Rank(優先順位は?)
・Ripple Effect(波及効果は?)

収益率の高い店内調理品の中でも、最も単価アップが期待できるのが「おでん」である。なぜなら、「コロッケ1つ」とか「チキン1つ」というように、揚げ物系の店内調理品は基本的には単品注文。しかし、おでんで「はんぺん1枚」とか「大根1つ」とか単品で注文する人はまずいない

バナナ自動販売機の重要な役割。それは、バナナと縁遠くなっている層に、「そういえば、バナナ買って食べてもいいな」と「自分のこと」として注意を喚起し、購買欲求を起こさせることなのだ

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『“いま”をつかむマーケティング』金森努・著 アニモ出版
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◆目次◆

第1章 30分でわかるマーケティングのフレームワーク
第2章 「勝手分析」で“いま”を読み解く
(その1)─“いま”の環境を分析せよ!
第3章 「勝手分析」で“いま”を読み解く
(その2)─“いま”をとらえた戦略を練れ!
第4章 「勝手分析」で“いま”を読み解く
(その3)─自社の強みを活かせ!
第5章 「勝手分析」で“いま”を読み解く
(その4)─競争優位を構築せよ!
第6章 「勝手分析」で“いま”を読み解く
(その5)─ターゲットを徹底的に見ろ!
第7章 「勝手分析」で“いま”を読み解く
(その6)─自社ならではの商品の価値を作れ!
第8章 「勝手分析」で“いま”を読み解く
(その7)─買ってもらえる価格で届けろ!
第9章 「勝手分析」で“いま”を読み解く
(その8)─刺さるプロモーションを展開せよ!
第10章「現場取材」で“いま”を切り取る

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