2010年8月1日

『アリババ帝国─ネットで世界を制するジャック・マーの挑戦』張剛・著 vol.2202

【中国ネットビジネスの覇者、ジャック・マーとは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492502076

本日ご紹介する一冊は、B2Bのインターネットサービスで、世界3560万人のユーザーを持つ、中国ネットビジネスの覇者「アリババグループ」の創業者、馬雲(ジャック・マー)の評伝。

中国最大の「ほら吹き男」と呼ばれながら、たった6分のプレゼンで孫正義から資金を引き出し、ヤフー、ソフトバンクを巻き込んで中国最大級のEコマース企業を作ったジャック・マー。

本書には、その経営哲学とこれまでの軌跡、マネジメント・戦略の成功/失敗が事細かに書かれています。

最近のビジネス書は、器用に原理原則をまとめた本が多いのですが、やはり実践で役立つのは他企業のケーススタディ。

そういう意味で本書は、経営上のヒントをいくつも授けてくれる、貴重な一冊です。

参入を決める際に考えること、撤退する際に気をつけるべきこと、組織を拡大するときに雇うべき人間、去ってもらうべき人間、危機に陥った時の対処法、そして事業提携のヒントまで、実例のなかに数多くのヒントが散りばめられています。

また、中国ITビジネスのメインプレーヤー、そして彼らの掲げるビジネスモデルと問題点がわかるため、中国ビジネスに関心のある向きにも、役立つ内容です。

そして、何よりいいのは、ジャック・マーが名言家であること。

本書には、彼のスピーチがいくつか収められているのですが、その一言一言に、いちいち感心させられます。

現在、勢いのある起業家のエネルギーを感じたい方、中国ITビジネスの実情を知りたい方に、ぜひおすすめしたい一冊です。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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「もしあなたがある県の状況を理解したら、その県での商売を始めなさい。一つの省を理解したら、その省での商売を始めなさい。天下の状況を理解したら天下の商売を始めなさい」(馬雲が尊敬する胡雪岩の言葉)

「大部分の人がいいと思ってやりたがるものを作る必要はない。だって、それだと俺たちの入る余地がないじゃないか」(馬雲)

「六カ月の間は積極的に宣伝せず、サイトをよくすることだけを考えよう」(馬雲)

「タクシーに乗る時、手を挙げて料金の高いタクシーが来ると、さっと手を下ろして運転手に二言三言言ってごまかしてさよならする。料金の安いタクシーが来るとやっと乗ったものだ」(創業メンバーの言葉)

「もし私の気が狂っていると思ったら、どこかへ行ってくれ。もし君がただ上場するのを待っているとしても、行ってしまってくれ。もし君が会社に不利な個人的な目的があるなら出て行ってくれ。もし、気持ちが浮ついているとしても、出て行ってくれ」(国際化に失敗した時の馬雲の言葉)

「リーダーは岐路に立った時に権力を自らに集中させ、平和な時期は権力を手放すべきだ」(馬雲)

「ハイアールはほかより高いけど、ほかよりも品質がいいとは限らない。今のカラーテレビ、エアコン、冷蔵庫はどこも同じようなものだよ。なのに、どうしてハイアール製品を買うの?」と馬雲が不思議がると、母親はこう言った。「家まで来てエアコンをつけてくれるうえに、布まで持ってきてそのあたりを拭いてくれるのよ」馬雲は悟った。「布を持って行くだけで一〇%高く売れる。布が拭くのは床板や電気製品じゃなくて、客の心だ」

「将軍をやりたがらない兵士はいい兵士ではありません。しかし兵士も務まらないような人間に将軍ができるわけもないのです」(馬雲)

「今日は辛い日だ。明日はもっと辛いだろう。でも、明後日にはきっといい日が来る。しかし、多くの人は明日の夜に死んでしまうのだ」(馬雲)

「この世界に足りないのは金ではない。ビジネス社会に足りないのは企業家の精神、夢、価値観である」(馬雲)

「他の人が狂っていても、われわれ自身は狂ってはいけない」(馬雲)

「優秀な社員の給料は上げるべきです。社員の給料を上げるかどうかは外部の経済情勢と関連づけるべきではありません。よく頑張ってくれた人には約束したものをあげるべきです」(馬雲)

「社会に出たら、北京大学の皆さんは周りの人と頭のよさを比べないでください。誰がもっと計算できるかということではなく、誰が学ぶ力が高いか、誰が周りの人の長所を見つけられるかということを比べてください」(北京大学国際MBA卒業式での馬雲のスピーチ)、一切のことが「不完全」というのが本当の姿なのに、いったいなにを「許す」というのでしょうか

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『アリババ帝国─ネットで世界を制するジャック・マーの挑戦』 東洋経済新報社 張剛・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4492502076

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◆目次◆

第1章 創業期―険しい道 1999?2000
第2章 発展期―続く困難 2001?2002
第3章 拡張期―広がる帝国 2003?2004
第4章 挑戦期―五里霧中 2005?2006
第5章 円熟期―分かち合いの時代 2007?2008
第6章 未来へ―馬雲の「残酷な決定」 2009?
アリババの一〇年 早見表
主な社名一覧

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