2010年12月29日

『人生を無理なく変えていく「シフト」の法則』 ピーター・アーネル・著 vol.2352

【一流ブランドを作る秘密?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4153200158

本日の一冊は、ダナ・キャランとそのセカンドライン「DKNY」で成功を収めた後、ペプシ、リーボック、サムスン、バナナ・リパブリックなどをクライアントにしたアメリカのブランディングの第一人者、ピーター・アーネルによる一冊。

たとえ話を好む、多くのアメリカのビジネス書と同じように、本書も、著者が一日五〇個食べるというオレンジの話から始まります。

どこに行くにもオレンジを持ち歩き、おかげで手は異様なオレンジ色になっているという著者のエピソードは、じつはブランドにおいて大切な「一貫性」の原則を示しているのです。

メディアに出る個人のなかには、仕事で見せる顔とプライベートで見せる顔に矛盾がある人も少なくありませんが、著者の意見は終始一貫しています。

著者の信念は、<仕事面とプライベート面を統合し、一つの生活(ワン・ライフ)として歩むべきだ>というもの。

生き方や個人ブランドの本としても参考になりますが、さすがマルイのロゴも手掛けたという天才。企業ブランディングの実用書としても役に立ちます。

上半身裸の男性にサムスンの電子レンジを片手で抱えさせることで、軽くてコンパクトで、かつセクシーなイメージを訴える、ストッキング広告にストッキングを登場させないことで、ストッキングが今にも売り切れてしまいそうだと感じさせるなど、斬新な広告手法は、目からうろこの連続です。

人の心を動かすブランドを確立したいなら、本書は、必読の一冊。

比喩が多く抽象的なので、最初はわかりにくいかもしれませんが、知れば知るほど奥深い一冊です。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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実のところ、私の手がオレンジ色なのは、何年間も一日五〇個ものオレンジをむいて食べつづけているからだ

熱心に働き、オフィスで多くの時間を費やす人々と同じように、私は仕事をプライベートの延長と見ている。仕事とプライベートをきっちり分けたりしない。プロフェッショナルとしての生き方と、人生そのものを切り離して考えるのはまったく間違っていると思うからだ

人生に仕切りを設けてはならない。ひらかれた可能性を感じたいなら、壁を取り壊し、人生を開放して、仕事、家での生活など、すべてを巨大な空間にさらすことだ

ブランドのエッセンスを再定義する時、各ブランドや企業のコア・バリューから離れてはならない

製品をブランド化する時には、一般的によく知られている物を、誰も見たことがない角度から見せるべきだと私は思っている

上半身裸の格好いい男性がサムスンの電子レンジを片手で抱えているのを見せれば、目にした誰もが、サムスンの電子レンジは軽くてコンパクトで、かつセクシーなイメージだと受け取るだろう

「腐った魚を売ったら、お客はもう来てはくれないよ、ピーター」と、祖父は真剣な声色で言うことがあった

「魚釣りは魚のいるところで」。これこそ、私の考え方、行動の指針であり、問題点やアイディアや解決策の見出し方である

今回のストッキング広告には、ストッキングを登場させないと決めた。モデルには服を脱いでもらって、素足をクラシカルなライティングで撮ろうと思った。顧客が店を訪れる前から、ストッキングが今にも売り切れてしまいそうだと感じるよう促したかった

マーケティングの成功例において必ず言えるのは、うまくいったときには、自分が提供しているすべてが、自分のものではないような感覚に陥るものだということだ

「私にどうなってほしい?」などと人にたずねてはいけない。「たずねる」ことは自信のなさを露呈し、個性の発露を拒絶する。「圧倒する」とは、「私が見てほしいと思うとおり、私を見なさい」ということだ

私たちの人となりは、誰を愛するかで決まる

抑圧された感情を解き放つことは重要かつ不可欠だ。そこに基礎を置き、カタルシスを増幅させなくてはならない

一方では、まず他人が自分をどう見るかをはっきりと自覚する必要があり、他方では、他人にどう見られるか心配するのをやめる必要がある

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『人生を無理なく変えていく「シフト」の法則』ピーター・アーネル・著 早川書房
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4153200158

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◆目次◆

序 文 マーサ・スチュワート
第I部 自分をブランド化する
第1章 あなた自身の「オレンジ」で革命を起こす
第2章 「実現してみせる」の精神
第3章 ブランディングとは何か
第4章 あなたの中にあるメッセージを見つける
第5章 あなたをブランド化する
第6章 シフトの背景にある秘密
第7章 魚釣りは魚のいるところで
第8章 ポジティブな感情の力とブランディング
第9章 恐怖に打ち勝つ
第10章 自分の過去から得る教訓
第11章 ミケランジェロの才能
第12章 過去は未来にどうインスピレーションを与えるか
第13章 想像力をかきたてる
第14章 人に聞くな。圧倒しろ。
第15章 指先に広がる世界
第16章 自明のものを再発明する
第II部 有効な戦術
第17章 自分の使命を見つける
第18章 あなたの人生を書き直す
第19章 トラになる
第20章 ヘリウムでいこう
第21章 ファンクラブを設立する
第22章 衝撃と畏敬
第23章 失敗を受け入れる─何をすべきでないか学ぶ
第24章 ワン・ライフ
第25章 外へ出て人と関わる
第26章 「叫ぶこと」で伝える
結 論 歴史に私たちの名を刻む

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