2010年2月6日

『ユニクロ進化論』松下久美・著 vol.2028

【ファッション業界紙デスク、11年分の取材ノート公開。】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4828415610

本日の一冊は、11年間ユニクロを追い続けた、ファッション業界紙「WWDジャパン」のデスクが、その11年分の取材ノートをまとめ、書籍化した一冊。

ユニクロの進化の歴史と、その時々の施策、そして他のメディアでは紹介されない柳井正氏の横顔や、インタビューの際のやり取りなども収められた、貴重な情報源です。

個人的に印象に残ったのは、著者がまとめた十カ条の「私見・ユニクロの成功習慣」。

なかでも、「一点突破、全面展開」は、メディアを活用して成功するための王道を説いており、詳しく読めば、経営の参考になること間違いなし。

ほかにも、「一流と組む」「自ら情報発信メディアとなる」など、成長するためのヒントがいくつも紹介されています。

そして、心に残ったという点では、著者が「今までで一番大きな決断は何だったのか?」と聞いた時の答えが一番。

柳井氏の答えは、「ユニクロの1号店を作った時」で、その理由として、こんな言葉が紹介されています。

「個人経営だった時代には、つぶれたらすべてを失ってしまうから本当に必死だった。開店当日は朝から行列ができて、地元のFM局で取り上げられた。やたらと人が来てくれた。危ないからもう来ないでくださいとお願いしたほど。あの時は嬉しかったなあ」

どんな商売でも、原点を忘れてしまえばそこでお終い。

本書は、われわれビジネスマンに、初心に帰ることの大切さ、そして挑戦者として活動しつづけることの大切さを教えてくれます。

ジャーナリスト目線の本であり、当事者が書いたのに比べ、情緒に欠ける部分はありますが、人気企業ユニクロを客観的にとらえた、価値ある資料だと思います。

ぜひ読んでみてください。

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▼ 本日の赤ペンチェック ▼
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◆私見・ユニクロの成功習慣
1.変化することで生き延びる
2.一点突破、全面展開
3.スピードが命。拙速も許容する
4.リーダーが夢を語り、社員が明日を作る
5.リスクテイク
6.大いなるニッチ。潜在需要を考える
7.一流と組む
8.自ら情報発信メディアとなる
9.短所よりも長所に目を向ける
10.本質を見極める

「消費環境や人々の価値観は変わった。私は商業主義に陥り、大企業化してしまったラグジュアリーブランド業界に魅力を感じなくなっていた。全く新しいことに挑戦してみたいと思っていたころ、『ユニクロ』からオファーを受けた。一番魅力に感じたのは、『デモクラティック・ウエア』というコンセプトだった。ユニクロのシンプルで機能的でベーシックなウエアを世界中の人に着てもらえるようにする、というコンセプトに共感した」(ジル・サンダー)

「この商売で最も恐ろしいことは、マンネリ化することだ」(柳井正)

一番&圧倒的なことで驚きを与え続ける。ユニクロは常に話題を集めてきた

「混迷の時代にこそ、トップ自らが現場で陣頭指揮を執らなければならない」(柳井正)

かつて私は柳井社長に聞いたことがある。「毎日が決断の連続だと思うが、今までで一番大きな決断は何だったのか?」。その答えは「ユニクロの1号店を作った時」というものだった。「個人経営だった時代には、つぶれたらすべてを失ってしまうから本当に必死だった。開店当日は朝から行列ができて、地元のFM局で取り上げられた。やたらと人が来てくれた。危ないからもう来ないでくださいとお願いしたほど。あの時は嬉しかったなあ」

「意味があるのはブランドではなく、デザイナー本人である」(柳井正)

彫刻のような立体的で美しい服を作るために、想像もできないほどの時間と労力をフィッティングに費やす(ジル女史の仕事について周りの評価)

現在のユニクロの成長を陰で支えた人物の1人に、2007年から高級スーパーの成城石井の社長を務めている大久保恒夫氏がいる(中略)出版社の商業界が主催する毎年恒例の2月ゼミに2009年、大久保氏は講師として登場した。そこで「売り場でしか企業価値は測れない」「無理な在庫削減はしない、売れる商品が山のようにないと長期的な成長はできない」「固定客を増やすか定番商品を増やすしか、売り上げ成長はない」「期待値を超えることが信頼につながる」と、持論を展開した

最高の情報は最強のコンセプトを生む。すべては最強のコンセプトを生み出すためにある。なぜなら最強のコンセプトは、すべてを駆動させる

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『ユニクロ進化論』ビジネス社 松下久美・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4828415610
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◆目次◆
序章 山口県の小売店が世界に出店
第1章 躍進
第2章 競合
第3章 商品戦略
第4章 ブランド戦略
第5章 組織
巻末・柳井社長への一問一答

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