2009年10月12日

『脱「でぶスモーカー」の仕事術』 デービッド・メイスター・著 vol.1911

【トム・ピーターズ絶賛!実行力を高める秘訣とは?】
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532314739

名著『エクセレント・カンパニー』の著者、トム・ピーターズは、「プロフェッショナル・サービス・ファームこそ、明日の時代の企業モデルだ」と喝破しましたが、本書はそのプロフェッショナル・サービス・ファーム経営の第一人者、デービッド・メイスターによる注目の一冊です。

※参考:『エクセレント・カンパニー』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4901234331/

ラリー・ボシディとラム・チャランによる『経営は「実行」』が大ベストセラーになったことからもわかるように、マネジャーは経営における「実行」の重要性を痛いほど理解している。でも、実際には、「わかっていてもできない」のです。

※参考:『経営は「実行」』
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532310377/

ビジョンはある、正しい戦略もある。でも実行できない。著者はこれをダイエット・禁煙に失敗する人間になぞらえて「でぶスモーカー」症候群と呼んでいます。

ネーミングがいまいちなため、さほど注目されていませんが、じつは本書、戦略実行に関する隠れた名著です。

個人の仕事術というよりは、経営コンサルティング会社や会計事務所などのプロフェッショナル・サービス・ファーム、あるいは中小企業の経営に役立つ内容。

具体的には、チームが一丸となって動く方法論、顧客の流出を防ぐための施策、サービスを差別化し、高付加価値を実現する方法について述べています。

ついつい食べ過ぎてしまうのも、薄利多売のビジネスに陥ってしまうのも、結局は同じ心の問題。

これに、ビジョンや戦略を持ってきても、さほど効果はないのです。

それよりむしろ問題は、行動を変え、継続するためのしくみをつくること。

徹底した「実行」体質のチーム作りをするために、ぜひ読んでおきい一冊です。

————————————————————
▼ 本日の赤ペンチェック ▼
————————————————————

真の戦略は、何をすべきかを解釈することではなく、すべきと誰もがわかっていることを、さまざまな手段を用いていかに他人より多く、確実に実行するかにある

改善しなければならないとわかっている行動に取りかからないいちばんの理由は、報酬(そして喜び)が将来にあるのに対して、改善のための我慢、不快、規律は目のまえにあることだ

かなり強い罪悪感でさえ、人を変えるとはかぎらない。ところが恥ずかしさとなると、たとえそれがわずかでも効果は絶大である

リーダーはみずから変わる覚悟を示して、信頼関係を築かなければならない。どう行動し、評価し、どんな報酬を与えるのかを明確にしなければならない

減量プログラムをうまくやるには、最終目標について話すのをやめること

品質、コスト、多様性、スピードの四つを同時に追求するビジネスは、みな失敗する運命にある

必要な変化は、次の三つのカテゴリーのどれかに分類される──評価、行動、人事だ

◆やってみようと思うものを評価する方法
・それは予想どおりわくわくするものだったか
・それに市場性はあるか(金を払ってくれる人はいるか)
・それに対して、自分はほかの人が(まだ)していない貢献ができるか

ナポレオンが言ったように「栄光ははかないが、薄暗がりは永遠に続く」

到達点(目標、狙い、目的、ミッション、大望)を語るのをやめ、「週に五回、三〇分の運動をし、一日一五〇〇カロリー以上食べない」という運用「ルール」を厳密に守る気があるかどうかを議論すれば、コミットメントが生まれはじめる

人があなたとつき合いたいと思うのは、あなたに好印象を抱いているからではない。あなたといるとき、自分に好印象を抱くからこそいっしょにいたいと思うのだ

報酬をいちばんの目的として働く人々は、活動自体に意義、目的、充実感や楽しみを見出して働く人々より業績がよくない

従業員が互いに敬意をもって接する会社は、長期的にはより多くの収益を上げる

トレーニングの真髄は人を快適なゾーンの外へと連れ出すことにある
————————————————
『脱「でぶスモーカー」の仕事術』日本経済新聞出版社 デービッド・メイスター・著
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4532314739
————————————————

◆目次◆

日本語版への序文
はじめに
I 戦略の実行
第1章 なぜ、正しいとわかっていても、実行できないのか
第2章 戦略とは「何をしないか」を判断すること
第3章 どれだけうまくできるかではなく、どれだけやりたいか
第4章 同じ船に乗っているか──戦略を実行するための前提条件
第5章 われわれが合意すべきこと
II 顧客との関係
第6章 本当に関係を構築したいと望んでいるか
第7章 友人になる
第8章 「金のために働く」はなぜ悪い?
III マネジャーの役割
第9章 暴君、激励者、皮肉屋
第10章 なぜ、訓練のほとんどが無駄になるのか
第11章 すぐれたコーチは何をしたか
第12章 生まれながらのマネジャーに学ぶ
第13章 すぐれたマネジャーは行動で示す
第14章 リーダーを選ぶ──われわれの望みを知っているか
IV ひとつになる
第15章 ワンファーム・ファーム再訪
第16章 多元的組織のマネジメント
第17章 法律事務所の問題に学ぶ
第18章 CEOは就任式で何を語るべきか
第19章 情熱、人への理解、原則
謝辞
参考文献
索引
解説「知識時代におけるリーダーの実践経営学」紺野登

この書評に関連度が高い書評

同じカテゴリーで売れている書籍(Amazon.co.jp)

NEWS

RSS

お知らせはまだありません。

過去のアーカイブ

カレンダー